ブラジル:OECDに適合した移転価格税制法案が下院で可決し、上院での採決に移行

2023年3月30日、ブラジルの下院議会は、移転価格税制を従来の独自の計算式に基づく移転価格ルールからOECDガイドラインに適合した独立企業間原則に移行するという、大幅な変更を行った暫定令1,152号を可決しました。

2023年3月30日、ブラジルの下院議会は大幅な変更を行った暫定令1,152号を可決しました。

ブラジル政府は2022年12月29日に暫定令1,152号を発表し、ブラジル議会(下院および上院)は120日以内に当該暫定令を一般法として成立する必要がありました。2023年3月30日、ブラジルの下院議会は、移転価格税制を従来の独自の計算式に基づく移転価格ルールからOECDガイドラインに適合した独立企業間原則に移行するという、大幅な変更を行った暫定令1,152号を可決しました。

KPMGブラジルは、可決された法案8号/2023(Projeto de Lei de Conversão n.8/2023)に係る暫定令1,152号からの変更点を解説したニューズレター(英語)を発行しました。

日本語訳は以下になります。

2023年3月30日、ブラジルの下院議会は、移転価格税制を従来の独自の計算式に基づく移転価格ルールからOECDガイドラインに適合した独立企業間原則に移行するという、大幅な変更を行った暫定令1,152号を可決しました。

ブラジル政府は2022年12月29日に暫定令1,152号を発表しており、ブラジル議会(下院および上院)は120日以内に当該暫定令を一般法として成立する必要がありました 。暫定令1,152号はブラジルの移転価格制度に独立企業間原則を導入するほか、新たな移転価格の算定方法と文書化要件の設定、さらに無形資産、金融取引および事業再編の取扱いに大きな変更をもたらしています。

暫定令の一般法としての成立に向け、先日行われた政府と野党間の会合で、前政権が施行した暫定令の採決について合意に達したことで動きが加速化し、3月30日に下院で暫定令の採決が行われ、369対10の賛成多数で可決されました。

可決された法案8号/2023(Projeto de Lei de Conversão n.8/2023)では、国会での議論を経て、以下の変更が加えられています。

  • 低税率国や特別な税制(ブラジルの法律での定義上)において活動する関連当事者に支払われるロイヤルティは、独立企業間原則に則っている限り、損金算入が可能。
  • 移転価格が独立企業間原則を満たしていないとみなされたケースにおいて、税務当局によって二次調整が行われることは認められない。
  • コモディティに対しては、取引の内容と状況、バリューチェーンにおける他のグループ会社と比較した機能、リスク、資産等により、他の算定方法がより適切であると判断されない限り、独立価格比準法(CUP法)が最適な方法とみなされる。

今後のステップ

上院は、今後60日以内に法案を可決する必要があります。上院が法案を修正せずに可決を行うのか、もしくは法案を否決して下院に修正を促すのか、現時点では明らかになっていません。

KPMGの税務専門家は、法案が可決される可能性が高く、ブラジルに所在する企業は2024年度から新制度に基いた移転価格文書の作成および提示を求められることになると予測しています。また、企業が新制度を2023年度から適用することも可能となります。

なお、上記の日本語訳は一般的な情報の提供を目的に作成しているものであり、正確性を期すために必ず原文をご参照いただきますようお願いします。また、何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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