農業分野におけるブロックチェーンの活用事例

ブロックチェーンを用いた活用事例として、食料品の産地、生産者、加工者などのサプライチェーンを消費者が把握できるKPMG Originsをご紹介します。

ブロックチェーンを用いた活用事例として、食料品の産地、生産者、加工者などのサプライチェーンを消費者が把握できるKPMG Originsをご紹介します。

ブロックチェーンの本質と取り組み方についてでは、ブロックチェーンの現状と陥りやすい間違いおよび取り組み方について説明しました。その中で、情報共有および相互監視に起因する『仕組みとしての信用の創成』がブロックチェーンの本質と定義しています。KPMGではこのような本質を用いて、すでに実用化されたユースケースを開発しており、その一つがKPMG Originsです。

KPMG Origins

ブロックチェーンはオーストラリアの農業界では最新のバズワードになってきています。第四次産業革命を背景に世界は変化し続けていますが、食料品の世界も例外ではありません。消費者は消費している商品についてより多くの情報を持つようになり、食品の安全性に関わる規制やコンプライアンスは益々複雑になってきています。信憑性や産地(加工地)の証明は、各国の産物の価値を上げ、プレミアムとなってきています。
このような環境で、データはあらゆる業界のサプライチェーンを通じて、下記の関係者、特に「1.消費者」にとって重要なものとなってきています。

  1. 消費者
  2. サプライチェーン上のパートナー
  3. 監督官庁
  4. 農園管理者

ブロックチェーンのような保証されたプラットフォームにデータが保持されている場合、サプライチェーンの全ての段階で有効にデータを集めることは強力なツールになります。消費者にとっては、サプライチェーンのデータを集め、提示することは、ビジネス、商品、サプライチェーンにおける消費者の信頼を築くことにつながります。
原産地の情報を消費者と共有する能力を持つと、履歴、品質管理、信憑性、原産地証明のような情報を消費者に提供することができるようになります。
サプライチェーン上の提携業者の間でのデータ収集や共有を行うことで、責任の所在やバイオセキュリティーリスクを含めた詳細情報にアクセスすることができるようになります。
これにより業務効率の向上とより効率的なエンドツーエンドのサプライチェーン構築ができるようになります。
単一フォーマットのデータをデジタルに収集・保管することにより、(輸出証明、環境コンプライアンス、食品安全規制等)規制官庁との効率的で一貫した対応が可能になります。
最も小さいレベルでの産地証明(農作物レベル)でデータが計測されていれば、農園管理従事者のための決定の正確性は特に強力になります。
データを収集・蓄積することで、作物の成長や収穫の分析をもって灌漑・農薬・肥料の細やかな適用をリアルタイムで行えるようになります。
ブロックチェーンは農業におけるデータ利用の機会を拡大します。また、生産者、販売業者、運送業者と消費者を含めてサプライチェーンの中で、すべての関与者が利用できる公的帳簿と言えます。これは、各々の資産、すべてのトランザクションの履歴、その現状の保有者について有益な情報を提供することができます。また、食品がどこで、どのように、いつ、生産・加工・配送されたのかを提示するデータを格納する仕組みとしての食品の保証プラットフォームを提供します。そしてこのことにより、農産物の捕捉性と透明性が確保されます。

KPMGはスマートラベルとAR/VRの技術を活用して“KPMG Origins”というブロックチェーンの統合ソリューションを開発しました。このプラットフォームは、ワインセラー、バイヤー、輸送業者、規制などからデータをセキュアな形式で保存します。また、リアルタイムでのデータ共有と複数のサプライチェーン関与者間の信頼を確保します。
スマートラベルによってブランドの正当性を管理することができ、すべての関係者に情報の追跡と捕捉を容易に提供できます。
AR/VRは、視覚に訴える差別化した情報を提供し、フィードバックを集めることにより顧客の満足度を高めます。顧客はアプリで商品のラベルをスキャンすることで、サプライチェーンの各々の段階の全ての情報を見ることができます。
KPMG Originsは、サプライチェーンの食品の保証をするためセキュアなプラットフォームを提供し、複数のユーザーグループの便益性を高め、最終的には農業のテクノロジーを高めることにつながります。

執筆者

KPMG Ignition Tokyo

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