世界のインフラ市場に係る展望 - 2020年における10の新たな業界動向

テクノロジーの進化や、持続可能性という課題、新興市場へのシフト等の急速な環境の変化はインフラ業界に大きな影響を及ぼすでしょう。

テクノロジーの進化や、持続可能性という課題、新興市場へのシフト等の急速な環境の変化はインフラ業界に大きな影響を及ぼすでしょう。

トレンド1:社会が発信手段を見つける

ソーシャルメディアやスマートフォンは、多くの市民に新たな発言手段を与え、彼らの苛立ちを連携して表明することを可能にしました。現在の世代のニーズや期待と、将来の世代に対して負う持続可能性および責任のバランスを見出すために、政府は新たな手法やテクノロジーを活用して、市民の意見に耳を傾け、より市民との協議を重視する必要があるでしょう。

トレンド2:インフラのレジリエンスと安全性を最優先する

気候変動や資産の老朽化、都市化の進行などにより、破壊的なリスクへと変化する事象の発生確率が高まっています。政府や資産オーナー、投資家は、リスクの特定、評価および管理の方法についてより真剣に考えることを余儀なくされ、より包括的に資産の全ライフサイクルにおける安全性とレジリエンスを確保する方法を考えることになるでしょう。

トレンド3:リスクに関する認識と現実が変化する

インフラ業界ではこれまでリスクに関する認識の大部分は、長年にわたる「根本原則」に基づいていましたが、今ではリスクに関する認識と管理の方法が大きく変わりつつあります。経営幹部、リスクマネジャーおよび投資家が、リスクをより深く理解すべくデータアナリティクスを活用し始めるにつれ、リスクの認識と現実の一致具合が大幅に向上するでしょう。

トレンド4:グローバル化の風は東洋から吹く

インフラプロジェクトの計画、開発から資金調達そして運営まで、デリバリーチェーンやサプライチェーンの全要素が高度化するにつれ、イノベーションの増加と国際化の進行の影響は(中国やインドを中心に)アジア地域全体に波及し始めています。まだまだ課題はあるものの、アジア地域の透明性と競争力が増すに連れて、こうした風潮は強まり続けるでしょう。

トレンド5:企業が(ようやく)持続可能性を受け入れる

企業は持続可能性という課題、より具体的には脱炭素化の概念を受け入れ始めています。金融市場も、特に明確に定義された脱炭素戦略を有する企業に注目しており、こういった変化は広範な企業がESG(環境、社会、ガバナンス)基準を採用する最大のきっかけをもたらすでしょう。

トレンド6:計画立案者と消費者の平仄が合う

消費者に主導権を与える新たなインフラモデルが登場し続け、政府が長期的なインフラ計画を策定する上で困難な課題が生まれています。そのため、今後の政府による長期的戦略の策定においては、テクノロジーの力を手にした消費者によるミクロの意思決定と、政府によってなされるマクロの意思決定の平仄合わせにさらなる重点が置かれるようになるでしょう。

トレンド7:新興市場は民間金融を歓迎する

新興市場は民間によるインフラ投資の制度化へと大きくシフトしています。今後は、政府が、競争と透明性を向上させつつ、債務の持続可能性をより適切に管理する方法を模索するなかで、インフラセクターを解放し始める新興市場が増えるでしょう。

トレンド8:インフラテックがバランスを変える

インフラテックを担う主体は新興市場へと移り始めるでしょう。インフラテックの政策を推進するのは、旧式のインフラ、モデルおよび規制の制約がない新興市場であり、成熟市場にとってはやや懸念される状況です。今後、新興市場はインフラに係る課題の解決に全く新しいアプローチを開発し始めるでしょう。

トレンド9:スモール・イズ・ビューティフル

市民や政府は、メガプロジェクトの遅延、コスト超過および混乱に苛立っており、より小規模なローカルレベルの解決策が求められています。インフラ計画に携わる人々は、市民と消費者に迅速に成果を提供しつつ、長期的で柔軟性に優れた小規模なプロジェクトを実現する方法に重点を置くようになるでしょう。

トレンド10:データ利用の明かりが灯る

過去1年間、多くの政府や資産のオーナーがデータアナリティクスの能力を順調に培ってきました。2020年は多くの政府が、インフラの計画、設計、提供、運営および保守の方法に、有意義な変化をもたらす取組みの軸として、本格的に保有するデータを活用し始める年になるでしょう。

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