デジタルトランスフォーメーションによりサプライチェーンのレジリエンスを構築する
社会がCOVID-19感染拡大後のニューリアリティに突入するにあたり、今後発生し得る混乱からサプライチェーンを守るためにデジタル機能を活用する必要があります。
社会がCOVID-19感染拡大後のニューリアリティに突入するにあたり、今後発生し得る混乱からサプライチェーンを守るためにデジタル機能を活用する必要があります。
パンデミック下における企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資額の増大は、DXが企業の生命線であることを証明しました。ニューリアリティを迎え、経営者は経営規模を適正化し、今後発生し得るさまざまな混乱からサプライチェーンを守るためにDXを活用する必要があります。本レポートではサプライチェーンの拡大に役立つ方策を取り上げます。
目次
COVID-19のパンデミックから学んだ教訓
COVID-19が商取引にもたらした混乱は想定外であり、世界規模でのロックダウンにより、国内、地域、グローバルのサプライチェーンは弱体化・停止に陥りました。
今後はサプライチェーンのレジリエンスと可視性へ注力することが、サプライチェーンの有効性を将来まで持続させ、ネットワーク全体の複雑性と不確実性の低減に役立つことになるでしょう。
デジタルの受け入れは新たなノルマである
消費者は、デジタルを利用したパーソナライズされたおすすめ商品の紹介やコミュニケーションを期待しています。デジタル技術により、自宅からオンライン受診できたり、ライフサイエンス企業では訪問販売からデジタルなセールス・オートメーションに移行したりしています。
また、COVID-19のパンデミック下、ステイアットホームの政令により何百万の人々が、リモートワークや自宅でのオンライン学習に切り替わったことでデジタルトレンドはさらに進みました。こうした人々は夕方からはストリーミング動画を視聴する傾向にあり、パンデミック終息後も継続することが予想されています。
バーチャルショッピング、働き方、教育、エンターテインメントについて、サプライチェーンモデルとデジタル活動を支える技術の効果的な活用方法を再考する必要があります。
サプライチェーンを将来に向けて設計する
理想的なサプライチェーンの管理は2つの要素で構成されます。
(1)複雑性の低減
(2)不確実性の低減
デジタルトランスフォーメーションの導入により、異なるサプライチェーンのプロセスと活動において、デジタルイネーブラーと人間が共存することで目標は達せられるでしょう。
これらの目標達成には、以下に掲げるサプライチェーンの可視性の精度を上げるアプローチと技術的ソリューションの利用が求められます。
先進的なトレースシステム
企業は、調達から販売までの全過程を追跡することでサプライチェーンの可視性と管理、およびトラック&トレースのソリューションによる資産と在庫のリアルタイムの追跡・位置情報分析が可能になります。
ブロックチェーン
多くの経営者は、製品の完全性とセキュリティを確実にするためにブロックチェーンを採用しています。すべての製品の製造から販売までの記録が永久に保存され、サプライチェーンに可視性と利便性が生まれ、遅延、エラー、コストも軽減されるでしょう。
予測分析
新しい予測モデルは、事前情報に基づく判断に役立ち、先手の行動が可能になります。先進的なサプライチェーンの管理者は、データアナリティクスや機械学習(ML)等を活用しており、これらはリスク管理の課題解決をサポートしてくれることでしょう。
過去の事象を分析し、将来の脅威を仮定することで、企業はリスク下にある戦略的・集中的な在庫の識別が可能となります。最も重要なのは、現在の内部リスク能力が不十分である場合、それを認識できることです。
Cognitive decision center (CDC)
CDCへの投資によって、サプライチェーンに関する機能横断的な観点が得られます。将来のCDCでは、最新の人工知能の活用により、企業内の意思決定者は最善のシナリオを得るために相反点を認識することで異なるトレードオフがシミュレーションできるようになるでしょう。
従業員のデジタル能力の向上
従業員のデジタル能力の向上は、サプライチェーンのレジリエンスにおいて不可欠です。あらゆる企業において中核となるのは従業員であり、その判断と行動が企業の成功を決定付けます。
競争優位性のある商品や専門的スキルを有していない企業は、パートナー企業のサプライチェーンプラットフォームへの参加や能力を持つ人材を増強する必要があります。
次に取るべきステップは何か。6つの行動原則
あらゆる企業の目標は、業績を向上し、価値を創造して、カスタマーエクスペリエンスを拡大させることです。
以下の6つのステップにより、目標達成につなげることができるでしょう。
- 明確なビジネス戦略を立てる。
- 複雑性のコストに対する多様性の価値を理解する。
- コアコンピタンスの改善のためにデータを活用する。
- 技術ではなく業績で業界をリードする。
- 従業員のスキルを向上させる。
- 新しいパートナーシップを構築する。
これらのステップに焦点を当てない場合、優れたアイデアの寄せ集めで終わってしまうリスクがあります。