先端技術で未来を切り拓く――アドバンスドアナリティクス&AIラボの挑戦

AIやアナリティクス技術などの先端技術を活用して課題を解決する、KPMGアドバイザリーライトハウスのアドバンスドアナリティクス&AIラボについて、チームメンバーが解説します

AIやアナリティクス技術などの先端技術を活用して課題を解決する、KPMGアドバイザリーライトハウスのアドバンスドアナリティクス&AIラボについて、チームメンバーが解説します

KPMGジャパンの、アドバイザリー領域におけるデータ&AIのセンター・オブ・エクセレンスであるKPMGアドバイザリーライトハウス。そのなかで、AIやアナリティクス技術などの先端技術を活用して課題を解決する、アドバンスドアナリティクス&AIラボの活動はどのようなものなのか、マヌエル・マイオレッリ、大山 遼、小澤 友美が語ります。 

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(左から、小澤 友美、マヌエル・マイオレッリ、大山 遼)

技術で変革に挑むアドバンスドアナリティクス&AIラボ

――アドバンスドアナリティクス&AIラボの役割と業務内容について教えてください

マヌエル:KPMGアドバイザリーライトハウスは、KPMGジャパンにおけるデータ&AIのセンター・オブ・エクセレンス(CoE)として、変革をリードするプロフェッショナル組織です。そのなかで、アドバンスドアナリティクス&AIラボは、最先端の技術を使って複雑性の高い課題を解決することが主な役割です。そして、データサイエンティストとデータ&アナリティクスコンサルタントの、2職種のメンバーが勤務しています。

小澤:データサイエンティストの主なミッションは、数理的思考と情報処理技術を駆使してデータから価値を創出し、ビジネス課題を解決することです。多様な情報が含まれるデータを、業務担当者が自らの知見や経験に基づき、どの分析技術やアルゴリズムと組み合わせれば深いインサイトが得られるかを検討します。データとアルゴリズムの専門家として、多様な分析手法の中から最適な手法を選定し、開発・実装して結果を導き出す。この一連のプロセスこそが、データサイエンティストの最大の役割です。

大山:データサイエンティストが技術開発を中心に担当するのに対し、データ&アナリティクスコンサルタントはビジネス領域と技術領域の両方を同程度の比重で担います。
KPMGジャパンでは、クライアントと直接接するアドバイザリーのフロント法人として、あずさ監査法人・KPMG FAS・KPMGコンサルティングの3社があります。コンサルタントは、これらのスペシャリストと議論しながら、彼らのビジネス領域の課題・ニーズにAIやアナリティクス技術を適用できるかを検討し、提案・企画を行うことがミッションです。

したがって、技術理解もさることながら、ビジネス面の深い理解や、未知の領域へのキャッチアップ、そして論点整理や課題・ニーズの明確化を通じ、技術による解決アプローチを提案して協働案件を立ち上げる。そういう能力が求められています。

マヌエル:ビジネス領域と技術領域を結びつける際には、議論が難しくなる場面があります。たとえば、ビジネスに詳しいが技術には明るくない方、あるいはその逆で、技術に精通しているがビジネス理解が浅い方との間で意見をすり合わせる必要があります。こうした場面で、両者の架け橋となる役割を担うのが、データ&アナリティクスコンサルタントです。わかりやすい説明やカウンセリングを通じて、双方の理解を深め、合意形成を支援します。この役割には、データサイエンティスト並みの技術理解と、ビジネスコンサルティングの経験の両方が求められます。

大山:非常にユニークなポジションです。他の企業ではあまりないかもしれませんね。コンサルティングとプロジェクトマネジメントができて、フロントのスペシャリストとも対等に会話ができ、かつ技術も理解しているというのはなかなか難しいです。しかし、新しいアイデアを作り出し、実現していくという点で、チャレンジしがいがあります。

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シニアマネジャー 大山 遼

データサイエンス 5つの注力領域

――KPMGでは、インダストリーやファンクションなど、どのビジネス領域の課題解決が多いでしょうか。

マヌエル:特定の分野にフォーカスしていくというよりは、本当に幅広い領域の、幅広い課題に取り組んでいます。今日は例えば、ファイナンスの課題を練ります。でも3ヵ月後は全然違う公共セクターの課題に取り組みます。その次は、例えば建設機械企業向けのプロジェクトなど、本当に複数の領域、複数の課題に複数の技術でアプローチする、刺激的な環境です。

 

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テクノロジーマネジャー 小澤 友美

小澤:KPMGでは、非常に幅広い領域に関わりながら、幅広い支援をしていますが、技術においては、昨今の技術動向も踏まえて、私たちが注力している分野が5つあります。その1つは認知技術です。特に言語に関する領域は膨大な文書を扱うKPMGでニーズが多く、昨今活況の大規模言語モデル(LLM)やRAGなども、この領域に含まれます。

