税務の位置づけに係る大変革(要約版)~透明性の追求と一般開示~

近年、税務に関する情報や位置づけが大きく変わりつつあります。税の透明性に関する取組みが加速しており、EUにおける税額情報等の義務的開示を含めた、税を取り巻く環境の変化について解説します。

税務に関する情報や位置づけが大きく変わりつつあります。税の透明性に関する取組みが加速しており、EUにおける税額情報等の義務的開示を含めた、税を取り巻く環境の変化について解説します。

税務への意識

税務といえば、歴史的には各国の税法に基づき、正しく納税しているかが問われてきました。しかし、2010年代前半には各国の税務のルールが統一的でないことが問題視されてBEPSプロジェクトが立ち上がり、グローバル企業に焦点を当てた、国を跨ぐグローバルな視点での税制の見直しが行われています。そのようななかで、日系企業でも、各国のルールに従ってコンプライアンスを高めるだけでは不十分と考えられるようになりました。

税務情報の使われ方

「国別報告書(CBCR:Country by Country Report)」や「マスターファイル」によって、各国の税務当局は、自国のみならず納税者の企業グループがどのような事業を行い、どの国でどの程度の事業活動や事業規模、納税を行っているのかといった情報を確認できるようになりました。近年では、各国税務当局が納税者情報のデータベース化や定量的な分析を行うようになってきていると言われています。
税の透明性に関してもBEPSプロジェクトの議題の1つとされ、各国やグローバル企業において、税務関連情報の公開等に関するさまざまな取組みが行われています。

また、2021年にはEUにおいて、国別の税額情報等の一般公開義務付け(以下、「Public CBCR」)が正式に合意・発効されました。今後EU各国での国内法制化を経て、該当する企業に関しては、国別の納税情報の一般開示が義務付けられることとなりました。

まとめ

税の透明性は、世界的に重要な論点の1つである一方で、税務方針や行動規範を公開したところで、そこに実態が伴っていなければ本質的な意味はなく、しっかりと内部の税務ガバナンス体制や税務ポリシーの構築、運用を行っていくことが重要といえます。

税の透明性に関するグローバル企業への圧力が高まる中で、BEPS2.0と呼ばれる新たな国際課税の仕組みの導入も迫ってきており、企業の税務管理体制の強化が一層求められる時代になっています。

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執筆者

KPMG税理士法人
消費財・小売セクター
パートナー 森 雅史