KPMGと世界的な市場調査会社であるIDCは製造業、ヘルスケア、交通・物流、公共安全およびゲームの5つの業界について調査、分析を行いました。5Gとエッジコンピューティングの導入の増加に伴い、2023年までに前述の5つの調査対象業界が、コネクティビティ、ハードウェア、ソフトウェアおよびサービスを含むエコシステム全体に年間5,170億米ドルの収益をもたらすと、この調査では予想されています。

5Gは、製造業界に多くの可能性を開きます。
リアルタイムでデータを取得し、それを使って生産性を高められるそのスピードと敏捷性こそ、5Gの真価に他なりません。

本書では、製造業界におけるエコシステムおよびビジネス機会について、さらに詳細に考察していきます。

5Gとエッジコンピューティングの出現により、世界では工場の高度自動化が進んでいます。あらゆるところから集められたセンサーのデータを分析し、AIで需要に見合った生産調整を絶えず行います。予知保全の仕組みによって、24時間体制ですべての設備を監視し、パフォーマンスの向上、稼働停止時間の最小化、安全性の向上を図ります。また、製品はプロセス全体にわたり管理され、品質の低下を検出して対処されます。

その結果どうなるでしょうか。高品質が担保された製品をより速く、低コストで生産できるようになります。無駄を減らし、メンテナンスコスト、材料とエネルギーのコストを抑えると同時に、温室効果ガスの排出を抑制し、持続可能な社会の実現に貢献できるようになるのです。

5Gとエッジコンピューティングが創出する価値

自動運転と自律ロボット
ロボットは、どの製造業務においても必要不可欠な役割を果たすようになっています。5Gとエッジコンピューティングで実現する低遅延特性により、複数個所からデータを瞬時に送信して、人間やAIがこれらの機械を確実に制御できるようにします。

AR/VR
AR/VRヘッドセットを装着した作業員にマルチメディア情報を伝達し、プラントの整備や保守管理を支援することができます。

IoTデバイス
センサーを至るところに設置し、稼動状況や事故の発生を監視します。5G+エッジコンピューティングによりデータ容量と接続性が向上し、製造業者が重要なプロセスを管理しやすくなっています。

ERPと生産実行システム(MES)
ローカルネットワーク、広域エリアネットワークのいずれにおいても、接続デバイスの大量データの分析により、生産や設備の品質をモニタリングし、調整することができます。

システムインテグレーター
5Gとエッジコンピューティングの組合せによって、システムインテグレーターによるITとOT(制御運用技術)の融合が促進され、リアルタイム分析により事業成果を正確に予測できるようになります。

図表

エコシステム全体における5G +エッジコンピューティング技術

それぞれの技術が、1つまたは複数のエコシステムプレーヤーによって、以下のように使用されます。

図表

Next Steps

通信事業者には、5Gとエッジコンピューティングを利用したビジネス機会を活かして、コネクティビティだけでなく、クラウドインフラの導入アプリケーション開発、デバイスとデータのマネージメントサービスへの参入を検討することができます。特に重要なビジネス機会は下記のとおりです。

  • 5Gマネージド・プライベートネットワークを提供する
  • 有線ケーブルに代えて5Gネットワークを設置する
  • エッジコンピューティング機能を通信事業者の保有するクラウド、もしくはクラウドパートナーと連携して実装する
  • 設備管理や問題発生時の原因分析支援や、クライアントとパートナーベンダーが保有するセンサーの確実な運用と保守を支援する

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