コンピューティング革命としての「クラウドロニクス」 - 第1回:人工知能は我々のビジネスにどんな影響をもたらすのか?
「未来予測レポート」の執筆者である田中栄氏にコンピューティングの進化が引き起こす社会構造の変化についてインタビューを行った内容を紹介する。
「未来予測レポート」の執筆者である田中栄氏にコンピューティングの進化が引き起こす社会構造の変化についてインタビューを行った内容を紹介する。
「未来」のビジネスは、今ある業界の延長線上では見えないものが多い。視野を広げて様々な業界やビジネスを俯瞰することが大切になる。社会構造が変化すればビジネス環境も変わり、ビジネスが変われば、求められる人材や能力もまた変わる。さらには、人々の価値観やライフスタイルまでもが大きく変わっていくことになる。
コンピューターやテクノロジーは姿、形を変えて我々個人の生活に溶け込み、企業においても経営の効率化やイノベーティブな取組みには欠かせない存在となっている。コンピューティングの進化を読み解くことで、「未来」に起こり得る変化の本質を理解することに繋がっていくのではないだろうか。
2015年5月よりあずさ監査法人 総合研究所 未来研究室の顧問を務めていただいている株式会社アクアビット代表取締役チーフ・ビジネスプランナー 田中栄氏に「コンピューティングの進化」が引き起こす社会構造の変化とビジネスへの影響について伺った内容を、2回にわたりお届けする。
未来予測の重要性と今後起こり得るメガトレンド
なぜ未来を予測することが重要なのか?
ビジネス環境に起こり得る10年、15年先の近未来の姿を「未来予測レポート」として法人向けに提示している。「未来」という言葉は「SF」というイメージを連想させるかもしれない。だが10年、15年先というのは、我々のほとんどが将来直面するであろう「リアルな未来」である。
これまで多くの法人に対して中長期戦略立案の支援をする中で、議論が煮詰まっている場面に数々遭遇した。その多くは、「共通認識」を持たないまま議論を進めたことに原因がある。チームで戦略を考えるためには、その前提として「今」どうなっているのか。そして「これから」どうなっていくのか、という共通認識が不可欠である。「広い視野で」そして「ある程度深く」持つことがポイントである。経営者なら誰もが考えていることであり、それが議論するための土台になる。
今やどの業界においても、本業だけを確実にやっていれば10年、15年先も安泰、という会社はほとんどなくなっている。自社や自らの業界ではなく、社会や経済、他の業界、価値観・ライフスタイルなど、「世の中」がどのように変化していくのか視野を広く持ち、打ち手を考えていく必要がある。
来年の決算に向けて、過去の振り返りをもとに将来を考えている企業が多い。だが中長期で戦略を考えるためには、まず10~15年後に世の中がどうなっているかを予測し、その中で自社がどうあるべきか? そのために今後3~5年かけて何をすべきかをしっかり考える必要がある。中長期的戦略やビジョン、そして新しいビジネスを考える人たちにとっては、「未来」が重要なキーワードとなっている。
10年、15年先の未来にどのような変化が訪れるのか?
私は「過去の延長線上に未来はない」と考えている。理由は社会が今、構造的に変わっているからである。その根底にあるのは「サステナビリティ」「ライフ・イノベーション」「クラウド・コンピューティング」という3つのメガトレンド、社会の大きな潮流の変化である。
3つのメガトレンド
1つ目の「サステナビリティ」は資源やエネルギーなど、「モノ」に関わるテーマである。これからの社会では「モノが足りない」ことが当たり前になる。今、私たちは、お金さえ払えば食料・資源・エネルギーなど好きなだけ調達できる。しかし、2030年という15年先を見据えた時、果たして同じことが言えるだろうか?
