Net Zero Readiness Report 2023 日本語抄訳版

2050年までのネットゼロ達成に向けたグローバル全体の進捗状況、および課題克服に向け求められる対応につき、KPMGに所属するESG各分野の専門家による考察を交え、主要経済セクターの分析結果を纏めた 「Net Zero Readiness Report 2023」 の日本語抄訳版を発行しました。

2050年までのネットゼロ達成に向けた主要経済セクターの進捗状況と、課題克服に向けた洞察に関する分析結果を纏めた報告書を発行しました。

気温上昇を1.5℃に抑制し、地球温暖化が経済社会に及ぼす深刻なダメージを緩和するため、各国は2050年までのネットゼロ達成に向けた取組みを加速させています。低炭素エネルギー開発への投資額は化石燃料をはるかに上回る規模となっており、電気自動車の販売シェアは2020年から2022年までの間で3倍に拡大しています。一方、グローバル全体の排出量においては、2020年はコロナ禍の影響で減少したものの、2021年には2019年と同等の水準までリバウンドし、2022年はさらに増加しました。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格高騰や金利上昇、経済成長の鈍化などの社会情勢の変化が環境政策の優先度を押し下げる可能性も懸念されています。各国政府・企業は、かつてない困難に直面しながらも、中長期的な社会システムの安定性と持続的な成長を担保するために、排出削減と経済性を両立させつつ取組みを着実に進めていく必要があります。

KPMGメンバーから読者の皆様へ

2022年8月に成立した米国のインフレ抑制法を始め、各国政府は、気候変動リスクの低減と自国の産業競争力向上を意図した政策を次々と発表し、多額の資金を投入しています。急速かつ大規模な排出削減には、送電網線の増強や充電設備の拡充などのインフラ整備、持続可能な航空燃料(SAF)や合成燃料(E-fuels)などの技術開発を含め、乗り越えるべき障壁が数多く存在します。必要となる設備投資や研究開発を促進するために、EUなど各地域でカーボンプライシングの導入も進んでいます。各国の動向を受け、日本でも2023年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定され、GX経済移行債の発行を通じた水素やアンモニア、蓄電池などの脱炭素技術への投資計画を発表しています。本報告書では、24ヵ国のKPMG気候変動専門家と各経済セクターのKPMGグローバル専門家へのインタビューに基づき、気候変動対応における重要セクター(経済、電力、運輸、工業、農業)のネットゼロへの移行に向けた進捗と課題を検証しています。各国政府や産業界の現在地を評価し、直面する課題と克服に向けた道筋に関する洞察を提供することを目的としています。

本報告書が、各社の気候変動対応の推進の一助となれば幸いです。

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