IFRSオンライン基礎講座 棚卸資産

IAS第2号「棚卸資産」について音声解説付きスライドにより分かりやすく解説します。

IAS第2号「棚卸資産」について音声解説付きスライドにより分かりやすく解説します。

解説文付きスライド

※2020年3月31日時点で公表されている基準等に基づき解説しています。

棚卸資産とは?

IAS第2号の定義を満たす項目は、棚卸資産として会計処理を行います。
すなわち、通常の事業の過程において販売を目的として保有されるもの、または、そのような販売を目的とする生産の過程にあるもの、あるいは、生産過程またはサービスの提供にあたって消費される原材料または貯蔵品のいずれかに該当すれば、棚卸資産となります。

なお、広告宣伝用の資産、例えば宣伝用のちらしや試供品は、棚卸資産に該当しません。

棚卸資産の原価

棚卸資産の原価には、購入原価、加工費、及び棚卸資産が現在の場所と状態に至るまでに発生した、その他のコストのすべてが含まれます。
購入原価は、その資産の現金価格相当額であり、通常、対価として支払った金額と一致しますが、延払いで対価に利息が含まれている場合には注意が必要です。
また、購入原価には輸入関税や還付されない取得税、運送コストなどが含まれます。
他方、値引きや割戻しは購入原価から控除されます。
加工費には、直接労務費のような生産単位に直接関連するコストのほか、製造間接費が含まれます。固定製造間接費の配賦については、後ほど解説します。
その他、棚卸資産が現在の場所と状態に至るまでに発生したコストが原価に含まれます。
例えば、特定の顧客のために発生する製品設計のコストは、原価に含まれます。

固定製造間接費の配賦

固定製造間接費とは、生産量の変動に関係なく、比較的一定して発生する製造間接費をいい、減価償却費が例として挙げられます。

固定製造間接費の配賦1

固定製造間接費は、製品に直接関連付けられない間接費であるため、適切な配賦基準を設定して製品に配賦を行います。
配賦は、正常生産能力に基づき行います。
ここで正常生産能力とは、計画的なメンテナンスをした上で生じる能力の低下を考慮して、正常な状況で、多くの期間または季節をとおして平均的に達成することが期待される生産量をいいます。
例えば、年間の固定製造間接費の予算が100円、正常生産能力における製品の生産量が10個であるとします。
この場合、製品1個に配賦される製造間接費は100円÷(わる)10個で10円と算定されます。仮に、実際の生産量が9個である場合には、1個あたりの単価10円×(かける)9個で90円が棚卸資産に配賦されることになります。

正常生産能力による配賦額と、製造間接費の実際発生額との差額の取扱いは、配賦額が不足しているか、配賦額が実際発生額を超過したかにより異なります。

固定製造間接費の配賦2

実際の生産水準が正常な水準より低い場合には、正常生産能力による配賦額が不足し、固定製造間接費の未配賦、すなわち不利差異が発生します。
この場合、不利差異は製品に配賦せず、発生した期間で認識します。
実際の生産水準が正常な水準より高い場合、正常生産能力による配賦額が実際発生額を超過し、有利差異が発生します。
有利差異が発生した場合も、製品に配賦せず、発生した期間の費用として処理で認識します。
ただし、実際の生産水準が異常に高い場合には、正常生産能力による配賦を行わず、実際生産水準による配賦を行います。

原価の算定方法

収益に対応する原価の算定方法については、棚卸資産の性質及び用途に応じた方法を採用し、一貫して適用します。つまり、性質及び用途が類似する棚卸資産については、同一の方法により原価を算定する必要があります。

代替性の無い棚卸資産には、個別法を使用します。例えば、不動産や、特定のプロジェクトのために製造され区分されている大型プラントの建設工事などがあげられます。
先入先出法と加重平均法は、代替性のある大量の棚卸資産について用いられます。
先入先出法とは、先に購入した、または、製造したものから販売されると仮定して、原価を算定する方法です。
加重平均法とは、期首と期中に購入または製造した類似品目の原価との加重平均により、原価を算定する方法です。
後入先出法は、認められません。
なお、標準原価法や売価還元法は、原価と近似する場合にのみ簡便法として認められます。

正味実現可能価額

棚卸資産が陳腐化して販売価格が下落した場合など、原価が回収できないと見込まれる場合には、正味実現可能価額まで評価減を行います。

正味実現可能価額

正味実現可能価額とは、見積販売価格から、販売に要する見積りコスト、および、完成までに必要なコストを控除した金額をいいます。
ただし、評価減の原因となった状況が存在しなくなった場合や、経済的状況の変化により正味実現可能価額の増加が明らかであるという証拠がある場合は、評価減した額を戻し入れます。

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