KPMGモビリティ研究所、 「スマートシティ 地方都市における意識調査」を発表
KPMGジャパンの、国内外のモビリティにかかわる研究・調査を行うKPMGモビリティ研究所は、「スマートシティ 地方都市における意識調査~住みやすい街づくりのためにできること」を公表しました。
KPMGジャパンの、国内外のモビリティにかかわる研究・調査を行うKPMGモビリティ研究所は、「スマートシティ 地方都市における意識調査~住みやすい街づくりのためにできること」を公表
- 地方都市のニーズは、「医療サービス」(48%)や「交通機関/モビリティ」(38%)の改善
- 大都市よりも地方都市で求められているのは、「公共サービスの改善」(41%)に加え、「経済成長」(36%)や「雇用機会の増加」(33%)
- ESG、脱炭素、SDGsに関して、地方都市における関心は大都市ほど高くない
KPMGジャパン(本社:東京都千代田区、チェアマン:森俊哉)の、国内外のモビリティにかかわる研究・調査を行うKPMGモビリティ研究所は、「スマートシティ 地方都市における意識調査~住みやすい街づくりのためにできること」を公表しました。本調査は、国内の37都市約4,000名の住民を対象とし、「交通機関/モビリティ」、「教育」、「住環境」、「医療サービス」、「エネルギー」、「テクノロジー」の6分野に注目し、現状の評価および今後の期待について分析しています。2020年に実施された前回調査は主要5都市を対象としており、今回の調査では各調査結果を比較し、多角的に分析しています。
政府は2025年までに国内でスマートシティ100地域の構築を目指しており、今後地方都市におけるスマートシティ化が加速すると考えられます。スマートシティの実装を実現するためには、テクノロジーありきの手法ではなく、テクノロジーを活用した包括的なアプローチに基づき、都市が抱える重層的な地域課題の解決を目指すことが重要です。
「スマートシティ 地方都市における意識調査」 主なポイント
1. 地方都市のニーズは、「医療サービス」(48%)や「交通機関/モビリティ」(38%)の改善
地方都市および大都市のいずれにおいても、住民は「病院等医療サービスの受けやすさ、提供内容の改善」(地方都市:48%、大都市:43%)や「交通機関とモビリティ(移動手段)の改善」(地方都市:38%、大都市:36%)を重視しています。一方で、「技術革新」(地方都市:22%、大都市:22%)や「起業家支援やイノベーションを推奨する文化の醸成」(地方都市:13%、大都市:12%)に対するニーズは、それほど高くないという結果になりました。住民が求めているものは、未来都市を連想させるような技術革新ではなく、医療や移動手段をはじめとする日常生活に密着した「目に見える」改善であると考えられます。
「医療サービス」(地方都市:48%、大都市:43%)、「交通機関/モビリティ」(地方都市:38%、大都市:36%)、「公共サービスへの電子化」(地方都市:25%、大都市:20%)に関しては、大都市より地方都市の期待が高いという結果となりました。これは、人口減少や少子高齢化が進行し、サービス需要や需要の密度が低下した結果、サービスの質および量の双方が低下し、日常生活のさまざまな場面で課題が増大しているためと考えられます。
図1: 都市を継続的に快適で暮らしやすい空間にするために必要なこと
2. 大都市よりも地方都市で求められているのは、「公共サービスの改善」(41%)に加え、「経済成長」(36%)や「雇用機会の増加」(33%)
「スマート化した都市で期待できる恩恵」に関して、地方都市では「公共サービスの改善」を挙げた回答が最も多く、かつ、大都市よりも地方都市において期待が高い(地方都市:41%、大都市:37%)という結果になりました。「公共サービスの改善」に加えて、「経済成長」(地方都市:36%、大都市:35%)や「雇用機会の増加」(地方都市:33%、大都市:30%)についても、地方都市における期待が大都市を上回っています。地方都市のスマートシティ化においては、公共サービスの質の維持など住民の生活を担保しつつ、最終的には経済成長や雇用機会の増加を通じて都市が活性化され、住民に還元されることが求められていると考えられます。
図2:スマート化した都市で期待できる恩恵
3. ESG、脱炭素、SDGsに関して、地方都市での関心は大都市ほど高くない
地方都市において、日常生活に密着する「資源の無駄遣いの削減」(地方都市:36%、大都市:39%)には、比較的関心が寄せられていることが分かりました。一方で、「空気と水の清浄化」(地方都市:33%、大都市:35%)、「CO2排出量の削減」(地方都市:29%、大都市:34%)に関して、地方都市での関心は大都市ほど高くないという結果になりました。今後、このような「目に見えない」社会課題に関して、地方都市住民の意識を変え、行動変容を促すことが課題になると考えられます。
スマートシティを実現するためには、都市住民が現時点で認識している課題だけでなく、将来的に影響を及ぼす潜在的な課題についても、住民意識の向上を目指すことが重要です。KPMGモビリティ研究所は、本調査を通じてさまざまな特性を持つ各都市の実情に沿い、住民にとって真に価値のある街づくりに貢献してまいります。
レポートの詳細は、こちらをご参照ください。
調査方法
名称 |
「スマートシティ 地方都市における意識調査~住みやすい街づくりのためにできること」 |
調査対象 |
日本国内37都市(政令指定都市から地方都市を含む)における18歳以上の市民約4,000名 |
調査概要 |
スマートシティに関する以下の6分野に関する現状の評価および今後の期待 交通機関/モビリティ、教育(将来の労働力の育成)、住環境、医療サービス、エネルギー、テクノロジー |
調査時期 |
2021年6月 |
調査方法 |
オンライン |
KPMGジャパンについて
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KPMGモビリティ研究所について
「KPMGモビリティ研究所」は、KPMGグローバルの各関連研究グループと連携し、社会構造の変化を1つの切り口=モビリティで捉えて産業横断的に研究しています。国内外のモビリティに関わる動向の情報収集や調査研究、モビリティ関連分野の専門家の育成、内外の知見に関する情報発信、そして将来的に産学官連携のハブとしての役割を果たしながら、日本のモビリティ発展に寄与することを目指しています。