国際会計基準審議会、「自然依存電力を参照する契約―IFRS第9号及びIFRS第7号の改訂」を公表

国際会計基準審議会(IASB)は2024年12月18日に、「自然依存電力を参照する契約―IFRS第9号及びIFRS第7号の改訂」を公表しました。

国際会計基準審議会(IASB)は2024年12月18日に、「自然依存電力を参照する契約―IFRS第9号及びIFRS第7号の改訂」を公表しました。

本改訂のポイント

  • IASBは、自然依存電力を参照する契約の会計処理に関する実務上の課題に対応するため、IFRS第9号を改訂しました。また、当該IFRS第9号の改訂が意図しない結果を招くリスクを軽減するため、IFRS第7号の改訂により開示要求事項を追加しました。
  • 本改訂の適用範囲は、自然依存電力を参照する契約に限定され、その他の契約等に類推適用することは禁止されています。自然依存電力を参照する契約とは、発電の源泉が天候等の制御不能な自然条件に依存するため、基礎となる電力量の変動リスクに企業が晒される契約をいいます。自然依存電力を参照する契約には、自然依存電力の売買契約の他に、自然依存電力を参照する金融商品も含まれます。
  • 自然依存電力の購入者は、電力を利用できないタイミングで電力を購入せざるを得ないリスクに晒されています。また、対象の電力が取引されている電力市場のデザイン及び運用上の理由から、企業が使用されなかった電力を一定期間内で売却することを回避する実際上の能力を有さないケースもあります。
    そのような状況での電力の売却は、「自己使用」の例外の要求事項の適用にあたり、契約が電力の購入者である企業の予想される使用の必要に従って締結され、保有されていることと必ずしも不整合を生じるものではない旨が明確化されました。ただし、企業の予想される使用の必要に従っていると判断するには、使用されなかった電力を売却した市場と同じ市場において、売却を相殺するのに十分な購入を行うことで、契約期間を通じて、企業が純額では電力の買手であり、今後も引き続き純額で電力の買手であり続けると予想される必要があります。純額で電力の買手にあたるかを検討する際には、過大なコストや労力をかけずに利用可能で、合理的で裏付け可能な、過去、現在及び予想される将来の電力取引に関する情報を、12か月以内の合理的な期間に亘って考慮する必要があります。
  • 自然依存電力を参照する契約をヘッジ手段として電力の予定取引のヘッジを行う場合、ヘッジ手段が参照する発電設備から供給されると予想される変動電力量と一致する変動電力量の名目量をヘッジ対象として指定することが認められました。
  • 本改訂は2026年1月1日以後開始する事業年度より適用されますが、本改訂の公表日以後開始する報告期間より早期適用することも認められます。

PDFの内容

  1. 本改訂の背景
  2. 本改訂の概要
  3. 適用時期及び移行措置

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
シニアマネジャー 渡辺 真理

お問合せ

参考情報へのリンク(外部サイト)

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。