BCTI、COP30に向けて、不平等に関する取組みを加速

2021年9月に設立された、不平等に取り組む国際的なイニシアティブであるBCTI(The Business Commission to Tackle Inequity)が、今後の活動方針を公表しました。本稿では、BCTIがターゲットとしている2030年に向けた、活動方針の概要を解説します。

不平等に取り組む国際的イニシアティブであるBCTI(The Business Commission to Tackle Inequity)の2030年に向けた活動方針を解説します。

2024年4月、持続可能な開発のための世界経済人会議(World Business Council for Sustainable Development、以下「WBSCD」)は、2021年9月に立ち上げた不平等に取り組むイニシアティブであるThe Business Commission to Tackle Inequality(BCTI)が、2030年にブラジルで開催されるCOP30に向けて、80を超える企業・団体および3つの国連機関(国連グローバルコンパクト、ユニセフ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR))とともに、その取組みを加速していくと表明しました。

具体的には、2023年5月に発表した報告書“Tackling Inequality: An agenda for business action”に基づき、今後2年間において、報告書で示した10の行動指針のうち、次の4つを優先度の高いものと位置づけ、企業の取組みを促進させることを表明しました。

  • 人権の尊重
  • ネットゼロとネイチャーポジティブ経済への公正な移行
  • DE&Iの実現
  • 生活賃金と生活所得の向上

BCTIは参加している企業・団体が一体となって、優先度の高いものを含む10の行動指針に基づき、自らやバリューチェーンの変革等の取組みを実践し、実践を通じた資本市場の改善に寄与するとしています。その上で、2025年の国連総会を中間目標とした上で、2030年にブラジルで開催されるCOP30に向けて、国連が採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成に向けた取組みを加速させていく方針を示しました。

WBCSDのCEOであるPeter Bakkerは、「不平等に対する取組みは企業等の責任であるとともに、前向きな変化に向けた機会を提供するもの」とした上で、「企業は、行動力・説明責任・意欲をもって取り組むことで、より公正・公平な世界を実現することができる。10の行動指針の実践と、現在の課題の解決に、我々はコミットしていく」と述べています。

執筆者

KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン
有限責任 あずさ監査法人
シニアマネジャー 瀧澤 裕也

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