Quality 2030:quality inside
将来を見据えたライフサイエンス企業の経営者は、クオリティ機能をコストセンターから価値を創造させるものに変革させます。~「ディスラプション(破壊)の中での成長」シリーズ~
将来を見据えたライフサイエンス企業の経営者は、クオリティ機能をコストセンターから価値を創造させるものに変革させます。~「ディスラプション(破壊)の中での成長」シリーズ~
2030年までに、ライフサイエンス業界のクオリティ機能は、価値を増加させる媒体に変わります。企業全体にクオリティ機能を行き渡らせることで、組織は顧客ニーズに合ったサービスを提供し、コンプライアンスのリスクを低減し、継続的な改善を促進できます。クオリティ機能が競争優位性につながる機会は多く、今後数年間、クオリティ機能の変革は取締役会のアジェンダとなるはずです。「クオリティ・インサイド(品質管理の組織全体への浸透)」を取り入れることによって、経営者はどのようにして組織をそこまで導くことができるのでしょうか。
クオリティの新しい方法
組織が2030年までに「クオリティ・インサイド」を達成するために、経営者がどのような役割を果たせるかという点を強調しています。そうすることによって、経営者は、顧客体験の改善を実現し、コンプライアンス違反によるペナルティや企業ブランドへの修復できないほどの損害の可能性を回避し、最終的には競争優位性を高めることができます。
2030年までに「クオリティ・インサイド」を実現するには、以下の3つの柱が鍵となります。
- テクノロジーとイノベーション
「クオリティ・インサイド」への移行を可能にするために、人工知能(AI)から予測分析に至るテクノロジーが重要な役割を果たします。 - オペレーティングモデル
クオリティ機能を変革するために、経営者はライフサイエンスのオペレーティングモデル全体をどのようにシフトする必要があるかについて検討し、組織全体にクオリティ機能が浸透させる。厳格なリスク評価のプロセスや革新的なアプローチを採用、複雑なクオリティ問題の取扱い、サプライヤーおよび受託製造機関とのパートナーシップの増加を含む、規制への取組みの変革を意味します。 - 人材と文化
クオリティ文化への移行をサポートするために、短期的および長期的な人材育成の必要性を意識しています。
変化のスピードへの対応
クオリティ機能は、ここ数年の間にすでに大規模な変革の取組みに着手しています。これは、規制環境がより厳しくなっていることや、新しい配送のメカニズム、サプライチェーンの複雑化に対応するためのものです。さらなる変革の必要性は、デジタル化、新しい事業モデルや破壊的な競合企業などの新しいトレンドが浮上することによってのみ増大します。特に重要なのは、各患者に対する個別化医療(例えば、遺伝子治療や希少疾患治療薬などの新しい治療法)を可能にするテクノロジーの進歩です。これにより、組織はクオリティ機能のアプローチを適応させ、分散されたサプライチェーンをサポートすることが求められます。
飽和した機能
ライフサイエンス企業内のクオリティ機能は、近年大きな進歩を遂げていますが、現実は、新しい業界のトレンドにより、従来のクオリティ機能における限界に注目が集まっています。
「クオリティ・インサイド」のビジョン
「クオリティ・インサイド」を実現した2030年のライフサイエンス企業の姿は、現状とは根本的に異なるものになるとKPMGは想定しています。テクノロジーとデータに支えられ、組織構造の変化により有効に機能し、そして適切なスキルを持った従業員が実現するクオリティ機能の考え方と文化が組織全体に浸透しているでしょう。
3つの主要なクオリティ・ドメイン(クオリティ・アシュアランス、クオリティ・コントロール、規制のコンプライアンス)は引き続き存在しますが、それらが存在する場所とそれらの実施方法は現状から大幅な変更が生じる可能性があります。
「クオリティ・インサイド」のビジョンの実現
網羅的なクオリティの変革には数年かかる可能性がありますが、開始時点から重要な価値を取り込むことができる点に注意することが非常に重要です。
KPMGの見解では、ライフサイエンスのクオリティの変革の成功は、冒頭に挙げた、次の3つの主要な柱を基礎としています。
- テクノロジーとイノベーション
ライフサイエンス企業の経営者は、エマージング・テクノロジーを受け入れる際にクオリティを考慮しますが、クオリティのために導入したテクノロジーがバリューチェーンと整合していることが重要です。 - オペレーティングモデル
「クオリティ・インサイド」を整備するために、変える必要のあるオペレーティングの構成要素がいくつかありますCMOとその提携先の両方とのパート。経営者は、戦略的なパートナーシップだけでなく、最新テクノロジーを利用できるようにするデジタル・イノベーターとクオリティの間の連携をますます重視するようになるでしょう。 - 人材と文化
クオリティ機能は、戦略的なビジネスパートナーとなって、バリューチェーンの他の部分をサポートし、知見と見通しの両方を提供します。クオリティの文化が存在するライフサイエンス企業は、積極的な意思決定を受け入れ、コンプライアンスから根本原因の解決に焦点を移して、規制当局と建設的な対話を行うことになるでしょう。