なぜ「足りない」のか?端的に言えば、世界人口が爆発的に増えるからである。2030年は、中国に代わりインドが世界No.1の人口大国になるのが確実視されている。インドは若い国であり、経済成長が本格化するのはこれからである。近年、中国が経済成長したことは、我々の生活やビジネスに多大な影響をもたらした。そしてこれから15年で、中国に匹敵する国がもう1つ生まれることになる。これは我々が確実に直面するであろう、「未来」である。もしそうだとすれば、今までと同じように、食料・資源・エネルギーなど自由に手に入れることができるだろうか?「足りない」が新たな社会常識になることで、「ものづくり」の常識、人々の価値観まで大きく変わっていくだろう。
2つ目の「ライフ・イノベーション」は、農業や医療といった生命に関連する産業や有機物の領域に関わるテーマである。「生命の設計図」である「ゲノム」の解析が進み、さらにはその改変や編集さえ可能になってきた。その結果、iPS細胞の作製など、かつては想像さえできなかったような出来事が相次いでいる。これから医療、農業、漁業、畜産、バイオなど生命に関わる分野が革命的に進歩し、我々のライフスタイルや価値観までを変えることになる。たとえば医療では、ゲノム解析により病気の根本的な原因や老化のメカニズムが解明され、遺伝子を調べれば将来的に発症する病気がわかるようにもなる。その結果、治療方法や薬も抜本的に変わっていくだろう。
最後の「クラウド・コンピューティング」は、一言でいえば「コンピューティングの革命」である。あらゆる分野のビジネスに影響をもたらすものであり、3つのメガトレンドの中でも特に重要な変化だと私は考えている。「クラウド・コンピューティング」については、このあと詳しく解説する。
これら3つのメガトレンドは、それぞれ歴史的ともいうべき大きな変化であり、相互に関連するものでもある。サステナビリティが意味するのは「モノの限界」であり、それを補うのがクラウドによる「サービス化」である。他方、ライフ・イノベーションの中核となるのは「ゲノム技術」だが、これを支えているのはクラウドによるコンピューティングの進歩である。
Windows登場以来のコンピューティング革命
「クラウド・コンピューティング」とこれまでのコンピューター進化との大きな違いとは?
「クラウド・コンピューティング」は、1990年代のMicrosoft Windowsの登場に匹敵、もしくはそれを超える革命的な変化である。最近は「IoT」「Big Data」「Deep Learning」といった言葉が注目され、ビジネス会話の中でも好んで使われている。だがこれらは全て「コンピューティング革命」の一側面であり、本質的な変化に気付いている人は依然として少ない。
ひと昔前は「IT」=パソコンであった。だが今やスタンドアローンのパソコンなど使い物にならない。ネットワークを経由して、必要に応じてサーバーに繋がる環境が当たり前になった。ITと通信(Communication)は不可分となり、「ICT」と呼ばれるようになった。
さらにクラウド・コンピューティングの環境では、パソコン以外にも、スマートフォンやテレビ、家電、センサーなど様々なデバイスがネットワークと繋がるようになった。そしてもう1つの大きな変化は、マシンパワーの主役がクライアント側から「データセンター」側へと移ったことである。
「データセンター」の定義も変化している。従来からITに携わっている人々は、データセンターとは「ハウジング」や「ホスティング」と呼ばれるサーバー機器を設置するサービス施設であり、データセンター=「サーバー」と理解している人が多い。しかしながら、近年のデータセンターは構造的にはスーパーコンピューターと同じである。その処理能力を、ブロードバンドを通じて「サービス」として提供する形態へと変わったのである。
たとえば、スマートフォンを思い浮かべてほしい。スマートフォンは「モノ」ではなく「システム」である。ブロードバンドの特徴は常時接続--いつでも繋がることが前提であり、だからこそシステムとして一体化することが可能になったのである。これからの時代、あらゆるエレクトロニクス機器は、コンピューティングとは不可分である。そういう意味を込めて、私はこの新しい環境を「クラウドロニクス」と呼んでいる。
クラウドロニクスでは、処理能力がパソコンからスーパーコンピューターレベルにまで一気に上がった。それによって今までできなかったことが急にできるようになった。だから「革命」なのである。
IT→ICTから「クラウドロニクス」へ
クラウド・コンピューティングはクライアント端末にどのような変化をもたらすのか?
