UAEにおける法人税導入について

UAE財務省は、2023年6月1日以降開始する事業年度からUAEで新たに法人所得税を導入すると公表しました。

UAE財務省は、2023年6月1日以降開始する事業年度からUAEで新たに法人所得税を導入すると公表しました。

2022年1月31日、UAE財務省は、2023年6月1日以降開始する事業年度からUAEで新たに法人所得税を導入すると公表しました。UAEにおける法人税率は9%となり、GCC諸国で一番低い法人税率となります(ただしバーレーンは法人税未導入)。

概要

過去数年において、UAEは国際的なベストプラクティスに沿って税務システムを合理化し、国家の収入を多様化させるべく、さまざまな変革を行ってきました。それは、2018年1月における付加価値税(VAT)の導入に始まり、2019年4月の経済的実体規制(ESR)と国別報告(CbCR)の導入と続きました。

新しい法人税法では、税務会計年度中にUAE企業が稼得したビジネス上の利益に対して法人税が課されることとなります。

法律および詳細なルールは2022年半ばに発表されると期待されており、今回の財務省の発表により、影響の程度を評価するに十分な情報がすでに提供されているかどうか気になるところです。今回のニューズレターでは、財務省が公表したFAQに基づき解説します。

発効日

法人税は、2023年6月1日以降開始する事業年度から適用されます。このため、事業年度が2023年6月1日~2024年5月31日である企業には、2023年6月1日から始まる法人税が適用され、最初の法人税申告期限は2024年末頃になると思われます。事業年度が2023年1月1日~2023年12月31日である企業には2024年1月1日から始まる法人税が適用され、法人税申告期限は2025年半ば頃になると思われます。

法人税の対象範囲

UAEでは連邦税法として導入され、7つの首長国内のすべての企業や商業活動に法人税が適用されます。しかし、以下のようにいくつかの例外があります。

  • 天然資源採掘業を行う企業については、引き続き各首長国で公表されている法令が適用されます。
  • 商業ライセンスが要求されない収益獲得活動である給料や投資収入など、個人が稼得した所得は対象外となります。
  • すべての条件を満たすフリートレードゾーン内の登録企業で、UAE本土でビジネスを行わない企業についても適用対象外です。

興味深いのは、首長国レベルの銀行税法令の下で業務を行っている外国銀行については、UAE連邦税法が適用されることです。首長国レベルの銀行税法令における法人税の影響については、今後発表されると考えられます。これは、新税法にシフトしなければならない外国銀行の支店にとっても、他業種と同じ扱いで今後法人税法が課せられる地場の銀行にとっても、重要な変更となるでしょう。

法人税率

UAEの法人税率は3段階となります。

  • 年間の課税所得が375,000ディルハム以下の場合:0%
  • 年間の課税所得が375,000ディルハム超の場合:9%
  • BEPS2.0フレームワークの第2の柱の対象になる国際企業(31億5千万ディルハムを超える連結全世界収入のある企業など)は、OECDの税源浸食と利益移転ルールに基づく別の税率が適用されます。

会計上の利益に対して一定の調整をしたうえで、課税所得が計算されます。

免税

以下の所得については、一般的に法人税が免除されます。

  • (今後法人税法で定義される)適格株主構成によるUAE企業からの配当収入
  • キャピタル・ゲイン
  • グループ再編による利益
  • グループ内取引による利益

UAE国内での支払いや、国境をまたいだ支払いに対する源泉徴収税は導入されません。

海外で一般的にみられるような参加免除や類似の原則(株式配当やキャピタル・ゲインへの免税等)が法人税法に含められ、企業が一定の免除要件を満たして免税措置を受けることができるのか、詳細の公表が期待されます。

フリートレードゾーン

UAE本土でビジネスを行わない限り、フリートレードゾーン内企業は、恩典期間終了までは法人税が0%(あるいは免除)となることを、UAE政府は約束しています。ただ、年度の法人税申告書は提出しなければなりません。

UAE本土とフリートレードゾーンの双方に拠点がある企業や、二重ライセンススキームで活動する企業は、法人税導入による影響を考慮する必要があります。

移転価格ルール

OECDの移転価格ルールがUAEでも適用されます。すべての企業は移転価格ルールおよび文書化ルールに準拠しなければなりません。移転価格ルールへの準拠は必須となり、国内取引においても適用されるケースも出てきます。

UAE企業グループ内で販売や金融サービスを行うことは一般的で、従前は連結決算では消去される取引であるため、こういった取引に対する報酬金額はあまり注目されていませんでした。

今後は、企業間取引は独立企業間価格を用いて実施されなければならず、適切な文書化も要求されるため、このような取引についても大きな変革がもたらされます。各企業は、国境をまたぐ取引のみならず、国内取引についても、現在のアレンジが法人税上どのようなインパクトを受けるのかを評価する必要があります。

損失

繰り越された損失は、将来の課税所得と相殺させることができます。

グループ

税務上のグループ化やグループ救済条項が認められます。UAE企業グループで連結税務申告書を提出できます。グループ内で損失を相殺することも認められる可能性があります。

外国税額控除

支払った外国法人税を、UAEでの課税所得に課せられる法人税額の控除に使うことが認められます。

まとめ

UAEは歴史的に、税務に関しては企業にやさしかったのですが、ここ数年さまざまな変革を経験することとなっています。

FAQや報道などによると、連結申告や配当などへの非課税、外国税額控除や移転価格など、国際的な税務システムと歩調を合わせた法人税法となるようです。

さらなるガイダンスは2022年半ばに公表されるようですが、財務省が公表したFAQだけでも、各企業へ与えるインパクトがどの程度か、準備ができているかどうかを検討することは可能です。

KPMGは経験豊富な税務専門家を擁しており、法人税導入に向け、下記のような支援を提供できます。

  • 法人税導入による影響額の評価
  • 企業のストラクチャーやビジネス運営モデルの合理化や最適化のための支援
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詳細はKPMG Lower Gulf事務所のニューズレターをご参照ください。

 

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