German Newsletter 2022年3月号

ドイツニューズレターでは、ドイツにおける会計、税務、法務、労務環境等の最新動向を解説しています。

ドイツニューズレターでは、ドイツにおける会計、税務、法務、労務環境等の最新動向を解説しています。

今月号では、以下のトピックについて解説します。

  1. 法務
    1.透明性登録簿

  2. 税務
    1.新連邦政府のための連立協定
    2.ドイツ外国税法(AStG)第1節と隠れた利益分配の間の論争に関するドイツ連邦租税裁判所(BFH)の見解
    3.2014年時点の6%の延滞利息および還付加算金の利率を違憲とするドイツ連邦憲法裁判所の判決

1.法務

1.透明性登録簿

はじめに
<2021年8月1日時点:「簡易報告」の廃止>

EU法に基づく要求事項を満たすため、透明性登録簿(transparancyregister)は完全かつ独立した登録簿となった。

これは、例えば、(これまで認められていた)商業登記簿の記載事項の参照では、透明性登録簿への報告義務は免除されなくなったことを意味する。
その結果、現在はすべての企業が、実質的所有者/みなし実質的所有者を報告する必要がある。従前の簡便措置は適用されなくなり、対応が要求されることとなった。

移行期間

  • 2022年3月31日まで(AG、SE、KGaA)
  • 2022年6月30日まで(GmbH、Genossenschaft、EuropäischeGenossenschaftPartnerschaftを含むがこれらに限定されない)
  • 2022年12月31日(KGを含む他のすべての法的形態)

概説
<課題>
マネーロンダリングやテロ資金供与を防止するため、私法に基づく法人、登記されたパートナーシップ、信託および類似の法人は、実質的所有者に関する情報を透明性登録簿に報告しなければならない。

特に、一般的な法的形態である有限会社(GmbH)、有限合資会社(GmbH&Co.KG)および株式会社(Aktiengesellschaft)は、実質的所有者を分析し対応する必要がある。

<実質的所有者 ‐ 影響を受ける当事者>
実質的所有者とは、次のいずれかに該当する者である。

  • 所有持分の25%超を支配している。
  • 議決権の25%超を支配している。
  • 同等の方法で支配力を行使している。

特に、複雑で多層的な所有構造の場合や有限合資会社の場合、実質的所有者の判定において特殊要因を考慮することが必要な場合がある。

また、書類上の取り決めとは異なる議決権に関する取決め、議決権のプールまたは同等の特別規定が持分所有者間で合意されているか否かを確認する必要がある。

<消極的支配により登録簿への報告義務が生じる可能性>
透明性登録簿を管轄するドイツ連邦管理局(GermanFederalOfficeofAdministration)は、「同等の方法による支配」をいわゆる消極的支配(negativecontrol)と定義し続けている。これは、(おそらく親会社レベルの)個人株主が以下により株主総会での決議を阻止することができる場合を指している。

  • 議決権(一定多数が必要)
  • 拒否権
  • 合意形成の要件

当該個人株主は、その所有持分(議決権)の割合が25%を(著しく)下回っていても、実質的所有者とみなされる。

本ニューズレターは以下よりPDFにてダウンロードいただけます。

執筆者

KPMG Global Japanese Practice in Germany
KPMGドイツ 日系企業担当チーム

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