グリーントランスフォーメーション(GX)ビジネスは、政策支援や社会的気運の高まりなどにより、市場拡大が見込まれる貴重な分野となっています。GXとは、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの3つの観点から持続可能な社会の実現を目指すものです。GX分野においてテクノロジー企業は、自社のレジリエンス強化に加えて、先端テクノロジーを活用したGXに資するサービスの提供により、GXの促進をリードするイネーブラーとしての役割を期待されています。

KPMGは、テクノロジー企業が次の一手として取り組むべき「GX分野における新規事業開発」の方法論を提唱し、事業開発から実行までワンストップで支援します。

GX事業開発の必要性

GXの実現に向けて、政府がGX推進法をはじめとするさまざまな政策を打ち出しており、ESG投資の増加やAI・IoTなどの技術の進歩、さらにはGXに対する社会的な気運の高まりもあり、GXへの対応が加速しつつあります。こうしたなかで、企業には持続可能な社会の実現に向けた積極的な取組みが求められるようになってきました。GHG排出量の削減や資源循環型ビジネスへの転換、生物多様性の保全など、サステナビリティを経営の根幹に据えることが必要不可欠となっています。テクノロジー企業にはこれらの推進を支援するイネーブラーとしての役割が期待されています。

  カーボンニュートラル(CN) サーキュラーエコノミー(CE) ネイチャーポジティブ(NP)
政治的要因
  • 2050年までにCO2排出量の実質ゼロ目標
  • 2022年から上場時のTCFD※1加盟とCO2排出量公表を義務化
  • 欧州を筆頭にCEへの転換を政策的に推進
  • プラスチック新法が成立。プラスチック資源循環の促進が急務に
  • TNFD※2フレームワークが成立
  • 「生物多様性国家戦略」が閣議決定。NP実現に向けた社会変革を強調
経済的要因
  • エネルギー価格高騰に伴う調達額削減の需要増加
  • 企業や投資家の再エネ開発等に対するESG投資の増加
  • 原材料価格の高騰
  • 廃棄物処理コストの増大
  • 生態系サービスの低下に伴う代替コストの増加(外部不経済の内部化)
社会的要因
  • 2050年のCN実現に向けて企業や個人にCO2排出量削減が求められており、需要側の行動変容が不可欠に
  • 世界的な人口増・消費拡大等による資源の需要増
  • 資源の掘削過多による自然資本の減少
  • 自然資本の持続的な利用への配慮を促す潮流
  • 生物多様性の減少による食糧安全保障の危機
技術的要因
  • 再エネの開発の加速
  • エネルギー貯蔵やCO2回収などの技術が進展
  • リサイクル技術の高度化
  • IoTやブロックチェーン技術の進化による資源のトレーサビリティの確保が可能に
  • リモートセンシングなどを活用した生態系のモニタリングや評価技術の萌芽

※1:TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)
※2:TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)

テクノロジー企業の事業機会

サステナビリティ経営を促進させるためには、AI・IoTなどの各種テクノロジーの活用が期待されており、テクノロジー企業にとっては、GXの3つの領域において以下のような事業機会があると考えられます。

グリーントランスフォーメーション事業開発支援_図表1

GX事業開発におけるKSF(Key Success Factor)

GX分野における新規事業を成功させるためには、バリュープロポジションの明確化が重要です。また、CE/NP領域は萌芽的なテーマであり、先進事例の構築やルールメイキングへの関与も重要な成功要因となります。

【バリュープロポジションの明確化】

  • 技術力の高さが強調され、顧客への価値提供につながらないサービス開発が散見されます。
  • 顧客の課題やニーズに対して、自社が提供できる独自の価値を徹底的に追及することが、新規事業を成功に導くポイントになります。

パートナリングの構築

特に国内においては市場は未成熟であり、早期参入により先行者利益を享受できる可能性があります。そのため、不足しているケイパビリティはパートナーとの連携により補完し、スピード感を持ってサービスを提供することが重要です。

【ルールメイキングへの関与】

中長期的なビジネス創出においては、ファーストムーバーとしてグローバル先進企業と協業・実証を行うことでデファクトスタンダードを獲得し、ルールメイキングにも積極的に関与することが重要な成功要因となります。

グリーントランスフォーメーション事業開発支援_図表2

KPMGのアプローチ

KPMGは、テクノロジー企業がGX分野において新規事業を開発する際の方法論を構築しています。新規ビジネスの検討からサービス展開に至るまで、さまざまな分野の専門家によって構成されたチームで支援します。

GXビジネス概況調査・事業仮説の幅出し・選定
  • ニーズ視点からGXビジネスの概況を調査し、シーズ視点も加味して事業仮説を探索・幅出しする
  • 市場魅力度と実現可能性から、有望な事業仮説を選定する
有望領域における事業仮説構築
  • 事業仮説について、顧客ニーズの深耕とターゲット層の特定を行う
  • バリュープロポジションとマネタイズモデルを設計し、事業構想の骨子を具体化する
事業仮説検証・推進体制構築
  • PoC※3を通じて事業仮説を検証するとともに、事業運営を開始するための体制、オペレーションの構築ならびにパートナーとの協業について合意形成を図る

※3 PoC:Proof Of Conceptの略。試作開発に入る前に行う、新しい手法などの実現可能性や効果の検証を指します。

KPMGの強み

(1)テクノロジー業界へのGX事業開発における豊富な経験

  • TMT(テクノロジー、メディア、通信)業界における戦略領域専門チームを有し、インダストリー、テクノロジーの知見に基づいた事業企画や事業開発等の戦略案件の支援が可能
  • テクノロジー企業向けにGX新規事業創出支援も多数実施

(2)GXに関連する顧客ニーズや課題への深い理解

  • 業界分析を通じてCN/CE/NPへの対応要請が高いセクターを特定
  • 当該セクターの抱える課題やニーズを深く理解

(3)国内外スタートアップとのリレーション

  • 国内外の幅広いパートナーとのリレーションを保有
  • パートナーとの協業仮説の導出、具体的な交渉、共同サービスの立上げ等の支援が可能

(4)業界標準形成などルールメイキングへの関与

  • 中長期的なビジネス創出において重要となるフレームワーク形成やデファクトスタンダードの獲得、ルールメイキングに向けた豊富な支援経験を保有

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