クラウド・コンピューティングによって、様々なプロダクトの概念が変わりつつある。パソコン、スマートフォン、タブレット端末、電話やテレビなど、これらは全て20世紀・工業化時代の定義であり、「モノ」としての概念である。
たとえば「テレビ」とは何だろうか? テレビとは、敢えて定義するならば「放送電波受信機」である。だが消費者は放送電波を受信したいわけではなく、目的は番組を視ることである。だがひと昔前は、映像を見るためには、放送の電波を受信するしか方法がなかったのである。
最近のテレビは録画機能が一体化されており、リアルタイムで番組を視ることは少なくなった。またブロードバンドを通じて、いつでも好きな時に様々な映像を見ることができる。地上波放送でさえ、多くの番組がオンデマンドで有料配信されるようになった。さらにこれらを視聴するために、パソコンやタブレット端末、スマートフォンなど、多様なデバイスを利用するようになった。改めて「テレビ」とは何だろうか?
「電話」は、さらに極端に変化している。SkypeやLINEなど無料通話アプリを多くの人が利用している。今やテレビ電話・国際電話でさえ無料で通話できるようになった。しかもこれらのサービスを使うのはスマートフォンだけでなく、パソコンやタブレット端末など様々なデバイスに広がっている。「電話」という概念はとっくの昔に終わっているのだ。
なぜこのような変化が起こったのだろうか? それは「テレビ」や「電話」という機能は、データセンター側のコンテンツやサービスになったからである。一方、クライアント端末側に残ったのは「窓」、すなわちネットワーク付きのディスプレイである。メイン処理はデータセンター側にあり、クライアント側でできることは基本的には同じだ。テレビやパソコン、電話といった区分はほとんど意味を持たない。クラウド・コンピューティングがプロダクトの概念を変えたのである。
ただし、全てが同じ1つのプロダクトになるわけではない。
たとえばスマートフォンでも映画を観ることはできる。だが1人で鑑賞するにしても、映画を楽しむなら、タブレット端末くらいのサイズは欲しいところだ。家族みんなで楽しむのであれば、リビングルームに大型のディスプレイが必要である。それは将来的にも変わらない。クライアントとしての機能は同じ。違うのは「大きさ」と「場所」、そして「役割」である。
プロダクトの概念の変化
「クラウドロニクス・プラットフォーム」とは?
クラウドロニクス環境では、データセンターはスーパーコンピューターとして飛躍的に処理能力が高まっただけでなく、新しい機能を兼ね備えている。具体的には、開発環境であり、メディア/コミュニケーションであり、ストレージでもあり、「エージェント」と呼ばれるインターフェースとしての役割も担っている。これらは従来になかった概念であり、私はこれらを総称して「クラウドロニクス・プラットフォーム」と呼んでいる。
クラウドロニクス・プラットフォーム
「開発環境」としてのプラットフォーム
従来、プログラミングを行うのはWindowsやMacintoshなどのクライアント側であるのが常識であった。しかし近年は、Amazon AWSやMicrosoft Azureなどデータセンター側に環境が用意され、ネットワークの向こう側で開発する方が主流になってきた。1人の人間が複数のデバイスを使うのが当たり前になり、どの端末からアクセスしても同じ状態からスタートできる方が便利だからである。
「メディア/コミュニケーション」としてのプラットフォーム
2015年12月現在、Facebookのアクティブユーザーは約15億9千万人と発表されている。つまり、その気になればFacebookは約16億人に情報を瞬時に伝えることができる。「史上最大のマスメディア」が現実として誕生しているのである。LINEの利用者数は約2億人と言われている。これはいわば「電話」のような存在である。データセンターはメディアやコミュニケーションツールの基盤としての役割を担っている。
「ストレージ」としてのプラットフォーム
つい数年前まで、データ管理は個人であればCDやDVDなどに保存、法人では社内にサーバーを保有するのが一般的だった。それが今やEvernoteやDropbox、各社が提供するストレージサービスなどを利用するのが当たり前になった。ストレージのコストが大幅に下がったことで、無料もしくは低価格でサービスの提供が可能になったからである。ユーザーにとっても、ネットワーク上にストレージがあった方が、様々なデバイスからアクセスできるので便利である。データセンターは、HDDやローカルサーバーの役割を代替するようになった。
