「KPMGグローバルCEO調査2018」日本語版発行について

KPMGジャパン(本部:東京都新宿区、チェアマン:高橋 勉)は、KPMGインターナショナルが主要11ヵ国、11業界における約1,300名のCEO(最高経営責任者)を対象に2018年1月~2月に実施した「KPMGグローバルCEO調査2018」の日本語版報告書を発行しましたので、お知らせします。

KPMGインターナショナルが主要11ヵ国、11業界の約1300名のCEOを対象に2018年1~2月に実施した「KPMGグローバルCEO調査2018」の日本語版報告書を発行しました。

本報告書では、企業のトップとしてどのような戦略的課題に注目しているのかについてKPMG独自の視点から分析していますが、調査対象1,300名のうち、日本のCEO100名の回答を基に、グローバル全体(以降、「全体」)との比較分析から得られた日本のCEOの特徴について考察を行い、この度「日本のCEOの視点」をとりまとめました。

  • 「競争力を維持するため、自社の経営モデルの抜本的な変革を率いていく準備ができている」と回答した日本のCEOの割合は、全対象国のうち最も低い。
  • 日本のCEOの7割が、「自社は、業界における技術革新のスピードへの対応に苦慮している」と回答している。
  • 経営の機動性を実現するための唯一の方法は「第三者との提携強化」であると、日本のCEOの7割が回答している。
  • 自社の将来の成長計画を後押しする人材として「データサイエンティスト」を挙げた日本のCEOの割合は7割。

成長を脅かすリスクファクター

日本のCEOの76%は、「保護主義への回帰」を自社の成長に最も脅威をもたらすリスクとして挙げており、海外のCEOよりも保護主義政策に対して強い懸念を抱いていることがうかがえます。
また、デジタル化の進展に伴うサイバー攻撃の脅威の高まりについても、全体と同様に重大なリスクとして認識しており、約半数のCEOは自社がいつサイバー攻撃の標的になってもおかしくないと考えています。
グローバルと比較すると、日本は「レピュテーション/ブランドリスク」がTOP5に入っている点が特徴であり、これは昨今相次ぐ不正会計や品質管理問題などのガバナンスに対する課題が背景にあると考えられます。

自社の成長に最も脅威をもたらすリスク(上位5位)

全体

1 保護主義への回帰 55%
2 サイバーセキュリティリスク 35%
3 最先端技術/破壊的技術のリスク 35%
4 環境/気候変動リスク 33%
5 オペレーショナルリスク 33%

 

日本

1 保護主義への回帰 76%
2 サイバーセキュリティリスク 40%
3 環境/気候変動リスク 37%
4 最先端技術/破壊的技術のリスク 31%
5 レピュテーション/ブランドリスク 23%

 

 

 

サイバー攻撃に対する準備の遅れ

「サイバー攻撃への全体的な備えができている」と考えている日本のCEOは33%にとどまり、全体と比較して18ポイント低くなっています。さらに、「新たなサイバー脅威を検知する能力」「サイバー攻撃を受けた際のステークホルダーとの危機管理コミュニケーション能力」「サイバー攻撃の戦略オペレーションへの影響を最小限に抑える能力」については十分に備わっていないと、日本のCEOは認識していることがわかりました。

ミレニアル世代へのシフトとデジタル化への対応という難題

日本および全体のCEOの約4割は、新しい価値観を持つミレニアル世代の顧客ニーズを満たすために、「自社のブランドイメージを転換する」ことを考えており、ミレニアル世代への対応を重視しています。一方で、「ミレニアル世代と従来の顧客のニーズの違いを理解する」ことを重要な課題として挙げた日本のCEOは35%でした。これは調査対象国のなかで最も低く、ミレニアル世代に対峙する姿勢は日本と全体とで異なる結果となっています。

