金融庁、金融審議会市場ワーキング・グループに設置された市場構造専門グループの報告書を公表
ポイント解説速報 - 2019年12月27日、金融庁の金融審議会市場ワーキング・グループに設置された、市場構造専門グループの報告書 - 令和時代における企業と投資家のための新たな市場に向けて - (以下「本報告書」という。)が公表されました。
金融庁が、2019年12月27日に公表した「市場構造専門グループの報告書」の概要を解説します。
Article Posted date
08 January 2020
本報告書のポイント
我が国における証券市場については、1.東京証券取引所に5つある各市場区分のコンセプトが曖昧、2.上場廃止に関する基準が低いこと等により、上場企業の持続的な企業価値向上に向けた動機づけに乏しい、3.多くの機関投資家がベンチマークとしているTOPIXが市場第一部の全ての銘柄で構成されているため、投資対象としての機能性に欠けている等の課題が指摘されていました。
金融審議会市場ワーキング・グループは、こうした課題を踏まえ、市場構造の見直しに関する検討結果を取りまとめました。検討を踏まえて示されている主な提言は、以下のとおりです。
- 明確なコンセプトに基づいた制度に再設計を行うよう、「プライム市場」、「スタンダード市場」、「クローズ市場」(いずれも仮称)の3つの市場区分に再編する。また、既存の上場企業はそれぞれの市場のコンセプトに照らし、適切と考える市場区分を主体的に選択できるようにする。なお、経過措置として「プライム市場」の要件を充たさない市場第一部企業が「プライム市場」の選択を希望する場合には、より高いガバナンスについてのコミットメントを行うことや、今後の流通株式比率の向上に向けたコミットメントを行う限りにおいて、当分の間、プライム市場への上場・上場維持を基本的に認める。
- 流動性をより重視する方向で企業を選択することにより、市場区分とTOPIXの範囲を切り離す。
- 現在、市場第二部から上場廃止になる時価総額は10 億円、マザーズ市場から上場廃止になる時価総額は5 億円となっているが、これらの退出基準を引き上げるとともに、受け皿市場の整備を合わせて検討する。
- 2022年上半期を目途として市場区分やTOPIXの変更を開始することが想定される。
株式会社日本取引所グループによるコメントのポイント
- 2022年上半期中に新たな制度への移行を完了させるべく、市場構造専門グループにおける議論を通じて示された課題や対応の方向性を踏まえ、速やかに具体的かつ詳細な制度設計を進める。
- 2020年2月を目途に新制度の骨子を示すほか、2020年夏以降、段階的かつ着実に制度を実施していく。
- 株価指数(TOPIX等)の見直しについても、検討を深めていく。
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執筆者
有限責任 あずさ監査法人
監査プラクティス部