給付の勤務期間への帰属(IAS第19号に関連)- IFRS-ICニュース

IFRS解釈指針委員会ニュース - 「 給付の勤務期間への帰属(IAS第19号に関連)」については2021年6月のIFRS-IC会議において審議された内容を更新しています。

「 給付の勤務期間への帰属(IAS第19号に関連)」については2021年6月のIFRS-IC会議において審議された内容を更新しています。

関連基準

IAS第19号「従業員給付」

概要

IFRS-ICは特定の条件の退職後確定給付制度を提供する企業における従業員の退職給付の勤務期間への帰属方法について質問を受け取りました。前提となる取引は以下のとおりです。

  • 従業員は、62歳の退職年齢への到達時に企業に雇用されていることが条件であり、その到達時にのみ退職給付を受け取る権利を得る。
  • 退職給付の金額は、退職年齢の前の勤務期間の年数に最終給与の月額を乗じたものとして計算される。
  • 退職給付は勤続期間16年で上限となる(すなわち、従業員が権利を得る退職給付の最大額は、最終給与の16か月分である)。
  • 退職給付は、退職年齢の前の従業員の継続勤務年数のみを使用して計算される。

ステータス

IFRS-ICの決定(2021年4月)

IFRS-ICは2021年4月のIFRS-IC会議で、給付を帰属させる勤務期間の開始時点と終了時点について、以下の通り指摘しています。

(勤務期間の開始時点)

IAS第19号の第72項は、権利確定前に従業員が勤務をすることで、今後に提供しなければならない勤務の量が減少する場合、確定給付制度に基づく義務(推定的債務)を生じさせると規定している。

本ケースの場合、企業が退職給付を提供する義務は、

a.従業員が46歳よりも前に企業に入社する(すなわち、従業員の退職年齢までに16年以上ある)場合には46歳以後からしか発生しない。なぜなら、46歳よりも前に従業員が勤務を提供しても、制度の下での給付を生じさせず、退職給付の時期にも金額にも影響を与えないためである。

b.従業員が46歳以後に企業に入社する場合は最初に勤務を提供した日から発生する。なぜなら、提供するどの勤務も制度の下での給付を生じさせ、雇用された日以後提供される従業員の勤務は、退職給付の金額に影響を与えるためである。

(勤務期間の終了時点)

IAS第19号の第73項によれば、「従業員によるそれ以降の勤務が重要な追加の給付を生じさせなくなる日まで」企業が退職給付を提供する義務は増加することになる。

本ケースの場合、

a.46歳から62歳までの勤務:各年度に勤務が提供されることで従業員が将来提供しなければならない勤務の量は減少する。すなわち、勤務によって、追加の給付が生じる。

b.62歳以降の勤務:企業に入社した年齢に関係なく重要な追加給付を生じさせない。そのため、企業は退職給付を62歳までの勤務にのみ帰属させる。

以上より、本件の退職給付制度について、IFRS-ICは、従業員が46歳(又は、46歳以後に雇用が開始する場合には最初に勤務を提供する日)から62歳までに勤務を提供する各年度に企業は給付を帰属させると結論を下しました。この判断は、給付をどの勤務期間に帰属させるかを説明した第73項の設例2(20年間の勤務の後に55歳でなお雇用されているか、又は勤務期間を問わず、65歳でなお雇用されているすべての従業員に一時金での退職給付を支払う制度に関する解説)の最初の箇所(すなわち、35歳前に入社した従業員の箇所)に整合するものです。

IFRS-ICは、2021年4月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準の原則及び要求事項が、本ケースにおいて退職給付が帰属する期間を企業が決定するための適切な基礎を提供していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定しました。当該アジェンダ決定は、2021年5月のIASB審議会で議論され、反対がなかったため、2021年5月に公表されました。

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