年金契約における保険カバーの移転(IFRS第17号の改定案)-IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース -「年金契約における保険カバーの移転(IFRS第17号の改定案)」については、2022年7月のIASB審議会において審議された内容を更新しています。

「年金契約における保険カバーの移転(IFRS第17号の改定案)」については、2022年7月のIASB審議会において審議された内容を更新しています。

関連基準

IFRS第17号「保険契約」

概要

契約者が生存することで保険カバーが移転する(生存時に年金が支払われる)年金契約に関し、年金契約にかかる利益、即ち契約上のサービス・マージン(CSM)のうち当期の純損益に認識すべき金額をどのように決定するのか、IFRS-ICは以下の2つの方法について質問を受けました。

第1法

  • 当期分:「契約者が当期に正当に保険請求できる年金額(1)」に基づき決定
  • 将来分:「カバー期間終了時点までに、契約者が将来正当に保険請求できるであろう年金額の現在価値(2)」、即ち将来年金支払額の当期末残高に基づき決定

第2法

  • 当期分:上記の(1)と(2)の合計額に基づき決定
  • 将来分:カバー期間終了時点までの各期首における将来年金支払見込額の残高の現在価値に基づき決定

ステータス

当期の純損益に認識されるCSMの金額は、契約に基づいて当期に提供される保険契約サービスを反映します。企業は、契約に基づいて提供される給付の量とカバーの予想期間に基づいてカバー単位を決定し、当期に提供されたカバー単位と将来に提供されると見込まれるカバー単位にCSMを配分することで、当期の純損益に認識するCSMの金額を決定します(IFRS17.B119)。以下の理由から、IFRS-ICは第1法はB119項の原則に適っており、第2法はB119項の原則に適っていないと結論付けました。

  • 第1法では保険事故(契約者の生存)が発生し、契約者が正当な請求を行う権利が生じる可能性のある期間にのみ、給付の量が割り当てられる。また、各期に提供される給付の量は各期において契約者が正当に保険請求できる年金額に整合している。
  • 第2方では保険事故が発生していない期間に給付の量が割り当てられる。また、契約者が将来時点においてのみ請求し給付を受けられる年金額を考慮することによって、当期に提供される給付の量を適切に表していない。

IFRS-ICは、2022年3月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準上の扱いは明らかであると結論付けました。

本アジェンダ決定の内容は、IASB審議会の2022年7月の会議を経て確定しました。アジェンダ決定の詳細についてはASBJのサイトに公開されているIFRIC Update (2022年6月号)への補遺をご参照ください。

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