調査の概要
KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパンは、その前身組織の1つであるKPMGジャパン統合報告アドバイザリーグループとして初めてセミナーを開催した2012年より、さまざまな情報提供と、セミナー参加者へのアンケートを通じて、企業報告の取組みについての意識調査を行ってきました。
12年目を迎えた2023年4月開催の企業報告セミナーでは、参加者を対象に、統合報告書やサステナビリティ報告書の自主的な取組み状況、統合報告書・有価証券報告書・サステナビリティ報告書で報告内容の連携を図る際の課題、より良い企業報告の実現にあたっての課題など、7項目についてアンケートを実施しました。最新の調査結果を中心に、2012年から12年間のセミナーで得たアンケート結果(のべ3,324名)について分析しています。
調査項目
Q1. 「統合報告書」の作成状況は?
Q2. 「統合報告書」および統合報告書とは別の独立した「サステナビリティ報告書」の作成状況は?
Q3. 「統合報告書」と「サステナビリティ報告書」、それぞれの主たる想定利用者は?
Q4. 「統合報告」と「サステナビリティ報告」、それぞれの推進にあたり、経営層で最も関与しているのは?
Q5. 「統合報告書」、「有価証券報告書」、「サステナビリティ報告書」における報告内容の連携を図る際の課題は?
Q6. 企業報告におけるマテリアリティとは、どのようなものだととらえているか?
Q7. 企業報告全体の高度化を実現するために、貴社において重要な課題と考えられる点は?
調査結果のハイライト
企業報告全体の高度化のために、統合的思考をより意識した経営が必要とされている
企業報告全体の高度化を実現するための重要な課題については、2022年と比較すると、「統合的思考をより意識した経営」と「サステナビリティ課題に関する情報と財務情報との一層の関連付け」の2つに回答が集中し、ともに3割を超えています。
2023年6月末までにIFRS®サステナビリティ開示基準の公表を予定しているIFRS財団も、国際会計基準審議会(IASB)と国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が求める報告の結合性(connectivity)を重視し、統合的思考と統合報告の実践を推奨しています。統合的思考のもと、環境や社会的な課題等が財務状況にどのような影響を及ぼし、その結果、企業価値にどのように影響するのかを分析し、管理することが、今後一層求められると想定されます。
執筆者
KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン