KPMGジャパンは、世界58の国と地域の売上高上位100社、計5,800社が、ESG課題に対し自社のサステナブルな価値創造に向けた取組みに関して、どのような報告を行っているかを調査し、その結果をまとめた「KPMGグローバルサステナビリティ報告調査2024」(原題:The move to mandatory reporting: Survey of Sustainability Reporting 2024)の日本版を発行しました。
2022年に実施した前回の調査から今回の調査までの間に、企業のサステナビリティに関する環境は劇的な変化を遂げています。企業にとっては、これまでの気候変動への対応に加え、生物多様性の保全やバリューチェーンにおける人権対応などが新たなビジネスリスクとして浮上しています。また、各種のサステナビリティ開示基準も整備されてきています。そのような環境下で、日本企業はこれまでもサステナビリティ開示を着実に進めてきました。今回の調査の結果、日本企業は年次報告書ではすべての企業がサステナビリティ情報を開示し、そのうち89%の企業が第三者保証を取得しています。また、炭素削減目標を設定する企業の割合は100%に達し、生物多様性に関する情報を開示している企業も80%にのぼり、いずれもグローバルでトップ水準となっています。
Key findings
多くの企業にとって、今後どのように自社のビジネス戦略にサステナビリティの要素を組み込み、具体的な対応を進めていくかが課題となっています。単なる開示にとどまらず、気候変動や生物多様性に関する移行計画や人権デュー・ディリジェンスの取組みなど、より実効性のあるサステナビリティ対応が求められます。それに伴う企業のガバナンス体制の構築、システムやプロセスの整備、専門人材の確保など企業には大きな変革が必要とされるでしょう。
里深 哲也
KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン パートナー
有限責任 あずさ監査法人サステナブルバリュー統轄事部 開示・プロセスサービスライン リーダー