IPOマーケットレポート(10/21~11/1)
東証プライムに2社、東証グロースに3社、札証アンビシャスに1社の合計6社が新規上場しました。
東証プライムに2社、東証グロースに3社、札証アンビシャスに1社の合計6社が新規上場しました。
1.直近のIPOの状況
上場日 | 会社名 | 事業内容 | 市場 | 主幹事 | 売上高 | 公開価格 | 初値 時価総額 |
監査法人 | 経常利益 | 初値 | |||||
10/21 | 伸和ホールディングス | 飲食事業として「炭火居酒屋炎」、物販事業として「美唄焼鳥・惣菜炎」の展開等。 | 札A | アイザワ | 5,872 | 1,650 | 2,066 |
トーマツ | 209 | 1,530 | |||||
10/22 | Schoo | 個人・法人向けオンライン動画学習サービスの提供 | 東G | 野村 | 2,008 | 690 | 8,835 |
EY新日本 | ▲ 672 | 761 | |||||
10/23 | 東京地下鉄 | 旅客鉄道事業の運営、駅構内店舗、商業施設の運営、不動産事業等 | 東P | 野村 | 389,267 | 1,200 | 947,030 |
トーマツ | 65,866 | 1,630 | |||||
10/25 | リガク・ホールディングス | X線技術等を用いた理科学機器の製造・販売 | 東P | 野村 | 79,887 | 1,260 | 271,449 |
PwC Japan | 15,256 | 1,205 | |||||
10/28 | Hmcomm | 音声認識処理、異音検知・自然言語解析処理を用いたプロダクトの提供等 | 東G | SMBC日興 | 801 | 850 | 4,463 |
EY新日本 | 87 | 1,128 | |||||
10/29 | Sapeet | Expert AIを活用したAIプロダクトおよびAIソリューションの提供 | 東G | SMBC日興 | 421 | 1,500 | 3,493 |
アヴァンティア | ▲ 147 | 2,285 |
※売上高・経常利益は、直前期の数値。また、単位は、売上高・経常利益・時価総額は百万円、公開価格・初値は円で記載。
※国際財務報告基準(IFRSⓇ会計基準)により、財務諸表を作成している会社は経常利益に代えて税引前当期利益を記載。
※市場区分については、東P(東証プライム)、東G(東証グロース)、札A(札証アンビシャス)を表示。
2.IPO市場の概況
東証プライムに2社、東証グロースに3社、札証アンビシャスに1社の合計6社が新規上場しました。
10月23日に東証プライムに上場した東京地下鉄は、同社および連結子会社14社から構成され、首都圏の交通を支える地下鉄「東京メトロ」を運営する運輸業を主に展開しています。2024年3月期ではインバウンド需要の回復により、旅客運輸収入がコロナ禍前の水準に回復しており、運輸業の収益が全体の95%を占めました。一方で、不動産事業や流通・広告などの事業の多角化に注力し、成長を図っています。同社の株式は政府が53.4%、東京都が46.6%を保有し、上場に合わせて全体の5割の株式をグローバルオファリングにより売出しました。政府保有株式の放出による新規上場は、2015年の郵政3社以来となります。こちらの初値は公募価格を約35.8%上回り、2018年に上場した通信会社ソフトバンク以来の初値時価総額となりました。
10月25日に東証プライムに上場したリガク・ホールディングスは、同社および連結子会社17社で構成され、X線技術を活用した産業向けの分析・計測装置の製造販売を展開しています。応用分野は電子部品、電池、ライフサイエンスなど幅広く、国内外の大学や民間の研究機関向けにX線回析装置などを販売しています。特に半導体の製造工程プロセスにおけるX線装置を成長分野として注力し、北米やアジアの半導体製造企業の需要拡大を取り込み海外売上高比率は約7割で推移しています。同社は1951年に創業され、2020年に米国投資ファンドのカーライル・グループから出資を受け、事業再編を経て上場を果たしました。こちらの初値は公募価格を約4.4%下回りました。
10月29日に東証グロースに上場したSapeetは、各領域の専門家の知見をAIが再現・サポートし、コア業務の価値を増幅・拡張するExpert AI事業を展開しています。身体分析やコミュニケーションに関するアルゴリズムに強みを持ち、顧客企業のニーズに応じた製品開発支援およびコンサルティングを提供しています。また、整形外科医・理学療法士等の専門家ノウハウを再現し、姿勢分析や体の歪みを可視化する自社製品などをSaaSで提供しています。同社は2016年に東大発スタートアップとして設立され、2018年にPKSHA Technology社が買収し、成長資金や先端技術の業務連携などにより事業を伸長させ、上場を果たしました。こちらの初値は公募価格を約52.3%上回りました。
3.市場別IPO社数(上場承認公表ベース:年初からの累計)
(11/1上場承認公表分まで)
合計 | 東証プライム | 東証スタンダード | 東証グロース | その他※ |
---|---|---|---|---|
71社 | 3社 | 10社 | 54社 | 4社 |
シェア | 4.2% | 14.1% | 76.1% | 5.6% |
※その他:名証ネクスト、福証Qボード、札証アンビシャスの集計
4. 初値騰落率(平均)の推移(直近2年間の四半期ベース)
執筆者
あずさ監査法人
企業成長支援本部 古口 長一郎