「KPMGグローバルCEO調査2017」日本語版発行について

KPMGジャパンは、KPMGインターナショナルが2017年2月~4月に実施した「KPMGグローバルCEO調査2017」の日本語版報告書を発行しましたので、お知らせします。

KPMGジャパンは、KPMGインターナショナルが2017年2月~4月に実施した「KPMGグローバルCEO調査2017」の日本語版報告書を発行しましたので、お知らせします。

今年のCEO調査では、不確実性が高い経済環境のなかで世界の主要企業のCEOが直面している課題や機会をどのように捉え、企業のトップとしてどのような戦略的課題に注目しているかについて、KPMG独自の視点から分析しています。さらに、グローバル全体との比較分析から得られた、日本のCEOの特徴についても考察しています。主な分析結果は以下のとおりです。

今後3年間に優先する戦略的施策

グローバル全体、日本のCEOいずれも上位3項目の中に、「市場進出スピードの向上」、「破壊的テクノロジーの導入」があげられています。CEOが複雑に変化する市場環境にいち早く対応しようとしている一方で、市場構造を大きく変革させる破壊的なテクノロジーに対して危機感を持っていることの表れであると考えられます。加えて、日本のCEOは「投資家報告の妥当性の向上」が上位に挙がっていることから、企業統治や経営の透明性、取締役会の運営の実効性などガバナンス強化に対して問題意識が高いことが読み取れます。

図表 今後3年間に優先する戦略的施策

CEO自身の進化

日本のCEOは、「自社が最新テクノロジーに追いついていけるか」を懸念している割合が79%と、主要国の中で最も高い結果となっています。「市場の収斂に対応する効果的な戦略不足」を懸念している割合は42%、「リーダーとして直面したことのない重要課題」を懸念している割合は66%で、各項目でグローバル全体より高い結果となりました。しかしながら、「過去1年間で自身の役割を向上・破壊するために学習・資格取得を行った」割合は60%と、グローバル全体より低い結果となっており、懸念を解消するためのより一層のアクションが求められます。

図表 CEO自身の進化

データに対する不安感

日本のCEOの92%は、「CEOとして、顧客の関心に応える責任感は増大している」と考えており、ほとんどのCEOが顧客の理解の重要性を認識しています。そのような状況下で、「良質な顧客データの不足が顧客理解の阻害要因となっている」と懸念を示した日本のCEOは82%で、グローバル全体の45%を大きく上回りました。また、「自らの判断の基礎としているデータの完全性」に懸念を感じている日本のCEOは78%(グローバル全体は56%)にも上りました。良質な顧客データを入手できていないことに対する、日本のCEOの問題意識が浮き彫りになっています。

図表 データに対する不安感

成長に向けた今後3年間の戦略と実行手段

今後3年間の戦略的優先事項として、グローバル全体と同様に日本では「既存の市場への浸透活動の強化」が最も多く、日本のCEOの61%が回答しています(グローバル全体は53%)。次に、日本のCEOの58%は「新たなバーティカル市場への進出」※1をあげており、これはグローバル全体の32%に比べて高い割合で、日本のCEOは新規市場・既存市場いずれも視野に入れた戦略を考えているようです。

上記戦略の実行手段としては、グローバル全体では「本業のオペレーション・プロセスの強化」を重視するCEOが72%と最も多かったのに対し、日本のCEOは「他社とのパートナーシップ、ジョイントベンチャー」を上位(52%)にあげています。自社が持っていない技術やノウハウを導入するために、オープンイノベーションをはじめとする他社との提携・連携を重視する姿勢が読み取れます。次いで、わずかな差で「本業のオペレーション・プロセスの強化」(49%)を実行手段としてあげています。


※1 バーティカル市場とは、特定の定義されたニーズを共有する顧客グループのみから構成される市場。ある特定の産業の中の顧客グループや、特定の技術基盤を利用するグループで構成されます。

図表 成長に向けた今後3年間の戦略と実行手段

不確実性に対する不安と自社の成長に対する自信

不確実性が高まるなか、今後3年間の成長見通しについて、昨年より全体的に楽観度は減少しています。グローバル全体で65%のCEOが、「今後3年間の世界経済の成長に自信がある」と回答し、昨年の80%より減少しております。特に、日本のCEOにおいては、「自信がある」としたCEOはわずか21%にとどまり、昨年の93%から大幅に低下しています。一方で、日本のCEOの88%は、自社の成長に自信があると回答しており、厳しい見通しの中でも着実な成長を目指している姿勢が伺えます。

図表 今後3年間の成長の見通し

破壊的テクノロジーに対する挑戦

今日、企業が不確実性に対応するなかで、「ディスラプション(破壊)」は避けては通れないものとなっています。この破壊について、「自社が自らの業界の破壊者になることを目指している」と回答したCEOは74%に上り、また、「破壊は脅威ではなく、新たなビジネスチャンスと捉えている」としたCEOも65%となりました。さらに、日本のCEOにおいては、87%が「今後3年間で技術イノベーションにより自社の業界に大きな破壊が起きる」と予想しています。

図表 破壊的テクノロジーに対する挑戦

「KPMGグローバルCEO調査2017」について

本調査は、主要10ヵ国(オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、スペイン、英国、米国)、11業界(自動車、銀行、インフラ、保険、投資運用、ヘルスケア、製造、小売/消費材、テクノロジー、エネルギー/公益事業、通信)におけるCEO1,261人からの回答に基づいて実施しました。回答企業は業務収入が5億米ドル以上の企業であり、うち3分の1が業務収入100億米ドル以上となっています。この調査は、2017年2月21日から4月11日の間にかけて実施しました。

KPMGインターナショナルについて

KPMGは、監査、税務、アドバイザリーサービスを提供するプロフェッショナルファームのグローバルネットワークです。世界152ヵ国のメンバーファームに189,000名のプロフェッショナルを擁し、サービスを提供しています。KPMGネットワークに属する独立した個々のメンバーファームは、スイスの組織体であるKPMG International Cooperative(“KPMG International”)に加盟しています。KPMGの各メンバーファームは法律上独立した別の組織体です。

KPMGジャパンについて

KPMGジャパンは、KPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームの総称であり、監査、税務、アドバイザリーの3つの分野にわたる7つのプロフェッショナルファームによって構成されています。クライアントが抱える経営課題に対して、各分野のプロフェッショナルが専門的知識やスキルを活かして連携し、またKPMGのグローバルネットワークも活用しながら、価値あるサービスを提供しています。日本におけるメンバーファームは以下のとおりです。
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