IFRS第15号における契約の結合(その1)

IFRSのヒント - 異なる得意先との契約を結合することはできますか?

異なる得意先との契約を結合することはできますか?

IFRSのヒント

IFRSの適用現場から、実務のつれづれを語ります。

企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」では、契約書が当事者間で合意された実質的な取引の単位を適切に反映していない場合には、これを反映するように複数の契約書上の取引を結合するとされており(工事契約に関する会計基準第7項)、日本基準での実務においては、顧客が同一でない場合や契約時期が異なる複数の工事契約を工事収益の認識に係る判断を行う単位である「認識の単位」としている場合があります。
それでは、IFRS第15号において、異なる顧客との間で同時にまたはほぼ同時に締結する契約を結合することはできるのでしょうか?

この点、同時またはほぼ同時に締結した複数の契約を結合して、単一の契約として会計処理する対象は、同一の顧客または顧客の関連当事者との契約とされています(IFRS15.17)。したがって、異なる顧客と締結する契約を結合することはできません。

異なる得意先との契約を結合する

IFRS15では異なる顧客と契約の結合はできない

例えば、X社がオフィスビルの建設を請け負うにあたって、発注者であるA社との間で建物本体工事に関する契約を締結するとともに、当該ビルに入居予定のテナントB社との間で内装工事に関する契約を締結することがあります。実質的な工事の一体性を踏まえて、X社が、本体工事だけでなく内装工事も含めた物件単位で実行予算を作成し工事損益を管理している場合であっても、A社から請け負う本体工事とB社から請け負う内装工事は、B社がA社の関連当事者である場合を除き、異なる顧客との契約であることから、これらの契約を結合することはできず、したがって、個々の契約ごとに処理することになります。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部

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