本調査は、EX分野の投資に携わる投資家・企業、政策立案者、エネルギー集約型企業、エネルギー企業に対し、現在および将来の投資計画に影響を与えるトレンドに関して示唆を提供することを目的として実施しました。
エグゼクティブサマリー
世界的なエネルギートランジション(EX)が加速するなか、再生可能エネルギー(再エネ)の普及・拡大、エネルギーおよび資源効率の向上、これらに関連するインフラの拡充を中心に、さまざまな分野で大規模な投資機会が生まれています。
「エネルギートランジション投資調査2024」は、EX分野の投資に携わる投資家・企業、政策立案者、エネルギー集約型企業、エネルギー企業に対し、現在および将来の投資計画に影響を与えるトレンドに関して示唆を提供することを目的に、エネルギートランジションに携わる36ヵ国11セクターにわたる1,400人の経営幹部・投資家の見解を収集・分析したレポートです。
本調査では、公共政策、市場の動向、技術の進歩、金融イノベーションによるEX投資への影響に加え、地政学的な不確実性、規制リスク、経済の変動性などに起因する課題について考察を展開しています。
エネルギートランジションを推進するうえで、事業機会を的確に見極め、最大限に活用できる投資家・企業の役割は極めて重要です。特に、脱炭素化効率化、再エネ、関連インフラへの戦略的な投資は、地球温暖化が引き起こす課題に対処するうえで不可欠な投資テーマとなるでしょう。
主な調査結果
- EX資産への投資が依然として急拡大していると考えるEX投資家・企業の割合:72パーセント
主要各国で金利の高止まりや不安定な地政学情勢が続くなかでも、多くの投資家がクリーンエネルギー技術やプロジェクトへの投資を引き続き積極的に進める意向を示しています。 - 過去2年間で、エネルギー効率化技術(電化を含む)に投資している割合:64パーセント
EX投資家・企業は、多様で幅広い事業機会に積極的に取り組んでいます。
- 再生可能エネルギーおよび低炭素エネルギー(56%)
- エネルギー貯蔵および電力網インフラ(54%)
- 輸送および関連インフラ(51%) - 化石燃料への新規投資を継続している割合:75パーセント
EX投資家・企業は秩序あるエネルギートランジションにおける化石燃料の役割を十分認識しています。近年、再エネの普及・拡大が急速に進むなかでも、今後20年間においては、化石燃料(特に天然ガス)は、エネルギーの安全保障という観点から依然として重要とされており、世界各地のエネルギー需要を満たすための追加投資が必要とされています。 - リスク管理を共有できるパートナー企業の確保を優先事項としているEX投資家・企業の割合:94パーセント
業界や官民を超えたパートナーシップは、財務面でのリスク軽減にとどまらず、企業の優位性・強み、多様なインフラ、市場への影響力やリソース・専門知識を結集できることから、EXプロジェクトの成功に不可欠な要素であるといえるでしょう。 - EX投資における最大の懸念事項:政策・規制リスク(78パーセント)
政策・規制リスクは、EX投資家・企業にとって管理が難しいことから、高い不確実性によりEXの取組みに対する資本・資金供給を阻害する可能性があります。安定性と透明性を備え、一貫性のある規制環境が整備されることで、クリーンエネルギーおよびインフラ分野への長期的な投資機会はさらに拡大されるでしょう。
Contents
はじめに
1.EX投資の対象
2.EX投資で最も魅力的な地域
3.化石燃料投資の必要性
4.EX資産に投資する目的
5.EX投資家・企業が直面する主な課題
6.政策・規制によるEX投資への影響
7.EX投資におけるパートナーシップの役割
8.今後2年間におけるEX投資家・企業の期待と展望
9.日本におけるEX
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