IFRS財団とGRIが今後のスタンダード策定に関する協働にむけた覚書を締結

IFRS財団とGRIは2022年3月24日、両者の今後のスタンダード策定における協働のための覚書を取り交したことを発表しました。

IFRS財団とGRIが、今後のスタンダード策定における協働のための覚書を取り交しました。

IFRS財団とグローバルレポーティングイニシアチブ(Global Reporting Initiative、以下「GRI」)は2022年3月24日、両者の今後のスタンダード策定における協働のための覚書(Memorandum of Understanding、以下「MoU」)を取り交したことを発表しました。

IFRS財団は、2021年秋のCOP26で設立を発表した国際サステナビリティ基準審議会(以下、「ISSB審議会」)を通して、またGRIはグローバルサステナビリティ基準審議会(以下、「GSSB審議会」)を通じて、サステナビリティ報告に関する国際的なスタンダードを策定しています。

両者の策定するスタンダードは、主たる想定利用者や報告対象を選定する際の視点が異なっています。ISSB審議会が2022年中に公表を開始する予定のスタンダードは、主に投資家の意思決定に資する情報に焦点を当て、中長期的な財務影響がマテリアルなサステナビリティ関連の報告に用いられることを想定しています。他方、GSSB審議会が策定するGRIスタンダードは、より幅広いステークホルダーを対象に、企業の活動が社会や環境等に及ぼす影響についても報告するスタンダードとして策定されています。

両者のスタンダードは、主たる想定利用者や報告の視点にこのような違いがあるため、企業は報告の目的に応じて使い分けることが想定されています。これらのスタンダード策定に、両者が相互に参画することで、用語の互換性やガイダンスの整合性などが確保され、より包括的で調和と一貫性のあるサステナビリティ報告の実現が促進すると考えられます。

サステナビリティに関わる課題は多様かつ広範にわたるため、企業活動がそれらにおよぼす影響、そしてそれらが企業価値におよぼす影響の度合いやマテリアルとなるタイミングは、各社がビジネスモデルや戦略などをふまえて独自に検討しているでしょう。それらを報告するスタンダードの一貫性が確保されれば、企業の報告負荷も軽減できると期待されます。

包括的かつ調和のとれたサステナビリティ報告の実現には、一貫性のあるグローバルなベースラインとなる報告基準と、国や地域に固有の報告要件を組み合わせて報告する「ビルディングブロック・アプローチ」が有効であるとされており、証券監督者国際機構(IOSCO)や国際会計士連盟(IFAC)などが数年前から提唱・支持しています。今回のMoUは、このグローバルベースラインとなる報告基準のうち、投資家に資する企業価値に影響するサステナビリティ情報はISSB審議会が、企業が幅広い社会や環境におよぼすサステナビリティに関する情報はGSSB審議会が報告要件を策定することを念頭にした協働を実現するためのものと考えられます。

サステナビリティ報告を行う企業は、こうした動きを念頭に、これらの組織が策定するスタンダードを適切に活用しながら、効率的かつ効果的な報告を推進することが望まれます。

執筆者

KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン
有限責任 あずさ監査法人
シニアマネジャー 橋本 純佳

参考情報へのリンク(外部サイト)

お問合せ