ハイライト
2023年の実績
The Consumer Goods Forum(CGF)では、世界中の食品・消費財メーカーおよび小売企業が一丸となって、より持続可能な未来と共通の事業価値へ向けて取り組んでいます。2023年は気候変動や地政学的な出来事が、消費者や業界全体にかつてない重圧を及ぼしましたが、CGFとメンバー企業は持続可能な未来を確保するためのアクションを起こし、インパクトを加速させました。2023年はCGFにとって変化の年であり、5つの重要な「加速分野」や新しい「ネットゼロ」分科会の導入により戦略が強化されました。
戦略を研ぎ澄ます:目標の強化
2023年6月、CGFは京都で開催されたグローバルサミットにおいて「加速分野」を設定しました。これはCGFの分科会が継続的に推進するシステミックな変革を加速させることが目的です。新たに就任した共同議長の2人は、今後2年間、焦点を絞った行動を迅速かつ広範に進め、分科会の強みである協業姿勢をさらに強化するという目標を発表しました。
導入から加速へ:協業によるスピードアップ
業界が多くの課題を抱えるなか、分科会メンバーが持つ知識は重要性を増しています。英国の食品企業pladis GlobalのCEOは、英国企業が森林破壊防止活動を加速させるうえで、分科会の知識へのアクセスが重要であると強調しました。フォレストポジティブ分科会は、同企業がEUの森林破壊防止規則の遵守に備えるなかで豊富な知識を提供し、企業の目標達成に向けた取組みを支援しました。
つながることで影響力を高める:分科会の相互交流
システミックな変革行動を推し進めるうえで、コラボレーションは常にCGFの最前線にあります。2023年、CGFメンバーは協業の範囲を広げ、分科会内外および自らの組織とのつながりを強化しました。人権分科会は、分科会の枠を越えた協業が不可欠であることを示し、フォレストポジティブ分科会による森林破壊撲滅の取組みを共同作業によって捉え直し、すでに確立されている環境重視の視点に人間重視の見方を加えました。
目標を高く:信念に基づく取組み
業界の極めて複雑な課題の進行スピードに、こちらの対応スピードを合わせていく - それがCGFの信念です。効果的かつスピーディーに取組みを実行し、測定し、影響を与えるうえで、データは重要な基盤となっています。CGFのすべての分科会と加速分野にとって製品データは不可欠であるため、製品データ分科会は2023年に2次元バーコードの取組みを新たに加速させ、また、生成AI(GenAI)を今後欠かせないものとして位置づけました。
今後の展望
2023年に直面した課題は今後も拡大し続けるでしょう。CGFはこれまでの変革を基盤に、さらに取組みを進めていきます。具体例は以下のとおりです。
- 新しいガバナンス構造を地域および世界で実行に移す
- 国際的な投資を行い国際的な指針を出す
- 人権とウェルビーイングの取組みを実行する
- 倫理的で持続可能な活動を徹底する
システミックな変革を達成し、「より良いビジネスを通じた、より良い生活の実現」を目指すには、今以上の協業とスピードアップが必要です。
2024年の重点:5つの加速分野
改めてフォーカスした以下の5つの優先分野がCGF全体の取組みを方向付け、今後2年間の業界のベンチマークを定めます。
- フォレストポジティブ:持続可能な林業および供給慣行を導入する
- プラスチック廃棄物:環境にやさしい設計基準を実行する
- 人権:ビジネスオペレーションやサプライチェーンにおいて、人権デュー・ディリジェンス(HRDD)を業界基準として受け入れる
- より健康な暮らし:従業員のウェルビーイングプログラムを確立する
- ネットゼロ:排出量削減の取組みを強化する
分科会のご紹介
より健康的な暮らしのための協働分科会
より健康な暮らしのための協働分科会は、2023年に「従業員ウェルビーイング・キャンペーン」を立ち上げ、CEOのビデオ、マスタークラス、ケーススタディを通じて、従業員の精神的・身体的健康の重要性に対する認識を高めました。また、同分科会は各地のパイロットプロジェクトの学びを活かし、分科会メンバーの変革を支援するコンセプトやアプローチを開発・促進しました。新たな「行動変革の成功」に関するプレイブックでは、パイロットプロジェクトを拡大し、人々をより健康的で持続可能な食生活へと促す成功事例を紹介しています。