2つ目が最適化技術です。ビジネスでは複雑で困難な意思決定やオペレーションの効率化が求められる場面が多くあるため、アルゴリズムを活用して最適な選択を支援しています。

3つ目が予測技術です。例えば商品の需要や経済指標、市場規模といったものが将来どのように推移していくか、根強い予測のニーズがあります。予測技術自体は古くからありますが、単に予測値を弾き出すだけでなく、数字の不確実性の定量化や、影響因子が変化した際の予測変動を複数のシナリオでシミュレーションするなど、高度な技術を使いながらビジネス上のアクションに繋げられるよう、予測を強化しています。

4つ目が因果分析です。ビジネスで何か施策を打ちたいというときに、相関分析や予測だけは十分でないことがあります。ある現象が別の現象を引き起こしているといった因果関係を明らかにすることで、目標達成のために取るべきアクションを見定められます。研究開発が進み、ビジネスでのニーズも増えているため、フォーカスしている領域です。

最後はコンピュータビジョンです。画像や動画などの視覚データに含まれる情報を認識したり解釈したりする技術で、例えば店舗での顧客行動分析、工場での機械や人員の監視などの応用があります。後続の分析のインプットとなることが多く、正確さが求められます。

これら5つの柱の根底として、信頼性と透明性が重要となります。KPMG Trusted AI というKPMGのグローバルなAIガバナンスに関するイニシアチブのコア概念を実現すべく、AIの判断根拠を明確にする技術や、AIの公平性を担保する方法に着目しています。加えて、発展著しいマルチモーダル技術も鍵となります。言語と画像など、複数のモーダルを組み合わせて、領域横断的にインサイトを導出する取組みも進めています。

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ビジネスニーズと技術的潮流を踏まえて重点技術領域を定めている

ビジネス領域と技術領域をつなぐプロフェッショナル

――具体的な一日・一週間のスケジュールはどのようなものでしょうか

マヌエル:クライアントワークに関わるものの、クライアントに直接サービスを提供するわけではありません。サービスを提供するのはフロントの各法人であり、私たちはあくまでもKPMGジャパンのアドバイザリー領域におけるCoEであり、R&Dチームだからです。したがって、ある程度、自分のペースでいろいろな課題に対する解を考えられる時間を作っています。その点に関して、当チームでは各メンバーが効率的に質の高いアウトプットをしており、ほとんど残業はありません。

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ディレクター マヌエル・マイオレッリ

大山:データ&アナリティクスコンサルタントは、多様なビジネス・技術領域の担当者と会話する機会が多く、ミーティングの比率が高いのが特徴です。作業時間とミーティング時間の割合はおおよそ半々で、ミーティングは社内チーム内のものと、KPMGジャパンの各法人とのものが概ね半分ずつです。

業務では、論点整理、合意形成や議論のファシリテーション、場合によってはネゴシエーションを行い、ビジネス価値が認められる技術開発を前に進める役割を担います。特にブロッカーや課題が発生した際には、その解決のためメンバーと会話やチャットで速やかにコミュニケーションを取り、次のアクションを決定します。スピード感を持って対応することが求められます。

マヌエル:データ&アナリティクスコンサルタントの魅力は、たとえば、毎朝起きるとすぐに「AIをどのように活用すれば、新しいビジネスを生み出せるか」といったことを考えているような、常に未来のビジネスを探し続ける、非常に面白い仕事であるという点です。そのためには、ビジネス担当者やクライアント、技術者の方々と協力し、テストを重ねながら毎日会話し、議論をファシリテートしつつ、「次にどのような価値を創出するのか」を考え続ける必要があります。これこそが、データ&アナリティクスコンサルタントの役割です。

小澤:データサイエンティストは通常、2件程度のプロジェクトを並行して担当します。プロジェクト期間中は、関係者と進捗や課題を共有するためのディスカッションを定期的に行います。全員が集まる定例ミーティングは週1回程度で、チーム内では分析手法や結果の考察などを適宜話し合っています。

基本的には個人で作業する時間が多いですが、プロジェクトに参画するメンバーの多様な専門性を十分に活かすには、関係者とのコミュニケーションも重要です。相手は必ずしも技術者ではないため、分析結果の意味や進捗、課題をわかりやすく説明する準備が必要です。こうした報告は主に定例ミーティングで行います。

