【第7回~TCFDを旅する~】TCFD提言を概観する2

TCFDを旅する ~サステナビリティを目指して~ 第7回:第3回に続いてTCFD提言を概観します。

TCFDを旅する ~サステナビリティを目指して~ 第7回:第3回に続いてTCFD提言を概観します。

I. TCFD提言等の経緯

第3回でご紹介しています。

II. TCFD提言の概要

  1. TCFD提言が必要とされた理由
  2. 開示対象とする気候関連リスクと機会
    (1)移行リスク
    (2)物理的リスク
    (3)機会

第3回でご紹介しています。

3. 開示フレームワークの概要

開示フレームワークの概要は以下のとおりであり、下記4~7の4項目の開示が求められています。
ただし、戦略及び指標と目標については、それが重要な場合に開示が求められています。

  ガバナンス 戦略 リスク管理 指標と目標
リスク
機会 ×
a 取締役会の監視体制 短中長期のリスクと機会 識別・評価プロセス
評価指標
b 評価等の経営陣の役割 戦略・財務計画への影響 管理プロセス
スコープ1,2,3排出量と関連リスク
c 該当なし シナリオ分析とレジリエンス
全社的リスク管理との統合
目標と達成度

 

 スコープ1はGHG(温室効果ガス)のその企業による直接的排出量、スコープ2はその企業が購入した電力、熱等の消費による間接的なGHG排出量、スコープ3は企業のバリューチェーンの中で生じる間接的GHG排出量であってスコープ2を除いたものを指す。

4. ガバナンスの開示

  ガバナンス  開示ガイダンス
a 取締役会の監視体制
  • 取締役会、監査委員会等が気候関連問題について報告を受けるプロセスと頻度
  • 取締役会、監査委員会等が予算策定、事業計画、リスク管理、資産売却などに関連して気候関連問題を考慮しているか
b 評価等の経営陣の役割 
  • 経営陣、委員会等に気候関連問題の責任を付与しているか
  • 経営陣が気候関連問題をモニタリングする方法

5. 戦略の開示

  戦略  開示ガイダンス
短中長期のリスクと機会
  • 短中長期ごとの重要な財務的影響を与える気候関連問題に関する説明
  • 気候関連問題が重要な財務的影響を与えるか否かを判断するプロセスの説明
戦略・財務計画への影響
  • 気候関連問題が、事業・戦略・財務計画に与える影響の説明
  • 気候関連問題に関するリスクと機会をプライオリティ付けする方法の説明

シナリオ分析とレジリエンス
  • 2度以下シナリオに従った低炭素経済への移行に関して、気候関連問題のリスクと機会に対する戦略のレジリエンスを説明

6. リスク管理の開示

  リスク管理 開示ガイダンス
a 識別・評価プロセス
  • 気候関連リスクの識別・評価プロセスの説明
b 管理プロセス
  • 気候関連リスクを軽減、移転、制御等するリスク管理プロセスの説明
  • 気候関連リスクのプライオリティ付けに関する説明
c 全社的リスク管理との統合
  • 気候関連リスクの管理プロセスが、全社的なリスク管理にどのように統合されているかの説明

7. 指標と目標の開示

  指標と目標 開示ガイダンス
a 評価指標
  • 気候関連のリスクと機会の測定に使用する指標を説明
  • 指標が報酬規程に組み込まれているか等を説明
b スコープ1,2,3排出量と関連リスク
  • スコープ1,2,3のGHG排出量と関連リスクの説明
  • 過去一定期間のデータを開示
c 目標と達成度
  • GHG排出量、水使用量、エネルギー使用量などの目標を説明

ご紹介:TCFD及びEUタクソノミーに関するKPMGジャパンのサービス等

KPMGジャパンでは、GSDアプローチによるTCFDアドバイザリーサービスを提供しています。
また、EUタクソノミーに関するご相談を受け付けています。
詳細は、ページ内の「お問合せフォーム」もしくは「ご依頼・ご相談 RFP(提案書依頼)」からお問い合わせください。
 

※ GSDアプローチとは、Gap analysis(TCFD最終提言とのギャップ分析)、Scenario analysis(シナリオ分析)、Disclosure analysis(開示内容・手法の妥当性分析)を指します。

執筆者

KPMGジャパン
コーポレートガバナンスCoE/TCFDグループ
テクニカルディレクター 公認会計士 加藤 俊治

TCFDを旅する ~サステナビリティを目指して~