大阪・関西万博内の「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」で開催された、KPMGコンサルティングが主催するピッチコンテスト「価値創造イノベーションコンテスト:女性が導くサステナブルな未来」の決勝戦で、「日本文化を活用したオーバーツーリズム対策プロジェクト」を提案した川北麻由氏が最優秀賞に選ばれました。
上段左から、Kanatta 井口恵氏、塩屋桜子氏、
エスプリングホールディングス 髙田春奈氏、KPMG 麻生多恵
下段左から、中村有希氏、川北麻由氏、柳澤華乃氏、カナダ マイカ氏
WOVEMENTS®の理念とコンテストの意義
ピッチコンテストはKPMGコンサルティングが社内外で推進する女性活躍推進活動「WOVEMENTS®」が、女性イノベーターを支援しようと企画・運営しました。WOVEMENTS®は、Woman(女性)とMovement(ムーブメント)を組み合わせた言葉で、「“知らなかった・諦めることにした”とは言わせない、選択が私たちを成長させる」というコンセプトのもと、すべての女性が自分自身の意志でキャリアを自由に選択し、社会に新しいムーブメントを起こす存在となることを後押しする活動です。
コンテストでは、職歴や学歴を問わず、サステナビリティをめぐる課題解決に向けた革新的なアイデアを持つ女性(もしくは女性が主要メンバーであるチーム)を対象に、2025年1月に募集を開始。全国から集まった52件の応募のなかから、厳正な審査を経て決定した5名のファイナリストに対し、KPMGコンサルティングのプロフェッショナルが約1ヵ月間にわたってピッチに向けたサポートを実施しました。
6月30日に開催された決勝戦では、最終審査に先立ち、WOVEMENTS®の責任者を務める執行役員パートナーの麻生多恵が登壇。参加者・関係者へ厚く謝意を述べたうえで、「少し先の未来すら予測できないと言われる時代だからこそ、今求められるのは柔軟な発想です。既存の枠組みに囚われない姿勢、常識を超えてしまおうという情熱からこそ、新たな価値観は生まれてくるのだと思います。皆様にとって、日頃実感する課題や未来への希望に思いを馳せ、ムーブメントに踏み出すきっかけにしていただければ幸いです」とコンテストの意義を語りました。
最優秀賞は「ゲーミフィケーション×課題解決」でオーバーツーリズム対策を提案した川北麻由氏
決勝戦に臨んだファイナリストたちは、自身のアイデアがどのように社会課題を解決し、持続可能な未来を創造していくかについて、それぞれハイレベルなプレゼンテーションを披露しました。
審査員を務めた株式会社Kanatta 代表取締役社長の井口恵氏、株式会社エスプリングホールディングス 代表取締役社長の髙田春奈氏、KPMGコンサルティングの麻生からは、事業の実現性や社会へのインパクトなど多角的な観点から質問が投げかけられ、白熱したやり取りが交わされました。
選考の結果、最優秀賞に輝いたのは、大学院生の川北麻由氏による「日本文化を活用したオーバーツーリズム対策プロジェクト」です。
川北氏は、オーバーツーリズムやフードロスといった観光業界が抱える課題の解決のため、日本文化を活かしたゲーミフィケーションアプリの開発を提案。ゴミ拾いや歴史クイズといった行動を通じてポイントを獲得し、そのポイントを地域の特産品などと交換できるといった仕組みを紹介し、「観光地も観光客も、お互いが笑顔になるサービスを提供できれば」と構想の狙いを説明しました。
最優秀賞を受賞した川北麻由氏
審査では、オーバーツーリズムという社会的な問題を、単に規制で解決するのではなく、楽しみながら行動変容を促すといったコンセプトが高く評価され、地域・企業などさまざまなステークホルダーを巻き込むことを想定している点にも期待が寄せられました。
審査員の髙田氏は、「発表を聞きながら、アイデアが膨れ上がっていくようなイメージを感じました。会場にいる皆さんも『こうしたらもっと良くなるのではないか』、『一緒にできることがあるのではないか』と、アイデアが広がっていったのではないかと思います。今後いろいろな人を巻き込みながら事業化を進めるなかで、より磨かれていくのではないかと期待しています」と語りました。
トロフィーを受け取った川北氏は「私はもともと自分にあまり自信がなく、新しいことに挑戦することにためらいがあったのですが、今回このような素晴らしい機会をいただき、チャレンジすることができて本当に良かったです」と喜びを語りました。