また、プロジェクト以外では、最新技術のキャッチアップが欠かせません。論文を読んだり、セミナーに参加したりして、日々知識をアップデートしています。

アカデミアやグローバルとのかかわり

――クライアントワーク以外での活動について教えてください

小澤:データサイエンスは、技術の進化が非常に速い領域です。そのため、KPMGのデータサイエンティストが第一線で活躍し続けるには、日々の業務を通じた研鑽だけでなく、技術者として常にアップデートし、成長できる環境を整えることが重要と考えています。

チームでは、最新の論文を精読し技術動向を展望する場を定期的に開催し、今後の方向性を議論しています。加えて、年間数件、AI分野のトップカンファレンスにメンバーを派遣し、最前線の研究に直接触れて学びを持ち帰っています。得られた収穫はチームの活動方針に反映し、CoEとしてKPMGジャパン内に最新情報を発信します。

さらに、吸収するだけでなく、新規性のある分析手法は論文として投稿しています。KPMGアドバイザリーライトハウスは企業や社会の課題解決を目的とした手法開発が中心ですが、その過程で生まれた独自性の高い技術は積極的に発信し、アカデミアにも貢献します。

今後は、こうした取組みをさらに強化し、産学連携や第三者とのコラボレーションを通じて、KPMGの枠を超え、より広く社会にインパクトを与える活動を目指しています。

マヌエル:KPMG Lighthouseは、KPMGの40ヵ国以上のメンバーファームにおけるテクノロジー人材が集結したネットワークです。このネットワークでは、データサイエンティストや統計学者など、専門家約5千人が結びついています。日本オフィスは少数精鋭のチームですが、各国のカウンターパートであるデータサイエンティストと意見交換を行ったり、コラボレーションを進めたりしています。

もちろん、私たちだけではできないこともあります。だからこそ、KPMGのグローバルネットワークを活用し、ひとりや1つのオフィスでは生み出せない価値を共に創り上げることができます。この取組みは非常に楽しく、冥利に尽きると感じます。さらに、KPMGのグローバルネットワークに加え、日本国内外のさまざまな研究・教育機関とも協力し、社会により大きな付加価値を生み出すための仕組みづくりにも取り組んでいます。

幅広い領域に関与しながら、分析に注力できる環境

――KPMGアドバイザリーライトハウスが、働く環境として優れていると思われる点を教えてください

小澤:KPMGアドバイザリーライトハウスの魅力は、データサイエンティストが分析に集中できる環境にあります。AIをプロダクトの機能として実装する場合、開発や運用に多くのリソースを要します。一方で、案件ごとに完全に一から技術を開発するのは、スケール面で限界があります。

私たちのチームでは、分析のコアとなる競争力の高い技術を汎用性のあるアセットとして蓄積し、類似の用途に再活用できる仕組みを整えています。このように、プロダクト開発と案件ごとのカスタム開発の間を狙うことで、データサイエンティストは「どの分析手法がどの課題に適しているか」にフォーカスできます。案件の性質に応じて価値を最大にする分析手法を開発しつつ、自分の成果がチームの資産として残ることで、資産の蓄積と活用の好循環が生まれ、個人が疲弊することなくチームの技術力向上に貢献できるのです。

社内にデータの戦略的な蓄積やインテリジェンスの収集を担う部門が別にあり、適宜連携できることも、データサイエンティストが分析に集中できる秘訣の1つであると感じます。

マヌエル:私たちのチームでコア技術を内製していることは大きな特徴ですね。必要に応じて外部組織と連携したり、市場にある既存技術を活用したりすることもあります。しかし、それだけではKPMGのニーズを満たすソリューションにはなりません。そのため、私たちは独自の技術、モデルやアルゴリズムなどを作っています。

その中の1つの要素として、クライアントまでソリューションを提供することを見据えたときに、やはり解釈性が高いものを作らないといけません。これは今の潮流の中で求められていることだと思いますが、CoEとして主導権を持って、他の会社にないようなアルゴリズムやモデル、技術を作っていくのは、私たちのチームの大きな魅力です。

大山:KPMGアドバイザリーライトハウスで働く魅力は、技術を幅広いビジネス領域に適用できることです。事業会社、例えば製造業なら製造のみなど特定の領域に限定されることが多いですが、KPMGでは会計やファイナンス、リスクマネジメント、人事、パブリックセクター、小売など、多様な領域に技術を活かす機会があります。

さらに、互いを尊重し、助け合う社風も大きな特徴です。家庭や子育てへの理解があり、送迎や通院などの事情にも柔軟に対応できます。もちろん業務の責任は果たしますが、こうした文化があることで安心して働ける環境が整っています。

小澤:KPMGジャパンに来て、データサイエンティストとしての守備範囲が大きく広がったと感じています。前職では事業会社でデータ分析を行っていましたが、扱うデータや分析の応用範囲には限りがありました。KPMGジャパンは多様な領域のサービスを提供しているため、活用するデータや分析手法の幅が自ずと広がり、日々新たな挑戦があります。