「エージェント」としてのプラットフォーム
Yahoo!やGoogleといった検索エンジンは広く利用されている。現在使われているこれらのサービスは文字ベースである。それに対して「エージェント」とは、音声ベースの検索エンジンであり、インターフェースを兼ねたものである。AppleのSiri、GoogleのGoogle Now、MicrosoftのCortanaなど、各社が「エージェント」の開発に力を注いでいる。「エージェント」=次世代の検索エンジンであり、その主導権を握る意味は極めて大きい。
だが私たちの日常会話で使われる言葉は、略語やスラングが混じっていたり、文法が適当だったりする。音声認識でコンピューターが一定以上の精度で理解するためには、裏側に「人工知能」が不可欠になる。
クラウドロニクス環境では、コンピューターの処理速度が単に速くなるというだけではない。これからはコンピューターが話したり、考えたりするのが当たり前となる。そしてその性能を決定づけるのは「人工知能」である。人工知能=知性であり、「インテリジェント・コンピューティング」と呼ぶべき、コンピューティングの新しい時代が始まっているのである。これからの時代、人工知能は特別な存在ではない。インターフェースとして誰もが利用するものであり、次世代コンピューティングそのものと言える。
さらに言えば、このインテリジェンスな能力がブロードバンドを通じてサービスとして提供されるようになる。そしてその出口も、パソコンだけではなくスマートフォンやテレビ、家電、住宅、自動車、OA機器など、エレクトロニクスのあらゆる領域に広がっていく。それがビジネスに今後どれだけ大きなインパクトをもたらすか、想像してみてほしい。
インテリジェント・コンピューティングによる社会的変化
インテリジェント・コンピューティングによるコンピューターの進化とそれが引き起こすビジネスへの影響とは?
これまでコンピューターにおける「記録」の対象はテキストがメインであった。それが最近はブロードバンド環境の整備やストレージの低価格化により、映像や音声データも気軽に残せるようになってきた。これらは記録というより「記憶」であり、それをそのままに近い形で残せるようになった。
さらに、近年はDeep Learningなど機械学習技術が急速に進歩したことで、コンピューターが本格的に「学習」できるようになった。「学習」といっても、コンピューターが自らの意思で学ぶわけではない。人間がSNS等にフィードする情報やデバイスから自動的に出力されるデータを基に、コンピューターが新しい情報を獲得したり古いデータを更新したりできる環境が整ったということである。
Googleが開発したコンピューター囲碁プログラム「AlphaGo」は、人工知能が学習できるとはどういうことか、端的に表している。トッププロを打ち破ったAlphaGoには、驚くべきことに囲碁のルールさえプログラムされていない。最初は「囲碁で勝つ」とはどういうことか、指導付きで過去の対局データをひたすらインプット。その後はプログラム同士で数千万回対局させることで腕を磨いたという。プロ棋士全員が生涯をかけても、対局できるのはせいぜい数十万回に過ぎない。AlphaGoは人間の限界をはるかに上回る経験を積んだからこそ、プロ棋士を凌ぐ強さを手に入れられたのである。
さらに、インテリジェント・コンピューティングは「学習」を超えて「判断」の領域にまで浸透してくる。象徴的なのは、Googleが開発中の自動運転技術である。ひと昔前は、自動車の運転には様々な状況判断が必要になるため、機械には到底無理という見方が支配的であった。だが現時点でも、人間が運転するより安全性が高いという評価も出始めている。特にアメリカは車社会であり、高齢者も生活する上では運転が欠かせない。
自動運転に対するニーズは今後ますます高まっていくだろう。
医療業界においては、ゲノム情報と投薬効果の相関性など、様々な実践データが大量に取得・活用できるようになる。世界中からもたらされる膨大なデータを完璧にトラッキングした上で、最新の知見に基づいてベストな判断を下すのは、人間の力だけでは不可能になっていく。
過去のデータに基づいて、それを正確にトレースすることで判断が求められるような業務は、人工知能へと徐々に置き換わっていくだろう。そのような「機械的な判断」は、コンピューターの方がはるかに間違いが少ないからだ。
インテリジェント・コンピューティング
我々の働き方や求められる能力はどのように変わっていくのか?
