製薬企業におけるESG課題の考察
本稿では、製薬業界におけるESG課題について、特に重要と考えられる3つのテーマを挙げて、重要とされている理由から業界の動向、今後の方向性を考察します。なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。
製薬業界におけるESG課題について、特に重要と考えられる3つのテーマを挙げて、重要とされている理由から業界の動向、今後の方向性を考察します。
日系製薬企業においても、サステナビリティに取り組むことの重要性は認識されています。一方で、そもそも生命を救う画期的な医薬品を社会に提供していることもあって、サステナビリティへの取組みの重要性は認識しつつも、社会にプラスの影響を与える事業オペレーションのあり方について踏み込んで検討を進めている日系製薬企業は、欧米系製薬企業や日系の他業界の企業と比べるといまだ少ないように見受けられます。
本稿では、製薬業界におけるESG課題について、特に重要と考えられる3つのテーマを挙げて、重要とされている理由から業界の動向、今後の方向性を考察します。なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。
ポイント
サプライチェーン管理
製薬企業の根幹の事業を支える要素であり、海外事業の成長やコロナ禍によるサプライチェーンの断絶などの影響により、見直しを進める日系製薬企業が増えている。今後はデジタルデータを活用して、製品の原材料の調達から販売に至るまでの一連の流れを効率化し、意思決定を最適化することが期待される。
データセキュリティ
医薬品の開発から販売までバリューチェーンの中で扱う個人データや企業機密データを保護するための重要な取組みであり、日系製薬企業の創薬におけるゲノムデータの活用やデジタルヘルス事業への移行等が進む中、ますます重要性が高まっている。今後は関係者間のデータ共有やAIによるデータ分析も進む中、日系製薬企業は取引先も巻き込み、規制やガイドラインへの対応を進める見込みである。
医薬品の安全性
各国の規制に基づき、すべての製薬企業が日々取り組んでいるテーマである一方で、製造不正問題が発生したこともあり注目が集まっている。今後はESG活動の中での開示の方法、並びに、医薬品の安全性が損なわれた場合の対応に備えたガバナンスの強化が課題である。
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