1.収益性の高い持続可能な成長 - あるいは一時的活況か

ポストコロナにおける新規プロジェクト、各国政府によるインフラ支援、ESGに基づいた再生可能エネルギーおよび循環経済プロジェクトの推進などにより、世界のエンジニアリング・建設業界は、機運に恵まれているように見受けられます。一方、ロシアによるウクライナ侵攻や、西側諸国による中国経済分断の可能性、資源の制約、サプライチェーンの混乱など、恒常的なボラティリティの高まりに直面しており、コスト上昇やプロジェクトパフォーマンスの低迷といった課題も挙げられます。

2.高まるESGの影響

KPMGの論文「Construction in 2030」では、建設業界は高炭素、高廃棄物、高汚染の業界とみなされ、希少資源の大量使用、再生可能エネルギーの導入遅延、限定的なダイバーシティなどの課題が指摘されています。また、建設方法や建物、インフラの持続可能性に関する規制圧力にも直面しています。こうした背景下、施主(プロジェクトオーナー)は温室効果ガスの排出量削減と再生可能エネルギー施設・設備の開発に、コントラクターはダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)や政府要件への達成などの社会貢献に対する関心を高めています。

3.大規模なイノベーション競争

デジタルテクノロジーなどの革新的テクノロジーは、プロジェクトのパフォーマンス向上、安全かつ持続可能な工法の導入、建物とインフラの品質や効率の改善、カーボンフットプリントの削減といったさまざまな課題解決のための重要手段の1つであり、今後さらなる発展が予想されます。巨大テック企業が新しいイノベーションを生み出す協力者となる可能性がある一方で、データに基づく市場シェアの獲得や人材確保の面で競合となる可能性もあります。

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