日系製薬企業の海外進出状況と海外事業展開で直面するリスクへの対応

近年、医療費抑制を目的とした薬価改正により、製薬企業を取り巻く経営環境は一層厳しさを増しているなか、多くの日系製薬企業が日本市場から海外市場に軸足を移しています。海外での事業展開には、商慣行や法規制の違い、品質問題、また地政学リスクの高まりなど安定供給への阻害リスクも顕在しています。

本レポートでは、日系製薬企業の海外進出状況を俯瞰し、海外での事業展開・運営を行う上で注目すべきリスクとその対応について考察します。

近年、医療費抑制を目的とした薬価改正により、製薬企業を取り巻く経営環境は一層厳しさを増している状況であり、多くの日系製薬企業が日本市場から海外市場に軸足を移しています。こうした環境下では、商慣行や法規制の違いから多くのリスクに直面していることに加えて、昨今の品質問題や地政学リスクの高まりなど安定供給の阻害リスクも顕在化しており、事業継続に対する意識の高まりやサプライチェーンの再編の機運が高まっている状況です。このレポートでは事業継続に対する取組みのトレンドとサプライチェーン再編における考慮事項について考察します。

ポイント

薬価改定のインパクトと日系製薬企業の海外展開状況

従来、2年に1度実施されていた薬価改定が2021年から毎年改定となり、製薬企業は厳しい価格の引き下げ圧力にさらされ、一部の統計では10%近い影響を受ける企業や、適応拡大も売上自体が増えないケースなど、大きな経営インパクトを受けています。医薬品市場自体が頭打ちするなかで、製薬企業はビジネスフィールドを日本から海外に移す流れはここ数年続いており、直近の3年間は10社平均で約2.5ポイントずつ上昇しています。

海外の事業展開・運営で直面するリスク

医薬品を取り巻くガイドラインのグローバル化が進むなかで、各国におけるオペレーションのギャップは縮小傾向にありますが、依然として知的財産の保護やローカル規制など、法規制では企業が不利益を被るようなリスクが数多くあります。また原薬調達が特定の国に集中していることによる安全保障上の懸念や、相次ぐ品質問題による出荷停止など、安定供給を脅かすリスクは喫緊で対処すべき課題です。

事業継続と安定供給に関する取組み

事業継続に関する取組みでは、事業継続に関する国際規格であるISO22301への認証取得・維持や、オペレーションモデルの変革に伴い、これまでのBCPを変革させる取組みが行われています。

安定供給に関する取組みでは、従来のコスト面だけではなく、環境・ESGの観点や、地政学リスクを加味した形でサプライチェーン・ネットワークの見直しを行うケースが増えています。

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