新型コロナウイルス感染症対策により一時的に縮数小した国際的な人の移動は、新型コロナ禍の終焉により、再び急速な拡大を見せています。
リクルートワークス研究所は、我が国では2040年に1,100万人の働き手が不足すると試算しています。働き手不足は、我が国に限らず、少子高齢化に喘ぐ多くの国々においても喫緊の課題となっており、また、どの国も優れた人材を世界から獲得したいと考えています。国境を越えた人の移動が新たなフェーズを迎え、人材獲得競争が激化するなか、我が国は世界から優れた人材を獲得するためにどういった戦略を立てるべきなのでしょうか。外国人労働者を取り巻く日本社会とその特徴を整理した上で、日本の目指すべき移民政策の方向性を考察します。
第1部:世界から見た我が国の労働市場と外国人労働者の状況
1. 我が国の人口動向見通しと、その前提条件としての外国人人口
2. 我が国の移民の動向
3. 労働市場としての日本
(1)1人当たり平均月給額をベンチマークとして考察した日本の労働市場
(2)「受け皿」としての日本労働市場
1. 技能実習の雇用状況と制度
2. 特定技能人材の雇用状況と関連制度
3. 高度外国人材の雇用状況
4. 高度外国人材受入の障壁
5. 求められる日本語能力
6. 高い永住型受入比率
第2部:我が国における「移民政策」の展望と方向性~フォースバレー・コンシェルジュ株式会社代表取締役社長 柴崎 洋平氏とIdea Studio NepalのExecutive Chairperson and Co-FounderであるDr. Tshering Lamaによる対談
第1部では、我が国の外国人労働者の動向や、外国人雇用制度、世界から見た我が国の労働市場を概観し、日本の給与水準の訴求力、日本語能力の障壁といった課題を洗い出しました。
これを踏まえて第2部では、外国人材受入に長年注力しているフォースバレー・コンシェルジュ株式会社代表取締役社長 柴崎洋平氏と、ネパールにおいて、ネパール政府と密接に連携しながら送出国サイドの政策立案、教育等に注力しているDr. Tshering Lamaからお考えを伺います。
お二方には、第1部で考察された課題を克服し、日本が世界から優秀な人材を獲得するためには、どういった移民政策が必要なのか、また送出国は日本をどのように見ているのかについてお話いただきました。
日本政府に求められる、移民政策の「戦略と計画」
- なぜ日本で在留外国人が増えているのか
- 「鎖国」のイメージが根強い日本
- 日本経済へのポジティブインパクト
- ターゲットにすべき送出国
- ネガティブインパクトの解消のために必要なこと
- 政府に求められる積極的な語学教育と啓発活動
- 分野別、語学レベル別に検討すべき英語人材の活用
- 優秀な人材は、本当に介護や農林水産業で就労するのか?
- 「対等・平等」というコンプライアンスの浸透
- ネパールから見た労働市場としての日本
- 相互理解が日本により多くの労働力をもたらす
- 日本で働く具体的なイメージを示す
- Win-Winの関係を築くエコシステムの構築
- KPMGに期待すること
第3部:我が国の人口政策における移民受入の視点
第1部、2部を踏まえ、本項では「我が国の人口政策における移民受入の視点」として、移民受入のターゲット層の明確化について、簡易な提言を行い、本論を締めくくります。
提言:我が国の人口政策における移民受入の視点
- 外国人労働者視点に立ったメリット
- 「日本で働くこと」の具体的イメージ
- 我が国の労働市場のニーズ
- 日本経済へのポジティブインパクト
- 日本社会における定着・共存
執筆者
KPMGジャパン ガバメント・パブリックセクター
あずさ監査法人
マネジャー 柿崎 恵
監修者
KPMGジャパン ガバメント・パブリックセクター
あずさ監査法人
ディレクター 林 哲也