現在の市場と地政学上の問題を考慮した「自己使用」の例外の適用(IFRS第9号)-IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース -「現在の市場と地政学上の問題を考慮した「自己使用」の例外の適用(IFRS第9号)」については、2023年7月のIASB会議において審議された内容を更新しています。

「現在の市場と地政学上の問題を考慮した「自己使用」の例外の適用(IFRS第9号)」については、2023年7月のIASB会議において審議された内容を更新しています。

委員会は、物理的な引渡しを伴うエネルギー購入契約へのIFRS第9号2.4項(いわゆる「自己使用」の例外)の適用に関する要望書で寄せられた以下の質問について議論しました。

  • 物理的な電力購入契約(フィジカルPPA)期間中、引渡し時に企業が消費不能となるのが不可避な時期に電力を市場売却せざるを得ない場合、「自己使用」の例外を適用できるか。
  • 現在の経済的及び地政学的な環境により企業が節電努力を行った結果、あらかじめ物理的な供給を確保し価格を固定する先渡契約の一部が不要となり企業が電力供給業者との間で純額決済を行った場合、IFRS第9号2.6項(b)の純額決済する慣行を有していると判断されるか。
  • 電力購入契約で供給されるエネルギー量が確約されておらず、企業の需要を上回る供給量が市場で売却される可能性がある場合、「自己使用」の例外を適用できるか。

2023年6月の委員会からの提案を受けて、IASBはIFRS第9号を修正する狭い範囲の基準設定に着手しました。2024年3月のIASB会議では、電力購入契約に関する公開草案(5月公表予定)の範囲を一定の要件を満たす自然由来の再生可能エネルギーに係る契約に限定することや、「自己使用」の例外を適用するに当たって電力の購入者は契約期間にわたり以下を考慮しなければならないことを含む、下記の事項等を暫定的に決定しました。

a.契約の目的等。また、契約に基づいて購入することが期待される量が、購入者の購入又は使用の必要に従っているかどうか。

b.過去及び将来予想される未使用電力の売却の理由。また、そうした売却が購入者の購入又は使用の必要に従っているかどうか。

  • ヘッジ会計の要求事項に関して提案された修正事項
    前述の公開草案の範囲に含まれる再生可能エネルギーの契約に関するヘッジ関係(キャッシュ・フロー・ヘッジ)を検討する際、以下のすべてに該当する場合に限り、当該再生可能エネルギーの将来の売却又は購入量は、ヘッジ対象として指定することが認められる。

a.ヘッジ対象の量は、ヘッジ手段の対象となっている量の一定割合である。

b.ヘッジ対象とヘッジ手段は、量について同様の仮定に基づき測定される。

c.上記a.、b.でヘッジ対象に指定された再生可能エネルギーの将来の予定売却又は購入量について、電力の購入者については、ヘッジ対象に指定される見積り電力購入量を十分に上回る、発生可能性の非常に高い(highly probable)予定購入量があること。なお、電力の売却者(発電事業者)については、ヘッジ対象に指定された再生可能エネルギーの将来の予定売却又は購入量について発生可能性が非常に高いことは要求しない。

  • 電力購入契約に関する開示要求事項の提案
  • 経過措置に関する提案

お問合せ

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。