さらに、KPMGジャパンはリスク管理やコンプライアンス支援に強みがあり、技術の利活用推進においても責任や信頼を重視しているのが特徴です。技術が社会に浸透するにつれ便利になる反面、リスクも増大しています。技術のさまざまな側面を深く理解し、社会に与える影響を考えながら仕事ができる点は、非常にやりがいがあります。

加えて、多様性のある組織文化も魅力です。異なる背景を持つメンバーが互いを尊重しているからこそ、課題を多角的に検討し、各々の領域の専門性を結集した効果的な解決策を企業や社会に提供できると感じています。

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不確実性を楽しむチャレンジ精神が、未知の領域を切り拓く

マヌエル:KPMGアドバイザリーライトハウスは、自分の価値とキャリアの選択肢を広げてくれる場所だと感じています。市場や技術は驚くほど速いスピードで変化しています。過去に得た知識やケイパビリティが、例えば5年後にそのまま使えるかといえば、答えはノーです。

その中で、KPMGアドバイザリーライトハウスは最先端技術と最新の課題に触れられる環境を提供してくれます。日々新しい知見を得ながらスキルを磨けるため、キャッチアップし続けるには最適な場所だと思います。

大山:私たちの業務の特徴は、仕様書どおりに進める仕事ではないという点です。実施計画・開発計画は固定されたものではなく、データ不足や要件の変更など、途中でさまざまなブロッカーに対応しながら柔軟に作り変えて進めます。

これは、先端技術を使い、これまでにない組み合わせで分析や開発を行うフロンティア領域だからこそです。明確な道筋や前例が存在しないため、自ら切り拓いていく必要があります。裏を返せば、こうした未知の領域に挑戦できることが、この仕事の面白さです。

マヌエル:私たちの仕事は、難易度の高い課題に挑むことが多いです。そのため、不確実性が伴います。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。しかし、この不確実性こそが仕事の面白さのひとつだと考えています。チャレンジを楽しめる人にとっては、絶好の環境です。

KPMGアドバイザリーライトハウスのアドバンスドアナリティクス&AIラボは、最先端の技術を駆使し、複雑かつ高度な課題解決に真剣に取り組める、他に類を見ない環境です。私たちは、チームメンバーのみならず、あずさ監査法人・KPMGコンサルティング・KPMG FASといったKPMGジャパンの各法人、さらに世界中のKPMGメンバーファームと高度な知見を共有し、協働することで、クライアント企業や団体にとどまらず、社会全体に価値を届けています。

先端技術で社会に変革をもたらす挑戦に、ぜひ一緒に取組みましょう!

マヌエル・マイオレッリ
株式会社 KPMGアドバイザリーライトハウス
アドバンスドアナリティクス&AIラボ 室長/ディレクター

日本において10年以上にわたりアドバイザリー業務に従事し、データ、アナリティクス、AIおよびビジネス開発の分野で豊富な実績を有する。現在、KPMGジャパンにおけるアドバンスドアナリティクス&AI部門の統括および戦略策定を担い、クライアント向けアドバイザリーサービスの高度化・付加価値創出を目的とした先端技術の研究開発を推進。AIおよびデータサイエンスを駆使し、複雑かつ高度な課題解決に取り組んでおり、その対象領域はコグニティブテクノロジー、コンピュータビジョン、確率モデル、因果推論、最適化問題など多岐にわたる。

 

大山 遼
株式会社 KPMGアドバイザリーライトハウス
アドバンスドアナリティクス&AIラボ シニアマネジャー

民間シンクタンクで官公庁・企業向けコンサルティング業務ののち、2020年KPMGに参画。アドバンスドアナリティクス&AIラボのアナリティクスコンサルティングユニットリードとして、分析・開発案件の企画立案等を主導。東京大学大学院経済学研究科統計学コース修了、修士(経済学)。

 

小澤 友美
株式会社 KPMGアドバイザリーライトハウス
アドバンスドアナリティクス&AIラボ テクノロジーマネジャー

東北大学大学院理学研究科数学専攻修了、博士(理学)。パリ13大学で博士研究員、UXデザインコンサルティング企業で機械学習エンジニアを経て、2021年に株式会社 KPMG Ignition Tokyoに参画。KPMGアドバイザリーライトハウス設立に伴い転籍。KPMGジャパンのアドバイザリーサービス高度化に貢献する分析技術を開発。主な専門は時系列予測、数理最適化、強化学習。25年7月からアドバンスドアナリティクス&AIラボのデータサイエンスユニットリードを務める。

 

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