国際会計基準審議会、公開草案「再生可能電力に係る契約」を公表
国際会計基準審議会(以下、IASB)は2024年5月8日に、公開草案「再生可能電力に関する契約(IFRS第9号及びIFRS第7号の改訂案)」(以下、本公開草案)を公表しました。本公開草案に対するコメント期限は、2024年8月7日です。
国際会計基準審議会(IASB)は2024年5月8日に、公開草案「再生可能電力に係る契約」を公表しました。本公開草案に対するコメント期限は、2024年8月7日です。
Article Posted date
23 May 2024
本公開草案のポイント
- IASBは、再生可能電力に係る契約の会計処理に関する実務上の課題に対応するため、本公開草案によりIFRS第9号の改訂を提案しています。また、IFRS第9号の改訂の対象となる契約に関する開示を拡充するため、IFRS第7号の改訂を提案しています。
- 本公開草案は、以下の要件をともに満たす再生可能電力に係る契約を対象としています。
- 再生可能電力の生産の源泉が自然に依存するものであるため、電力の供給のタイミングまたは供給量を保証できない。
- 電力購入者が、数量リスク(電力の供給量が、供給時点における購入者の需要量と一致しないリスク)に晒されている。
- 上述の要件を満たす契約について、本公開草案は、以下の会計処理に関する実務上の課題に対応するためにIFRS第9号を改訂する提案を行っています。
- 再生可能電力の購入者による「自己使用」の例外の適用
本公開草案は、再生可能電力の購入者が「自己使用」の例外の適用可否を検討するに際して考慮すべき事項(契約の目的、余剰電力の売却理由等)を定めることを提案しています。 - 再生可能電力の予定売上または予定購入へのヘッジ会計の適用
本公開草案は、一定の要件を満たす場合、再生可能電力の変動する電力量をヘッジ対象として指定することを認め、ヘッジ対象の測定にあたり、ヘッジ手段と同様の数量に関する前提を用いることを認める提案をしています。
- 再生可能電力の購入者による「自己使用」の例外の適用
- 本公開草案は、IFRS第7号の改訂により、再生可能電力に係る契約条件、公正価値測定に関連する情報、企業の業績に与える影響等の開示を求めることを提案しています。
PDFの内容
- 本公開草案の背景
- 本公開草案の概要
- 適用時期及び移行措置
執筆者
有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
シニアマネジャー 渡辺 真理