Overview

消費者は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との長期的な共存を予想しています。
サーベイ全体を通じて、価値と利便性に対する消費者ニーズが、各国・地域で経済に重大な影響を及ぼすことが示されました。

  • 個人の安全が、消費者の行動、サプライヤーの選択、チャネルの活用を変えています。
  • 消費者が自分の財政状態とコストパフォーマンスを重視する状況は変わりません。
  • 購入のしやすさが経済に影響を与えます。

長期にわたり、好調を維持する企業の特徴は以下のとおりですが、顧客のニーズは移ろいやすいため、ブランドには迅速な対応が求められています。

  1. 新しい現実に対応するために、ビジネスモデルを見直し、適切なパートナーシップを活用する企業
  2. あらゆる事業コストを見直す企業
  3. 目的を明示し、従業員と顧客の個人の安全を優先する企業
  4. 誰が顧客なのかを把握している企業
中村 吉伸

KPMG FAS 執行役員パートナー/KPMGジャパン ターンアラウンド&リストラクチャリング(事業再生・事業変革)サービス統括

KPMG FAS

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調査方法

調査方法の概要
KPMGインターナショナルは、COVID-19パンデミックが消費者ニーズ、行動、嗜好に対し、継続的にどのような影響を与えているかを理解する目的で、4ヵ月間にわたり12の国・地域の消費者を対象にインタビューを実施しました。本レポートには、第1回から第5回の消費者パルスサーベイに基づくデータが含まれています。

インタビュー実施期間
第1回インタビュー(W1)から第5回(W5)まで実施
W1:2020年5月29日~6月8日
W2:2020年6月12日~6月22日
W3:2020年6月26日~7月6日
W4:2020年7月10日~7月20日
W5:2020年8月14日~8月24日

集計方法
オンラインベースのアンケート
 

主な調査結果 - 全セクター

安全が購入を決定付ける要因第3位
安全は消費者の新たな期待項目です。企業は、顧客を安心させ、対面での不安を和らげる方法を見つけるために一層努力する必要があります。

消費者信頼感の低下
消費者は外出意欲が低下しています。消費者はCOVID--19による影響が1年以上続くと予想しているため、企業は不安の払拭に注力し、消費者信頼感の回復に努める必要があるでしょう。

ブランドへの信頼低下
消費者信頼感の落ち込みは、企業が消費者不安を緩和する対応を行っていなかったことを示唆しています。企業に求められているのは信頼を再構築するための対策であり、継続的なコミットメントを消費者にわかりやすく伝える必要があるでしょう。
 

セクター別の考察

消費財・小売
食料品の購入量は増加していますが、購買頻度は減少しています。小売業者がパンデミック中に訪れた顧客の定着を図りたいのであれば、行動の裏にある動機を読み解く必要があるでしょう。一方、非食料品の支出は大幅に落ち込んでいます。非食品小売業者は、顧客の信頼を取り戻す対策を検討する必要があります。
また、消費者の多くは、地域コミュニティの支援のために、より多くの金額を支払ってもよいと回答しています。これは現地のサプライヤーやグローバルブランドと提携し、ブランド戦略の現地化を検討する大規模小売業者に影響を与える可能性があります。

銀行
消費者はオンラインで商品・サービスに安全にアクセスしたいと考えており、銀行は支店中心ではなくなると予想されています。データアナリティクスの活用や最先端技術プラットフォームへの投資が重要となるでしょう。

保険
デジタルで提案される保険商品が購入される傾向が強まっており、コストパフォーマンスの向上と保険会社の販売コストの軽減が見込まれています。保険会社は、デジタル活用の見直しとともに、消費者ニーズに応える商品を生み出し、変化する状況へ迅速に適応する必要があります。また、自動車保険と住宅保険への消費者の関心が高まっており、保険会社は要望を踏まえた商品構成を検討する必要があるでしょう。

旅行・ツーリズム
安全面の懸念や海外とのパンデミック対策により、旅行業界は壊滅的な打撃を受けました。消費者の3分の1はCOVID-19が今後1年にわたって生活に影響を与えると予想し、多くの人は安全面を懸念しているため、しばらくの間は旅行事業に大きな経済的影響を与え続けるでしょう。

娯楽・レジャー
娯楽・レジャー産業への安心への信頼感は依然低いものの、制限解除後は入場者数を制限した上で運営されていることから上昇傾向にあります。しかし、消費者は安全対策についてさらなる安心感を求めています。安全対策を実施していることを明確に伝えることが、3密を避ける消費者に信頼感を与えるでしょう。

英語コンテンツ(原文)