デジタル変革の実現に不可欠なCEOのリーダーシップ

「変革を進展させるために必要なリードタイムに苦慮している」と回答した割合が、全体と比較して高い(85%)ことからも、変革に要する時間の確保に障害がある、と感じている日本のCEOが多いことが明らかになりました。
一方で、「自社の経営モデルの抜本的な変革を率いていく準備が個人的にできている」と回答した日本のCEOは47%にとどまり、調査対象国のなかで最も低い割合となっており、全体と比較して日本のCEOはデジタル変革に向き合う姿勢に明らかな違いが読み取れます。
加えて、「顧客データの保護は、CEOの最も重要な責務である」と回答した日本のCEOは42%で、全体の平均より17ポイント低い結果となっていることから、日本のCEOがデジタル変革に関わる取組みを経営問題としてとらえていない、あるいは、自社のデジタル変革が進んでいないため、顧客データの保護を意識する段階に至っていないこと等が考えられます。

KPMGグローバルCEO調査2018

日本企業の経営においては機動性が重視

顧客の要求が絶えず変化し、テクノロジーの状況が常に流動するなか、企業が機敏に行動する重要性がこれまで以上に高まっています。日本のCEOの84%が「経営の機動性が企業の存続を左右する」と考えており、全体の回答結果を25ポイント上回っています。
しかし、「業界における技術革新のスピードへの対応に苦慮している」割合は、全体の36%に対し、日本企業は73%と大きな差があります。これは日本のCEOの意識と現実の行動や準備状況に乖離があることを浮き彫りとしており、機動性を重視しつつも、行動や準備が追い付いていない状況がうかがえます。

自社は、業界における技術革新のスピードへの対応に苦慮していると回答した割合

自社は、業界における技術革新のスピードへの対応に苦慮していると回答した割合

日本企業が成長を加速するためのカギ

日本のCEOの約7割が、「自社が必要とする経営の機動性を実現するための唯一の方法は、第三者との提携強化」であると考えています。
また、AIの活用が今後3年間に組織にもたらす効果として、日本のCEOは「経営の機動性の向上」を多く挙げています。その他、「利益成長の加速」、「データガバナンスの向上」や「データアナリティクス能力の向上」を上位に挙げており、AIの活用による経営スピードや成長の加速に期待を寄せていることがわかります。
また、将来の成長計画を後押しするためのコア人材として、データサイエンティストの活用を重視しています。このことから、AIやビッグデータの積極的な活用を推進し、デジタル時代における競争力を高める上では、データ活用体制の構築が急務であると考えられます。

自社が必要とする経営の機動性を実現するための唯一の方法は、第三者との提携強化であると回答した割合

自社が必要とする経営の機動性を実現するための唯一の方法は、第三者との提携強化であると回答した割合

自社の将来の成長計画を後押しするために必要な人材

全体

1 データサイエンティスト
67%
2 最先端技術の専門家(AIの専門家等)
56%
3 サイバーセキュリティの専門家 55%
4 新興市場の専門家 49%
5 デジタル変革の責任者 47%

 

日本

1 データサイエンティスト 74%
2 新興市場の専門家 49%
3 サイバーセキュリティの専門家 41%
4 ガバナンス/倫理の専門家 36%
5 シナリオおよびリスクモデリングの専門家 32%

詳細は「KPMGグローバルCEO調査2018」をご参照ください。

「KPMGグローバルCEO調査2018」について

本調査は、主要11ヵ国(オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、オランダ、スペイン、英国、米国)および11業界(投資運用、自動車、銀行、小売/消費材、エネルギー、インフラ、保険、ヘルスケア、製造、テクノロジー、通信)におけるCEO1,300人からの回答に基づいて実施しました。回答企業は業務収入が5億米ドル以上の企業であり、うち3分の1が業務収入100億米ドル以上となっています。この調査は、2018年1月22日から2月27日の間にかけて実施しました。本リリースでは、調査対象となった日本企業のCEO100名の回答を基に日本企業のCEOの傾向をまとめました。

注)いくつかの数値に関しては四捨五入を行っているため、必ずしもその合計が100%にならない場合があります。

KPMGインターナショナルについて

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KPMGジャパンは、KPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームの総称であり、監査、税務、アドバイザリーの3つの分野にわたる7つのプロフェッショナルファームによって構成されています。クライアントが抱える経営課題に対して、各分野のプロフェッショナルが専門的知識やスキルを活かして連携し、またKPMGのグローバルネットワークも活用しながら、価値あるサービスを提供しています。日本におけるメンバーファームは以下のとおりです。
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