税務ガバナンスに関する国際的な議論と多国籍企業における税務ガバナンスの在り方

本稿では、税務ガバナンスへの関心の高まりの背景や今日的意義を俯瞰した上で、OECDにおける議論やオランダ多国籍企業の税務ガバナンスなどを踏まえて、今日の多国籍企業における税務ガバナンスの在り方について若干の考察を行います。

本稿では、OECDにおける議論やオランダ多国籍企業の税務ガバナンスなどを踏まえて、今日の多国籍企業における税務ガバナンスの在り方について若干の考察を行います。

歴史的に、日本企業は欧米企業と比較して税務ガバナンスに積極的でないと評価されてきました。しかしながら、今日においてはビジネス環境、税務環境、世論の税務への関心など、さまざまな状況の変化に伴い、日本企業においても税務を積極的に管理するための税務ガバナンスへの関心が高まってきています。そして、世界におけるベストプラクティスからの学びを求め、日本国外における多国籍企業の税務ガバナンスに関する関心も高まっているところです。

本稿においては、様々な観点からの税務ガバナンスの重要性や今日的意義を確認した上でOECDにおける協力的コンプライアンス・プログラムに関する議論を紹介し、OECDにおける税務ガバナンスに関する関心の高まりの背景やOECDが考える税務ガバナンスを概観します。そして、協力的コンプライアンス・プログラムに関するフロントランナーであるオランダの状況を概観した上で、多国籍企業における税務ガバナンスに関して若干の考察を行います。

目次

  1. はじめに
  2. 税務ガバナンスへの関心の高まりの背景
  3. OECD における税務ガバナンスの議論(協力的コンプライアンス・プログラム)
  4. オランダにおける税務ガバナンス(Horizontal Monitoring)
  5. 多国籍企業の税務ガバナンスに関する若干の考察
  6. おわりに

※本稿は国際税務研究会 月刊「国際税務」2019年7月号に掲載された記事です。

執筆者

KPMGオランダ
オフ・カウンセル Vinod Kalloe
マネジャー 河崎 嘉人

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