AIを活用した監査の高度化・効率化ー生成AIチャットボット

あずさ監査法人では、さまざまな専門家が協力して、AIを監査に効果的に活用するための研究を日々行い、監査のさらなる品質向上と効率化を目指しています。その成果の一例として、監査現場で活用されている生成AIチャットボットの効果とベネフィットを紹介します。

あずさ監査法人では、AIを監査に効果的に活用するための研究を行っており、その成果の一例として、監査現場で活用されている生成AIチャットボットの効果とベネフィットを紹介します。

AZSA Isaac(汎用的なチャットボット)/Chat KOMEI(会計・監査専用のチャットボット)

近年、生成AIの技術が急速に発展し、多くのビジネス分野で活用されています。あずさ監査法人の会計監査の現場では、マイクロソフトが提供する法人向けの生成AIサービス(注)を使用した、高度なセキュリティを持つチャットボットを導入し、既に広範に活用しています。

AZSA Isaacは、幅広い一般公開情報を学習しており、ビジネス全般で役立つ汎用的なチャットボットとして機能しています。具体的には、情報収集やアイデア出し、テキスト生成、翻訳などの多岐にわたる業務に利用されています。

一方、Chat KOMEIは、監査・会計に特化したチャットボットです。監査や会計基準に関する公開されたナレッジだけでなく、KPMG/あずさ監査法人内のガイダンスなどの非公開ナレッジも学習しています。これにより、一般的なチャットボットとは異なり、専門的な用語を理解し、監査チームが必要とする具体的な回答を提供することが可能です。さらに、監査・会計特化型であることから、回答精度向上のためにプロンプト調整を行い、かつ、学習データは常に最新の状態にアップデートしています。また、生成AIが参照した情報の原文に遡ってアクセスする機能を持ち、監査チームがチャットボットの回答の正確性を確認できる仕様としています。

監査チームはAZSA IsaacとChat KOMEIを活用して、監査業務の効率化や監査関与先への迅速な質問対応を可能にしています。現在、監査プラットフォームであるKPMG Claraとの統合や、多様なツールとの連携を実現するための調査・検討を進めており、さらなる監査業務の高度化・効率化を目指しています。

(注)KPMGとマイクロソフトはクラウドとAIに関するグローバル提携関係を拡大しました。これにより、KPMGのクライアントサービスを向上させ、デジタルソリューションの開発を加速させています。詳細は以下のリンクを参照ください。
KPMGとマイクロソフト、 プロフェッショナルサービスの最前線にAIを導入する契約を締結

会計論点検知システムについて
ポイント 監査関与先が得られるベネフィット
(AZSA Isaac)
  • 一般公開情報を学習し、ビジネス全般で役立つ汎用的なチャットボット
  • Normalモードのほか、会計用語を検索する会計専門家モードが選択可能
(Chat KOMEI)
  • 各種論点に関連する会計基準、監査基準、KPMG/あずさ監査法人内のガイダンスなどの非公開情報に基づいて回答を生成。日本基準およびIFRS®会計基準に対応
  • 追加の質問でより精度の高い回答を生成
  • 会計不正の手法等から過去の不正事例の検索も可能
  • 監査チームでの迅速な検討が可能となり、監査関与先へのタイムリーな質問対応が可能

執筆者

あずさ監査法人
Digital Innovation本部

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