人工知能は今後、飛躍的に色々なことができるようになる。人間との込み入った話を理解できるだけでなく、ユーモアやウィットに富んだ会話、いろんな受け答えもできるようになるだろう。さらには翻訳エンジンを搭載し、多言語を使い分けることは当たり前になっていく。
さらに人工知能は、五感や身体さえも手に入れるようになる。たとえるならスピーカーは口、マイクは耳、カメラは目である。センサーは神経、ロボットは手足の役割を果たす。ブロードバンドを通じてこういった五感や身体が世界中に広がり、人工知能がそれを遠隔で使えるようになっていく。
コンピューターの進化によって、働き方や人間に求められる能力というのが変わるのは間違いない。ただし、短絡的に仕事がなくなるという話ではない。最近、仕事が全てコンピューターに置き換わっていき、人間はこれから何をすればよいのかと不安を感じている人々が増えている。だがコンピューターはどんなに進化しても所詮は「道具」でしかない。コンピューターは人間の脳の能力を超えると心配する方もいる。しかしパソコンでも、記憶力は人間の能力をはるかに上回っている。だが我々はパソコンを「道具」として使って仕事をしている。
データやプログラムに誤りがあればコンピューターも間違える。だが何か問題が起こっても、コンピューターは責任を取ることはできない。最終的には人間が責任を持って判断するしかないのである。人工知能もコンピューターの延長線上にあり、「道具」としての限界は同じだ。
人間にしかできないことはたくさんある。たとえば、コンピューターは「意思」や「想い」を持たない。当然、自らの意思で新しいビジネスを創ったりはしない。何かを「実現」する力を持つのは人間だけである。その本質は将来も変わらない。
コンピューターは「創造力」を持たない。過去になかったものを新たに提示することはあるかもしれないが、それは単なる組み合わせでしかない。コンピューターには価値観がないため、それが良いのか/悪いのか、美しい・カッコイイなどを判断することができない。創造力は経済価値の源泉であり、特に「0→1」を生み出す創造力・構想力は人間だけが持つ能力である。
お客様やパートナー企業と、「信用・信頼」関係を築けるのも人間だけである。人工知能に「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」と言われても、普通はあまり嬉しくはないだろう。ましてお客様を感動させるような、真心がこもったサービスが提供できるのは人間だけである。機械を相手にいくら取引を重ねても、真の信頼関係は生まれない。
人工知能の広がりとともに、人間が仕事で求められる能力も大きく変わっていくだろう。
人に求められる能力、働き方の変化
まとめ
第1回では、企業における中長期戦略を立案する上で共通認識を固めることの重要性と、直近に起こり得る3つのメガトレンド、なかでも特に中心的な位置づけにある「クラウド・コンピューティング」について話を伺った。
ブロードバンド環境の整備、データセンターとの連携によるコンピューター処理能力の飛躍的な向上など、コンピューティングを取り巻く環境が大きく進化していき、クラウド・コンピューティングとして多様な機能がサービスという形で提供され、プラットフォーム化されていく。
プロダクトとしての「モノ」の概念が変わり、エレクトロニクスとクラウド・コンピューティングの融合による「クラウドロニクス」と呼ばれる新しい環境が生まれ、それを支える「クラウドロニクス・プラットフォーム」が担う役割を紹介してきた。
また、人工知能の活用が本格的に始まり、ブロードバンドを通じサービスとして提供されていく中、今後の働き方や人に必要とされる能力に関する示唆を得られたのではないだろうか。
第2回では、クラウド・コンピューティングにより商流・物流・金流といったビジネスの前提がどのように変わっていくのかを紹介していく。