プラスチック廃棄物分科会
プラスチック廃棄物分科会は、プラスチック包装の循環型経済の発展を加速させることを目指しています。同分科会のメンバーは2023年、ゴールデン・デザイン・ルールの報告基準を大きく進展させ、報告率100%という記録を達成しました。また、特定の優先市場で拡大生産者責任(EPR)に関するCGFの原則を適応させる取組みを継続しました。その他、「リユース・シティ」パイロット計画策定に関わり、多数の小売企業やブランドを巻き込んだ、全都市的なリユース/リフィル・システムを消費者に提供しようとしています。
食品廃棄物分科会
食品廃棄物分科会は、食品ロスと廃棄物を2030年までに半減させるという世界的なコミットメントをリードしています。2023年のベースライン報告では、効果的な報告および説明責任に関して大きな前進が見られました。また、サプライチェーンの上流でのロスを削減するために、世界自然保護基金(WWF)と協力して農地での食品ロスを測定するための「グローバル・ファーム・ロス・ツール(GFLT)」を試験運用しました。下流では、消費者に家庭での食品廃棄を減らすよう促すための#TooGoodToWasteキャンペーンを立ち上げました。
フォレストポジティブ分科会
森林は世界の陸地の約30%を占めますが、急速に消失しています。フォレストポジティブ分科会は、気候変動との闘いをサポートするため商品サプライチェーンから森林破壊をなくす取組みを加速させています。2023年を通して、同分科会は主要商品に関する情報開示を改善し、全体のKPI開示率は2022年の64%から77%に増加しました。
人権分科会
人権分科会は、バリューチェーンの全段階で労働者の権利が保護、尊重、是正されることを目指しており、2023年に戦略を修正し、社会と環境のサステナビリティのつながりを強化しました。この戦略は、人権デュー・ディリジェンスを業界の基準にすること、また、人権擁護者を優先する方向でフォレストポジティブ分科会との協業を強化するなどして人間と地球のアジェンダを結びつけること、という2つの柱から構成されています。
持続可能なサプライチェーン分科会
持続可能なサプライチェーン分科会の目的は、複雑なサステナビリティランドスケープのなかで調整を図り、企業や組織のサプライチェーンのデューデリジェンスを支援することです。2023年、同分科会は新しい認証スキームおよびベンチマーキング監視プログラムであるレインフォレスト・アライアンス、amfori BSCI、FSSC 24000を導入しました。また環境ベンチマークを深化させ、業界ワーキンググループを結成するとともに、UNEP、FAO、IDHとの連携を図りました。
製品データ分科会
食品・消費財業界には、質の低い製品データが売上損失につながり、消費者の信頼を失うという課題があります。製品データ分科会は、価値ネットワーク、データ交換の自動化、革新的テクノロジーの展開を背景に、他のCGF分科会や加速分野で重要な役割を果たしています。分科会メンバーは、製品データに関連する業界のベストプラクティスやケイパビリティを促進し、ブランドや小売企業が革新的なデジタル手法で消費者とつながれるよう支援しています。
世界的な食品の安全(GFSI)分科会
安全な食品へのアクセスは世界的な課題です。食品安全エコシステムの機能には監査の完全性のレベルを高め続けることが極めて重要であり、2023年、GFSIはその完全性の向上に重きを置いて、各種基準の監視の改善計画を加速させました。また、中小企業の食品安全管理システムの改善をサポートする新しいグローバル・マーケット・プログラム、GmaP™もスタートさせました。
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