あずさ監査法人、予想信用損失モデルへの移行準備支援を本格化

金融機関が基準適用準備に動き出すのに合わせ、予想信用損失モデルへの移行支援を本格化します

金融機関が基準適用準備に動き出すのに合わせ、予想信用損失モデルへの移行支援を本格化します

2025年10月29日、企業会計基準委員会(以下:ASBJ)より企業会計基準公開草案第89号「金融商品に関する会計基準(案)」等(以下:公開草案)が公表されました。有限責任 あずさ監査法人(東京都新宿区、理事長:山田 裕行)では、金融機関が基準適用準備に動き出すのに合わせ、予想信用損失モデルへの移行支援を本格化します。

会計基準開発の経緯

公開草案では、2008年のリーマンショックを契機に開発されたIFRS第9号の予想信用損失モデルを基礎とした、将来予測情報を考慮した(いわゆるフォワードルッキングな)貸倒引当金への移行を求めており、金融商品会計基準の改正としては、時価会計導入以来の約四半世紀ぶりの大改正となっています。
今後のASBJの審議次第となりますが、3月決算の会社を念頭においた場合、早ければ2029年4月にも強制適用が開始される可能性があります。

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公開草案の概要

公開草案で提案されている予想信用損失モデルは、IFRS第9号の定めを基本的に取り入れており、例えば以下のような点が現行基準と異なります。

・金融機関では、これまで主に貸付金に対して貸倒引当金を計上していましたが、満期保有目的の債券等にも対象が拡大されます。
・貸倒引当金の測定方法は、債務者単位の「絶対的アプローチ」ではなく、原則としては債権単位の「相対的アプローチ」に変更されます。一定の場合、損失見積期間も現行に比べ長くなると考えられます。
・貸倒引当金の測定に当たっては、過去の貸倒実績だけでなく、将来予測情報の考慮(いわゆる「フォワード・ルッキング」)が求められます。
・金利収益の計上方法は、これまでの約定金利による貸出金利息の計上から、貸付金手数料を金利収益として計上する実効金利法による収益計上が原則となります。

これらの変更に対応するためには、貸倒引当金の計上プロセスを大幅に変更する必要があります。場合によっては、システム開発、信用リスク管理、ガバナンスの高度化が必要となる可能性があります。
ただし、会計基準導入の実務上の負担に配慮するため、「簡素化された予想信用損失の算定方法」(下表の一番右列参照)が設けられています。

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※上記は金融機関への影響を念頭に置いて記載しています。

あずさ監査法人による予想信用損失モデル移行準備支援

当法人では、これまで多数の国内外の金融機関に対してIFRS会計基準や予想信用損失モデルの導入検討の支援実績があり、KPMGグループが一体となり、会計分野、信用リスク管理の専門家やシステム・生成AIの専門家が連携してきました。
当法人では、これまでの支援実績・ノウハウをもとに、予想信用損失モデルの導入支援を本格化します。例えば、公開草案で設けられた複数の会計方針の選択や会計論点整理の支援はもちろんのこと、信用リスク専門家によるデータ整備・予想信用損失モデル構築支援やシステム専門家によるシステム導入支援まで、一貫して支援を行います。また、移行準備支援においては、生成AIを活用した取り組みも検討に組み入れ、効率的な導入と高度化したモデルの実現を目指します。

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                                                                         予想信用損失モデルへの移行にむけたセミナーの開催について

当法人では、公開草案の公表を受け、予想信用損失モデルの導入支援の一環として対面型のセミナーを開催します。公開草案の内容にとどまらず、予想信用損失モデル導入に向けた実務上の課題等も解説予定です。

 

【セミナー開催概要】

○ 名     称:『金融機関向けセミナー 企業会計基準公開草案第89号「金融商品に関する会計基準(案)」等の解説と予想信用損失モデル導入による実務への影響』

○ 開催日時:2025年12月11日(木)15:00~17:00

○ 会     場:ステーションコンファレンス東京6階  

○ 対 象 者:金融機関のリスク管理部門/財務経理部門のご担当の方 

※当法人と同業他社の方の参加はご遠慮いただきます

○ 申込期限:2025年12月9日(火)12:00

○ 内     容:企業会計基準公開草案第89号「金融商品に関する会計基準(案)」等の公表の背景や主要改訂ポイントをわかりやすく解説し、ビジネスおよび実務への影響とプロジェクト対応についてパネルディスカッション形式で議論します。

○ 受 講 料:無料

○ 定     員:100名 ※定員になり次第、締め切りとさせていただきます

※後日、オンデマンド配信を公開予定です。

※会場にご参加いただく方のみ、申込フォームからご登録ください。

※当日会場でQ&Aの時間を設けております。講師に直接ご質問いただけますので、是非この機会にご参加ください。尚、Q&Aの内容はオンデマンド配信には含まれません。

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あずさ監査法人について

当法人は、全国主要都市に約7,000名の人員を擁し、監査証明業務をはじめ、財務会計アドバイザリー、内部統制アドバイザリー、ESGアドバイザリー、規制対応アドバイザリー、IT関連アドバイザリー、デジタル・データ関連アドバイザリー、スタートアップ関連アドバイザリーなどの非監査証明業務を提供しています。
金融、テレコム・メディア、テクノロジー、パブリック、消費財・小売、ライフサイエンス、自動車等、産業・業種(セクター)ごとに組織された監査事業部による業界特有のニーズに対応した専門性の高いサービスを提供する体制を有するとともに、KPMGインターナショナルのメンバーファームとして、142の国と地域に拡がるネットワークを通じ、グローバルな視点からクライアントを支援しています。

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