業績の見通し

引き続き業績の見通しは明るい

世界半導体市場統計(WSTS)は、2022年の世界の半導体売上高が6,000億ドルを超えると予測しており、調査対象の業界リーダーは2022年の見通しにきわめて強気です。楽観的な見通しは、米国、欧州、中東、アジアなど、どの地域でもほぼ共通しています。

事業への投資 - 人材、設備投資、R&D - は高水準となる見通し

回答者の大多数は、来年度の設備投資費と研究開発(R&D)費の増加を予想しています。また、88%の回答者は、各社の世界全体の従業員数が2022年に増加するとみています。

半導体業界信頼度

調査対象企業における収益、従業員数の規模、設備投資、研究開発費などから算出する、KPMGの半導体業界信頼度は、過去最高となりました。小規模半導体企業ほど、大規模企業をしのぐ信頼水準を維持しています。

経営の見通し

各社は最終市場をますます重視するようになっている

回答者の53%は、自動車、通信、家電製品といった最終市場を重視しています。大企業の64%が、各最終市場に合わせるよう事業を再構築していると回答したのに対し、小規模企業は38%にとどまりました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は多くの長期的な組織変更のきっかけとなったが、柔軟な働き方の定着ほど広がったものはない

COVID-19に関する大きな変化として「場所に縛られない働き方」の定着が挙げられました。しかし、それ以上に地域による違いが明らかになりました。米国と欧州、中東・アフリカ(EMEA)の回答者の63%と76%が柔軟な働き方を支持しましたが、アジア太平洋(ASPAC)では37%にとどまりました。

大方の業界筋は、半導体の供給不足は2023年まで続くと予想

回答者の56%が半導体不足は2023年まで収束しないと回答しましたが、米国の回答者は65%とやや懐疑的でした。米国の設置済み半導体生産能力が1990年の37%から2021年には12%まで減少した影響の可能性があります。

成長製品/用途

センサー/MEMSは今年も成長製品の首位

主要半導体製品の順位は昨年と同様ですが、例外としてマイクロプロセッサーが2位に浮上しています。回答者が選んだ成長分野のトップは、今年もセンサー/MEMSでした。

用途別では新しいトップが浮上

用途別では無線通信が単独首位に、2位は自動車、IoTは3位に後退しています。この動きは、5Gの拡大と、自動車の安全性、インフォテインメント、産業の自動化、自動運転能力における半導体の普及拡大など、半導体セクターをめぐる話題性と現在のトレンドを一部反映しています。

また、現時点の自動車セクターは業界収益全体の10~11%にすぎませんが、KPMGは車載半導体市場が今後20年間で4倍に拡大し、2,000億ドルを超えると予測しています。

業界の課題と戦略上の優先事項

人材の確保と定着が主な関心事

人材リスクは、今後数年間に業界が直面する大きな課題とされており、人材の供給、育成、定着は戦略上最大の優先事項となっています。

半導体業界リーダーの視界に入った地政学的動向

課題の1つに絶えず変化し、常に難しい地政学的環境があります。回答者の最大の関心事は、グローバルな半導体サプライチェーンにおける台湾の重要性、半導体技術と知的財産の国有化、関税と貿易協定の再交渉です。

回答者は今後3年間のM&Aに強気

変革のためのM&A活動は、戦略上の優先事項では3位でした。特に小規模企業の62%は、将来のM&Aを見込んでいます。

次のステップ

過去2年の困難は、市民生活のほぼすべての領域、企業の生産性、国の安全保障において半導体がいかに重要であるかを示しました。弱点の克服に努めることが半導体企業の優先課題になると考えられます。

本報告書で取り上げたテーマに関する対処法の参考例は以下のとおりです。

サプライチェーンのレジリエンス

  • 半導体企業を戦略的パートナーとして処遇すべきかを理解してもらうようにする。
  • ジャスト・イン・タイム方式を回避し、マイクロサプライチェーンの利用を拡大する。
  • 組織改革を検討する。
  • 人工知能を用いたコグニティブ(認知)プラニングツールを活用する。

資本配分

  • 会社の戦略的重点対象に再調整が生じた場合、自社のポートフォリオアロケーション戦略に確実に反映させる。
  • 回避できない遅れが生じた場合、厳しい決定も辞さない準備をしておく。
  • 特定顧客向けに資本配分が行われる場合、より緊密なパートナーシップと契約量を求める。

M&A戦略

  • リスクとリターンを適切に査定する。
  • 優先事項がテクノロジー/IPの獲得なのか、人材や能力の確保なのかをはっきりさせる。

人材/従業員戦略

  • 自社にはどのような知識やコンピテンシーがあり、何が弱点で、専門スキルの遅れがどういう競争上や業務上のリスクとなるのかを判断する。
  • 新しいハイブリッドな職場環境という文脈のなかで採用とオンボーディングプロセスのマップを完成させる。

本記事の全文資料(PDF)は、会員限定コンテンツよりご覧いただけます。

こちらは「KPMG Japan Insight Plus」会員限定コンテンツです。
全文資料は「ログインして資料をダウンロード」ボタンからご覧ください。
会員登録がまだの方は「会員登録する」よりご登録手続きをお願いします。

英語コンテンツ(原文)