最優秀賞の川北氏には、特典として、KPMGコンサルティングが定期ミーティングへの参加やネットワークの構築をはじめとした伴走支援を1年間行います。
審査員の井口恵氏
審査員の髙田春奈氏
「kawaii×サステナブル」のデコパーツ自販機を提案した柳澤華乃氏に審査員特別賞
最優秀賞に次ぐ「審査員特別賞」は、使用済みペットボトルのキャップをデコパーツにアップサイクルできる自動販売機「Deco Lab.」を提案した工学系大学院生の柳澤華乃氏が受賞しました。
「DeCo Lab.」は、「kawaii×サステナブル×機械」のかけ合わせによって、廃プラスチックとゴミ問題を解決するとともに、楽しみながら環境問題に取り組むきっかけを多くの人に提供するというものです。サステナビリティに関する課題を身近な話題に置き換えて捉え直し、Z世代を中心とした若年層などの行動変容を促す点や、課題解決に向けた手法やプロセスが具体的で、実効性を感じさせる点が評価されました。
審査員の井口氏は「Z世代女性に特化したアイデアが面白く、どう行動変容を促すかという点が明確でわかりやすい。推し活など他のビジネスコンテストでは出てこないようなアイデアも素晴らしかったです」と期待を語りました。
惜しくも受賞を逃したものの、他のファイナリスト3名も優秀なプレゼンテーションを披露しました。
リモートで登壇したハワイ在住高校生の塩屋桜子氏は、日本と海外の中高生をオンラインでつなぎ、英語学習の機会を創出するプラットフォーム「GLEAD」を提案。文化や言語の壁を越えた交流を通じて、若者のグローバルな視野を広げることを目指すとしました。
起業家のカナダ マイカ氏は日本の中小企業による海外進出を支援する「Omiisayサービス」を紹介。資金面・リソース面などで海外展開のハードルを下げ、モノやサービスへの評価を高め、日本企業の収益力を向上するといったコンセプトを打ち出しました。
看護師の中村有希氏は、各地の妊婦と医師・助産師をオンラインで繋ぐ遠隔サポートシステム「LumoMama:)」を提案。地域格差や人手不足が課題となっている産婦人科医療の現状を改善し、安心して出産・子育てができる社会を目指すとしました。
審査員特別賞を受賞した柳澤華乃氏
塩屋桜子氏
カナダ マイカ氏
中村有希氏
主催者コメント
すべてのアイデアに敬意を表したいと思います。若い皆さんの既存の枠組みや常識にとらわれない多様な発想力を目のあたりにし、未来に向けた可能性を感じるコンテストでした。5名のファイナリストたちの発表を聞いていただいた皆さんも「自分の会社なら、一緒にこんなことができる」などと発想を膨らませていただけたのではないでしょうか。私たちは、このコンテストを通じて、一人ひとりが未来を「自分ごと」と考えて気づきを得て、社会を動かすきっかけにしていただきたいと考えています。
KPMG 麻生多恵
最優秀賞の川北さんのアイデアは、具現化するためにはプラットフォームを作り、いろいろな人とつながることが必要になるでしょう。予期せぬ課題も出てくるかと思いますが、KPMGコンサルティングは伴走する機会をいただけたことに感謝しています。真の社会変革は、閉じた世界では実現できません。KPMGはグローバルのネットワークも駆使しながら、ムーブメントを起こしていきます。企業の皆さんも、ぜひ巻き込まれていただきたいです。
KPMGコンサルティングは、女性のエンパワーメントを推進する活動を今後も継続してまいります。
(KPMGコンサルティング 執行役員 パートナー 麻生 多恵)
※WOVEMENTS®は、KPMGコンサルティング株式会社の日本における登録商標です。
ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartierについて
2025年大阪・関西万博において、内閣府、経済産業省、2025年⽇本国際博覧会協会とともに出展する本パビリオンは、「ともに⽣き、ともに輝く未来へ」をコンセプトに掲げ、すべての人々が真に平等に生き、尊敬し合い、共に歩みながら、それぞれの能力を発揮できる世界をつくるきっかけを生みだすことを目指し、女性たちの体験や視点を通して、公平で持続可能な未来を志すことを来場者に呼びかけます。ウーマンズ パビリオンのミッションは、未来世代へと受け継がれるレガシーを創造するとともに、世界中のコミュニティからインスピレーションを得ることで人類の叡智を紐解くことにあります。パビリオンに足を踏み入れると、そこには誰かの人生の物語や世界が抱える課題、そして私たちがともに願う未来への希望が広がっています。