Me, my life, my wallet - 進化する消費者の先を読む

企業が消費者の意思決定の複雑さを理解し、激しい競争に勝ち抜くための具体的なフレームワークについて考察します。

企業が消費者の意思決定の複雑さを理解し、激しい競争に勝ち抜くための具体的なフレームワークについて考察します。

近年、消費者のトレードオフと意思決定は不透明になり、より短時間で変化するようになりました。人口動態や経済のシフト、そしてインターネットやスマートフォンなど新しいテクノロジーの急速な普及により、ミレニアル世代の消費者行動はこれまでの世代とは異なるものになりつつあります。企業が競争に勝ち抜き、成長を続けるためには、各世代の消費者行動の変化を巧みに捉え、対応していかなければなりません。

ポイント

  • 消費者行動の5つの主要要素である、「動機」、「関心」、「つながり」、「時間」、「財布」を組み合わせて検討することにより、企業は消費者の複雑な意思決定のプロセスを理解し、変化する消費者の態度、ニーズ、行動について理解を深めることができる。
  • 企業は、消費者のニーズや行動を予測し、特定の商品やサービスを市場に投入するタイミングを検討する上で、消費者のライフステージとライフイベントは世代ごとにパターンや順序が変化していることを理解して対応しなければならない。
  • 今後、企業が進むべき未来は、消費者のニーズを予想し、先回りして対応するという新しい時代である。

多元的な消費者

マクロ、ミクロレベルのさまざまな要因が消費者の行動に多元的な影響を与えています。社会、技術、経済・市場、政治・規制のマクロイベントは、消費者の価値観や行動を左右し、動機や動因を生み出すコンテクスト(状況・背景)を作り出します。企業がこれらのマクロイベントや消費者生活におけるミクロイベントを理解し、分析することができれば、変化するニーズと期待を捉え、消費者が財布のひもを緩めたり締めたりするタイミングや要因を正しく予測することが可能になります。
また、デジタル時代が加速するにつれ、消費者の意思決定の根底にある複雑な要因を理解することの重要性が高まっています。長い間、マーケティング担当者は、消費者のターゲティングをしようと、しきりに人口動態やセグメンテーションを理解しようと努めてきました。しかし、人口動態を見ていては、人々が意思決定する際の多面性を見落とす可能性があります。KPMGが提案する、消費者の「5つのMy」のフレームワーク - My motivation(私の動機)、My attention(私の関心)、My Connection(私のつながり)、My watch(私の時間)、My wallet(私の財布) - を理解することは、消費者行動に結びつく真の要因、そして購買決定における重要なトレードオフを特定することにつながります。このフレームワークにより、企業は、人口動態には表れない人の行動様式を理解できるようになり、消費者と企業双方に価値をもたらす商品やサービスをより的確に生み出すことが可能になります。
本レポートでは、事例と共に「5つのMy」の同世代間での比較を示し、人口動態には表れない行動様式についてより深く考察しています。

消費者の財布

人口動態と経済のシフトにより、消費者の収入・支出動向の予測が難しくなり、また、新しいテクノロジーの普及とオンデマンド経済の成長により、さまざまな分野でトレードオフが変化しています。消費者がいつ、どこで、どのように、なぜお金を使うのかはより複雑に、予測不可能になっており、収入、借入れ、貯蓄、支出の相互関係について新しい考え方が必要になってきています。企業は、これらについて考える際、消費者がなぜそのような選択をするのか、これらの構成が世代間でどう異なり、重要なライフイベントによってどのように影響を受けるのかといったコンテクストの中で考えていかなければなりません。
企業は、あらゆる世代にわたり、ライフステージ(若年成人期、子育て期、子供の独立、引退など)やライフイベント(大学卒業、結婚、家の購入など)を想定し、それに基づいて特定の商品やサービスを投入するタイミングを見極めてきました。しかし、ライフステージもライフイベントも、世代が異なれば、パターン、順序、タイミングが同じとは限りません。KPMGの調査では、多くのミレニアル世代が、学生ローン負担のため、結婚する、子供を作る、家を購入するといった決断を遅らせていることがわかっています。企業がこうした消費者の人生における「移り変わり」を捉えて、ニーズ、行動、トレードオフに対応することができれば、競争から一歩抜き出る機会を得ることができるでしょう。

カスタマー・セントリック

これまで、企業は消費者のニーズに基づいて商品やサービスを開発し、販売してきました。そして、現在はデジタル化時代に突入し、企業は消費者が望むものについて理解を深め、商品やチャネルをパーソナライズ化できるようになっています。例えば、AppleやGoogleは、スマートフォンの新しいテクノロジーを生かし、消費者の人生のコンテクスト - 消費者の行動と購買の「いつ」や「どこ」 - を理解しています。さらに、これからは、消費者の次のニーズを予想して先回りの対応ができることが重要になるでしょう。そのため、企業は、消費者の「5つのMy」、消費者のコンテクスト、業界だけではなく企業と消費者が相互に関係するエコシステム、この3点について理解しなければなりません。
本レポートでは、5つの業界(消費財・小売、メディア・電気通信、医療、リテールバンキング、保険)の視点から、最も注目すべき変化のシグナルは何か、それらがどのように展開する可能性があるか、企業はどうすれば変化を予想して先手を打つことができるかについて検討しています。

パーフェクトストーム

私たちは現在、破壊的で業界を特徴づけるような3つの変革がぶつかり合うのを目の当たりにしています。不透明感が払拭される気配がない「地政学的変革」、2020年には世界最大となるミレニアル世代に象徴される「人口動態の変革」、そして、ますます加速と破壊を進める「テクノロジー変革」です。個々に見ると、それぞれが異なる未来の可能性を示しています。しかし同時に、これらが合わさることで、その影響は比類のないものとなり、どの業界でも、世界のどの地域でも、免れることができる企業はありません。一言でいうならば、私たちはパーフェクトストームの真ん中にいるのです。本レポートの最も重要なポイントは、企業が切迫感を持って行動する必要があるということです。このパーフェクトストームは、水平線の彼方で起きている話ではありません。今ここで起きています。行動すべき時は、今なのです。

レポートの全文についてはダウンロードPDFをご参照ください。

英語コンテンツ(原文)