データセンター事業に関する投資機会の現況
2018年以降、年間20%以上の増加を続けてきたインターネットのデータ通信量(トラフィック)は、2020年には新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、コンテンツストリーミング、リモートワーク向けの需要によって40%まで急増しました。2020年には旺盛な需要を充たすため、推定360億ドルが新規投資されています。
他の商業用不動産の価値が下落したにもかかわらず、この事業領域はコロナ禍の影響をほとんど受けておらず、データセンターの価値は上昇しています。
しかし、市場では以下の要因により、収益率の高い投資に変化が生じつつあります。
- ソフトウェア定義ネットワークの採用
- ハイパースケーラーの台頭
- Tier1都市における飽和
現時点で考えられる3つの投資機会
上述の動向から、KPMGではデータセンター投資に関する3つのテーマを考察しています。
- エッジデータセンター
- Tier2都市
- 既存資産の最適化
1.エッジコンピューティング
エッジコンピューティングは、IoTや5G用途を実現するインフラです。エッジコンピューティングにより、各種リソースをエンドユーザーだけでなく接続領域に対しても近接させることが可能です。
エッジへのアプローチ
エッジコンピューティングへのアプローチは、以下の3つの方法があります。
- 電気通信インフラ
- ピアリングポイント
- コロケーション、クラウド、エンタープライズデータセンター
2.Tier2都市
Tier2都市の需要は、コロナ禍を背景とした在宅勤務などにより、Tier1都市より速いペースで伸長しています。データセンターは、供給不足にあるTier2都市において、より高い料金の請求が可能なため、新規参入企業にとって商機となっています。
Tier2市場の開拓
投資家は以下を行う必要があります。
- 未活用のバックホールと旺盛な需要が存在する都市の特定と分析
- 5Gの普及、IoT、4K動画に関する人口動態分析を利用した需要の追跡
- 利用可能な光ファイバーの距離とその活用、また既存データセンターの分析
Tier2都市の投資機会を評価するためのKPMGツール
- Tier1都市、Tier2都市に近い光ファイバー・ルーティング・ネットワークに関するGIS分析
- データセンター事業者がTier1都市とTier2都市で課金可能な料率に関する比較分析
- Tier1都市、Tier2都市における累計の純需要の傾向と将来予測に関する人口動態分析
3.既存資産の最適化
事業者は増加する需要の取り込みに注力していますが、パフォーマンスの改善を通じて最終利益を増大する機会を見逃しています。
最適化の維持
- コスト削減
データセンター事業者は、ハイパースケーラーが採用しているコスト削減施策の利用は困難です。中小データセンターは、買収やリストラ、拡張に目を向け、立地、設置場所、製品ライン、顧客セグメント、IT計画全体でコストを削減すべきでしょう。 - 効率性の改善
コストが突出している事業単位の分析により、インフラ運営と人員配置を最適化し、コスト削減を進めることができます。また、R&DやバックオフィスにおけるIT費用は、市場の需要変化と長期的な戦略目標に沿った再調整により削減可能です。 - 設備投資にアナリティクスを活用
先進的アナリティクスは、資本配分の優先順位付け、拡張機会の評価、「取得か開発か」の判断に活用できます。
KPMGが支援可能な範囲
KPMGは、データセンターへの投資を検討する企業をトランザクションとオペレーションの観点から支援し、さらにオペレーショナルデューデリジェンスからバリュエーションまで支援します。
KPMGのツールキットには、データセンター所有者の固有のニーズに合わせた原価計算メソドロジー、全米のデータセンター、光ファイバールート、独自の地理空間ツールが含まれています。これにより、以下の知見が得られます。
- 顧客(企業やデータセンター、インフラ、住宅など)
- 新製品(FTTH、固定無線など)の需要を理解するための既存のブロードバンド技術
- 人口動態/トラフィックの変化などの将来予測指標(forward looking indicators)
- 獲得可能(addressable)市場規模(TAM/SAM)
- M&A対象企業分析(買収とパートナーシップ)
- 競争ポジション
- 具体的な活用案に基づく成長機会
- 資本配分の最適化
英語コンテンツ(原文)
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