有価証券報告書の開示に関するデータ分析

あずさ監査法人は、2023年3月期の有価証券報告書から記載が義務付けられた人的資本及びサステナビリティ情報の開示を対象としてデータ分析を行い、その内容をまとめました。

あずさ監査法人は、2023年3月期の有価証券報告書から記載が義務付けられた人的資本及びサステナビリティ情報の開示を対象としてデータ分析を行い、その内容をまとめました。

企業内容等の開示に関する内閣府令の改正により、2023年3月期から有価証券報告書の「従業員の状況」における人的資本の多様性に関する指標と「サステナビリティに関する考え方及び取組」が記載項目として追加されました。今回あずさ監査法人は、新たに追加された人的資本とサステナビリティ情報の開示データを使って、これらの開示データと投資行動の関係性や上場会社が開示する情報量の変化について分析を行いました。

データの分析にあたっては、金融庁のEDINETから2023年3月決算会社のXBRLデータをダウンロードし、必要なデータを収集しました。特に人的資本の多様性に関する指標(ただし、男性の育児休業取得率に関するものを除く)については、ChatGPTを利用して分析用データの収集を行いました。

また、サステナビリティ情報の開示については、新たな試みとして「情報量」という概念を導入し、文字情報と画像情報を合わせた分析を行いました。

主なポイント

分析結果の主なポイントは、以下の通りです。

  • PBRを基準とした女性管理職比率と男女の賃金差異の分析によると、一般的に、女性の活躍が進んでいる会社ほどPBRは高く、進んでいない会社ほどPBRは低い傾向がある(図表1)。

  • 女性管理職比率の分布については、PBR1倍未満の会社の平均値が7.2%であったのに対して、PBR1.5倍以上の会社の平均値は14.2%と大きな差異が確認された。

  • 男女の賃金の差異については、PBR1倍未満の会社の平均値が65.8%であったのに対して、PBR1.5倍以上の会社の平均値は69.3%と若干の差異が確認された。

  • 東証グロースに上場している会社は東証プライム・スタンダードに上場している会社と比べて、女性管理職が相対的に多い会社の比率が高いことが判明した。

  • 東証プライムに上場している会社は、東証スタンダード・グロースに上場している会社に比べて、「サステナビリティに関する考え方及び取組」において、サステナビリティ情報の記述量が多くなる傾向にある。

 

(図表1)女性管理職比率の分析

女性管理職

詳細な分析結果はPDFをご参照ください。

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