KPMGコンサルティングにおけるさまざまな業種との多岐にわたる取組みのうち、京都市と米国のゲーム会社Hi-Rez社との異業種コラボレーションによる、SDGs活動への貢献プロジェクトを紹介します。
プロジェクト概要
プロジェクト名 | チーム対戦型シューティングゲーム『Rogue Company』“Kyoto Job”連携プロジェクト |
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期間 | 2020年11月~2021年11月 |
支援内容 | 京都をテーマにしたマップやアイテムを取り入れた「Rogue Company」シーズン3「Kyoto Job」の制作を提案し、両者のコラボレーションおよび社会的価値を最大化する企画の立案、PMOによる実行を支援。 |
主体企業 | KPMGコンサルティング株式会社、京都市 |
連携先企業 | Hi-Rez Studios, Inc. |
プロジェクトの背景
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、京都市は観光客の激減や伝統行事の休止など、かつて経験したことのない状況下におかれ、京都市ではデジタルを活用した新しい観光施策や魅力発信の手法と、京都の有する自然・景観・文化を守り、育てるための新しい形での財源確保を模索していました。
一方、ゲーム業界はコロナ禍の巣ごもり需要で売り上げを伸ばしたと言われるなど活況を呈しており、日本のゲーム市場規模も2020年に2兆円を突破し、海外ゲーム企業にとってより魅力的な市場となりました。しかしながら、海外ゲーム会社の日本市場進出については、日本独自の消費者嗜好やビジネス慣習の問題やゲーム開発費の高騰などの課題もありました。
京都市とゲームの出会い
KPMGコンサルティングがeスポーツアドバイザリーサービスを立ち上げたのは2018年。以降、着実に実績を重ね、Hi-Rez社とも本プロジェクト以前より定期的なオンラインミーティングを設けていました。
そうした中、Hi-Rez社の新作ゲームとして「Rogue Company」がコロナ禍でリリースされ、日本でのB to B事業を、KPMGコンサルティングが支援することが決定しました。
「Rogue Company」は、チーム対抗の対戦ゲームであり、対戦場所が記載されたマップが登場します。KPMGコンサルティングは、このマップにコロナ禍の影響を受けている日本の観光地を登場させるアイデアをHi-Rez社に提案。Hi-Rez社側でもゲームに「リアルさ」をもたらすために実在する場所を登場させたいとの思いがあり、KPMGコンサルティングがリレーションをもっている各自治体に本プロジェクトへの参画を提案した結果、京都市とHi-Rez社とのコラボレーションの実現に至りました。
これにより、京都市は、ゲームを通じた京都の魅力発信、国内外の京都ファンのエンゲージメント強化、デジタルを活用した新しい収益源獲得のチャレンジにつながり、Hi-Rez社はB to B事業の強化による事業リスクの低減、また京都市の許諾によるゲームコンテンツのクオリティを向上させることができました。また、収益の一部を京都の有する自然・景観・文化を守り、育てるための取組みに寄付することで、SDGs活動への貢献を全世界に発信することにもなりました。
なお、このプロジェクトは対外的な評価を受け、2022年7月14日、ニッショーホールにて開催された「クールジャパン・マッチングアワード2022」(主催:クールジャパン官民連携プラットフォーム)において、グランプリを受賞しました。
当プロジェクトは、ゲーム会社と自治体という異なる組織をコラボレーションさせることで社会課題の解決を目指したものであり、国内では初めての取組みと言えます。
「クールジャパン・マッチングアワード2022」グランプリ受賞について
<評価ポイント>
- インバウンドへの貢献
ゲーム「Rogue Company」上にて、京都の文化財が再現されたステージ“Kyoto Job”は、米国のゲームパブリッシャーのHi-Rez Studios社の意向を受けて、KPMGコンサルティングが企画し、京都市の協力により実現。内外への積極的なアピールの他、海外ユーザーへのアプローチを軸に、特にZ世代への有効なアプローチ方法として、日本の新たな魅力の発信を可能とするスキームが実現。今後のインバウンドに大きな貢献が期待される。 - 京都市に対する有形無形の貢献
感染症対策のために外国人の京都観光が困難になる中、世界で2千万人以上の同ゲームのユーザーがオンライン上で京都の街並みを体験でき、収益の一部を京都市に寄付する仕組みを構築。これにより、京都の魅力の世界発信、新たなファンの獲得、文化財の保全につながった。 - WINWINの関係性
京都市、Hi-Rez Studios社、KPMGコンサルティング、3者の特性を生かした連携とWINWINの関係性を築いた。
クールジャパン・マッチングアワード2022
内閣府が平成27年12月に官民・業種の垣根を超えた連携によりクールジャパン戦略を推進するために設立したクールジャパン官民連携プラットフォームが行う表彰制度であり、日本の魅力を掘り下げ、幅広い分野や地域が連携するクールジャパンの取組を表彰しています。
詳細はこちら:クールジャパン・マッチングアワード2022(外部サイト)