IASB、討議資料「企業結合 - 開示、のれん及び減損」を公表
ポイント解説速報 - IASBは2020年3月19日、討議資料「企業結合 - 開示、のれん及び減損」を公表しました。IASBは、企業結合についてのより良い情報の開示、のれんの会計処理(減損テストモデルの改良、のれんの償却)等について、利害関係者からの意見を募集しています。
IASBは、企業結合についてのより良い情報の開示、のれんの会計処理(減損テストモデルの改良、のれんの償却)等について、利害関係者からの意見を募集しています。
ポイント
IASBは、2013年から2015年にかけてIFRS第3号「企業結合」の適用後レビュー(PIR)を行い、識別された論点について、2015年から現在にかけて「のれんと減損」リサーチプロジェクトとして審議を行ってきた。プロジェクトの目的は、企業結合に関して企業が投資家に提供する情報をより有用なものとするための方策を、企業に発生するコストも考慮した上で検討することにある。
本討議資料には、以下のIASBの予備的見解が含まれている。
- 企業結合時に設定した企業結合の目的が、その後どの程度達成されているかについて、マネジメントがモニターしている情報を開示する。
- のれんの減損損失をよりタイムリーに認識するための、のれんの減損テストモデルへの変更は行わない。
- のれんの償却は行わない。
- 年次の減損テストを廃止し、減損テストは減損の兆候がある場合にのみ要求する。使用価値算定における要求事項の一部も改訂する。
- 企業結合時における無形資産の認識要件は変更しない。
IASBは、上記の予備的見解をパッケージとして採用した場合には、本プロジェクトの目的を十分に達成し得るものと考えている。IASBは、上記の予備的見解の中でも、中心となるのは企業結合の事後の成果についての開示(上記1)と考えている。現行ののれんの減損テストモデルにおいては、のれんの減損損失がタイムリーに認識されない場合があり、減損損失をよりタイムリーに認識できるよう減損テストモデルの改良を検討したものの、そのような変更は現実的ではないとして却下した(上記2)。IASBは、のれんの減損テストの目的は、のれんが配賦されたCGUの帳簿価額が回収可能価額を超えないことを確かめることにあり、のれんの減損損失が企業結合の事後の成果を伝達するには限界があると考えている。したがって、企業結合の事後の成果を投資家にタイムリーに伝達するには、別途の開示を要求することが必要と考えている。また、企業結合の事後の成果の開示は、企業のマネジメントが企業結合に対する説明責任を果たしているかを投資家が評価することに役立つことも期待される。
のれんの償却の再導入は、僅差により、却下されている(上記3)。
PDFの内容
I.背景
II.本討議資料の概要
参考情報へのリンク(外部サイト)
執筆者
会計プラクティス部 シニアマネジャー
内田 俊也