ハイライト
1.戦略的展望のある脱炭素化
業界のリーダーは、新型コロナウイルス感染症による危機からの回復や競争が激化する市場での成長など複数の課題に取り組みながら、ネットゼロ目標を達成しなければなりません。こうした環境下において、企業が目標達成に向け取り組む脱炭素化戦力には、共通する基本要素があります。
低炭素およびネットゼロオペレーションに向けた主要なステップ
- 脱炭素化が貴社の全体的な事業戦略と一致していることを確認する。
- 気候変動の予測の困難さやグリーン電力あるいはグリーン証書入手に伴う競争、また、分散型電源の発展に関する市場変化について検討し、全社的に共通の理解を得る。
- 内外のステークホルダーに対する報告や開示に伴う戦略を定める。
- 資金調達における気候変動の影響の増大に対応するために資本構造を転換する。
- 役員報酬と環境パフォーマンスを連動させる。
- より広範な事業目標を後押しするような排出削減への取組みに関する進捗状況を、実証可能な形で明らかにする。
2.持続可能な行動様式のオペレーションとの融合
脱炭素化を事業に導入するには、消費エネルギーの効率や再生可能エネルギーを追求する方法、またグリーンファイナンスやカーボンプライシングの仕組みを活用する方法などが存在します。
消費エネルギーの効率化と再生可能エネルギーへの移行
再生可能エネルギーへの移行の緊急性が高まるにつれ、これらの方法を導入する可能性も高まっています。可能な限り省エネを実行し、その後クリーンエネルギー源へ移行することが、ネットゼロへの分かりやすい道のりと言えるでしょう。
グリーン電力への転換に向けた3つの方法:
- オンサイトで導入
- オフサイトで消費
- 再生可能エネルギー証書(REC)
グリーンファイナンスとカーボンプライシングの利用
政府と金融セクターは、脱炭素化を実現するソリューションへの資金流入の必要性を理解し、グリーンボンドとソーシャルボンドの市場を創出しています。
また、再生可能エネルギーへの移行が物理的に制限されている企業は、カーボンオフセットを通じて便宜的に排出削減したとみなされることから、国際炭素市場とカーボンプライシングは大きな注目を集めています。
3.変化する規制への機敏な対応
環境基準を遵守し、規制変更の可能性に注意を払うことで、組織は環境、社会、ガバナンス(ESG)への意識が高い市場において競争優位性を維持または達成できます。事前対応型の組織は、事業の長期的な実行可能性を確保する戦略を展開しながら、複雑な業務やサプライチェーン全体のコストを削減し、イノベーションに対応することができます。
4.気候変動リスクへの対応にフォーカスしたパートナーシップの加速化
世界の大手ブランドの多くが温室効果ガス(GHG)排出ゼロを目標に掲げており、業界標準の設定に着手しています。企業は同業他社、業界グループ、NGO、サプライヤーと提携して戦略を強化し、各自の課題を追求しています。
ネットゼロ実現に向けたメカニズムが完全に解明されているわけではありません。セクターを超えてパートナーシップやアライアンスを構築することで、組織は協力して活動し、イノベーションを活性化させることによって、大きな社会的目標に向けて発展できるでしょう。
- サプライチェーンパートナーと提携する
- 業界間および業界内の連携に参加する
- クリエイティブに考える
5.信頼性が高く成果を裏付けるためのデータおよびプロセスのデジタル化
脱炭素化プログラムによって達成された便益を享受するには、立証可能な進捗状況を示すことが重要です。顧客、投資家、貸手およびステークホルダーは、進捗状況の主張を裏付ける、透明性と信頼性の高いデータを求めています。こうしたデータがあれば、組織はどこでどのように行動すべきかの検討が可能となります。データに基づいて報告と分析ツールを活用することで、環境への影響と進捗状況を理解できるようになるでしょう。
- 詳細なデータの収集
- データの自動取り込み
- 知見およびアナリティクスを用いた可視化
- デジタルトラストテクノロジーの活用
- ステークホルダーを満足させ、成功を共有する