IPOマーケットレポート(4/8~4/19)
東証グロースに3社の新規上場が行われました。
東証グロースに3社の新規上場が行われました。
1.直近のIPOの状況
上場日 | 会社名 | 事業内容 | 市場 | 主幹事 | 売上高 | 公開価格 | 初値 時価総額 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
監査法人 | 経常利益 | 初値 | |||||
4/8 | イタミアート | BtoB向けECサイトを通じたセールスプロモーション商材の企画・制作・販売 | 東G | 東海東京 | 2,507 | 1,600 | 2,940 |
あずさ | 111 | 2,000 | |||||
4/11 | ハンモック | 「IT資産管理・セキュリティ対策」等の業務支援システムの開発、提供 | 東G | SMBC日興 | 3,994 | 2,060 | 9,418 |
PwC Japan | 504 | 2,160 | |||||
4/16 | Will Smart | モビリティ業界の事業課題解決に対するDX技術ソリューションの企画・提案等 | 東G | 大和 | 813 | 1,656 | 2,282 |
トーマツ | ▲ 179 | 1,580 |
※売上高・経常利益は、直前期の数値。また、単位は、売上高・経常利益・時価総額は百万円、公開価格・初値は円で記載。
※国際財務報告基準(IFRS®会計基準)により、財務諸表を作成している会社は経常利益に代えて税引前当期利益を記載。
※市場区分については、東G(東証グロース)を表示。
2.IPO市場の概況
東証グロースに3社の新規上場が行われました。
4月8日に東証グロースに上場したイタミアートは、のぼり旗や横断幕、看板、冊子、パネル等の販促用の商材を法人向けECサイト「キングシリーズ」を通じて、飲食店や小売店、広告代理店などに販売しています。品目ごとに独立した18のサイトを運営し、商品企画から制作、出荷までの全工程を自社で手掛け、少量・多品種・短納期で販売できることを特徴としています。主力サイトの「のぼりキング」での注文数は年間8.5万件を超えて推移し、大量注文にも対応しているため、原材料調達における価格交渉力をもち、自社開発した受注管理や製造管理のシステムにより効率的な生産体制を整えています。販促商材をEC販売している競合は少なく、売上の約75%がリピートの注文となっています。また、大口顧客には営業担当者をつけてECでは見えづらいニーズに対応して卸売価格で販売しています。こちらの初値は公募価格を25.0%上回りました。
4月11日に東証グロースに上場したハンモックは、企業の業務を支援・効率化するシステムやクラウドサービスを展開しています。主力のネットワークソリューションでは、企業内のパソコンやネットワーク等のIT資産や情報セキュリティ対策を統合的に管理できるソフトウエア「AssetView」シリーズを展開し、サーバコストの低減や統合データを効率的に活用できる点が評価されています。また、セールスDXソリューションでは取引先の名刺などの企業データと企業内に点在する営業情報を掛け合わせて分析し、ポテンシャルの高い見込み顧客データベースを提供しています。2023年3月末時点の同社製品の契約社数は2,957社で、官公庁のほか幅広い業種の大手企業から中小企業まで導入しています。こちらの初値は公募価格を約4.9%上回りました。
4月16日に東証グロースに上場したWill Smartは、公共交通機関が抱える課題に対してデジタル技術を活用して解決するDXソリューションを展開しています。主力の総合情報配信サービスでは、バスターミナルや空港などのダイヤ情報や空席情報をデジタルサイネージに表示するシステムなどを開発し、京王電鉄バスが運営する「バスターミナル東京八重洲」にも採用されています。なお、同社はゼンリンデータコムの社内ベンチャーとして2012年に設立され、JR九州やENEOS等とも資本業務提携し、モビリティ業界の大手企業と多くの契約を結んでいます。また、地方自治体と連携し、ドライバー不足によるライドシェアサービスなどにも取り組んでおり、地域交通でのMaaSの構築にも寄与していく見通しです。こちらの初値は公募価格を約4.6%下回りました。
3.市場別IPO社数(上場承認公表ベース:年初からの累計)
(4/19上場承認公表分まで)
合計 | 東証プライム | 東証スタンダード | 東証グロース | その他 |
---|---|---|---|---|
26社 |
0社 | 3社 | 23社 | 0社 |
シェア | 0.0% |
11.5% | 88.5% | 0.0% |
4.初値騰落率(平均)の推移(直近2年間の四半期ベース)
※直近四半期(24年2Q)については、2024年4月19日時点の新規上場社数を記載し、初値騰落率については(初値-公開価格)/公開価格にて算出した、各四半期の新規上場会社の初値騰落率の平均値を記載。
執筆者
あずさ監査法人
企業成長支援本部 古口 長一郎