「eスポーツ市場拡大の利点」第6回。さまざま業界の企業がeスポーツを活用して新たなビジネスモデルを創出し、発展を続ける中国のeスポーツ産業について解説します。
本連載は、日刊工業新聞(2021年4月~7月)に連載された記事の転載となります。以下の文章は原則連載時のままとし、場合によって若干の補足を加えて掲載しています。

中国では2005年に米国のゲーム会社、ウォークラフトの世界大会で中国人選手が初優勝したことをきっかけに、政府の施策や資金支援などが始まり、eスポーツ文化が徐々に浸透した。2010年代後半には中国のeスポーツ産業が急成長し世界から注目を浴びた。現在、中国のeスポーツ産業の直接市場規模は300億円であり、2022年には約400億円へ成長する見込みだ。

2019年に人気ゲーム「ドータ・2」、2020年に「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」の世界大会の決勝戦が中国で開かれ、中国国内のeスポーツ市場はさらなる盛り上がりを見せた。さまざまな産業がeスポーツを取り入れることで新たなビジネスモデルを創出。eスポーツ産業が多様化し、拡大している。

中国ではeスポーツ文化が浸透し始めてから15年以上が経過し、若年層を中心とした多くのファンを築き上げることに成功した。多様な産業が20~30代の若年層獲得に向け、eスポーツ産業に積極的に進出し、多くの新しいビジネスを生み出してきた。
金融業界やエンターテインメント業界もeスポーツ業界に進出している。たとえば、銀行のアプリケーション(応用ソフト)にeスポーツ機能を追加し、若年層の獲得を目指すケースも見られる。また、eスポーツキャラクターの広告活用や、エンターテインメントテーマパークが国内ゲーム企業と連携するなど、新たなビジネスモデルを創設している。

中国におけるeスポーツ産業発展の背景には、政府による手厚い支援があるが、昨今ではこのように多方面からの企業の参入といった、事業者側を中心とする市場の成長がみられる。

執筆者

KPMGコンサルティング
コンサルタント Lu Yirui

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日刊工業新聞 2021年6月4日掲載(一部加筆・修正しています)。この記事の掲載については、日刊工業新聞社の許諾を得ています。無断での複写・転載は禁じます。

eスポーツ市場拡大の利点

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