フランス政府による2021年移転価格更正実績の公表

フランス政府が公表した2021年移転価格更正所得金額は28億5,700万ユーロ(約3,711億円)で、前年度と比べて135.7%増加しました。

フランス政府が公表した2021年移転価格更正所得金額は前年度と比べて135.7%増加しました。

フランス政府の経済金融産業デジタル省が公表した、2021年および過去の移転価格更正実績は下記のとおりです。
 

  2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
更正件数 442件 452件 355件 203件 385件
更正所得金額(ユーロ) 32億2,300万 33億2,300万 38億9,900万 12億1,200万 28億5,700万

出典:フランス2023年財政法関連文書「租税回避および脱税への対策」


フランスの2021年移転価格更正所得金額は28億5,700万ユーロであり、日本円にすると約3,711億円となります(フランス中央銀行の2021年のユーロ円平均レート:1ユーロ129.88円で換算)。ユーロベースでは、前年度の12億1,200万ユーロから135.7%増加しました。大幅な増加は、2020年にコロナ禍におけるロックダウン期間中に税務調査が停滞しましたが、2021年はこれが解消されたためです。

2022年も、2019年以前のような高水準の移転価格更正がなされることが予想されます。

近年のフランス税務調査の特徴として、移転価格課税に重加算税を加え、納税者を刑事起訴しようとする傾向があります。また、当局は、AI(人工知能)やデータマイニングを駆使し、より効果的な調査対象法人の選定を行っています。

フランスに進出されている日系企業は、移転価格ポリシーのレビュー、移転価格文書化等を通じて、移転価格調査に準備・対応する事が推奨されます。

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