オランダにおける2022年税制改正案の概要

月刊「国際税務」12月号に寄稿された記事を紹介します。

月刊「国際税務」12月号に寄稿された記事を紹介します。

この記事は、月刊「国際税務」2021年12月号に掲載したものです。

発行元である国際税務研究会の許可を得て、あずさ監査法人がウェブサイトに掲載しているものですので、他への転載・転用はご遠慮ください。

2021年9月21日(9月第3火曜日)にオランダ政府は2022年の税制改正案を公表した。当該改正案には、法人税、個人所得税、源泉所得税等に関する改正案が盛り込まれており、2021年11月中旬までの下院での審議・決議、2021年12月中旬での上院での審議・決議の後、新法は2021年12月末の公告手続きを経て、2022年1月1日よりその効力が発行することが見込まれている。本稿においては、オランダにおける2022年税制改正案のうち、主に法人に関連する項目(源泉税の改正を含む)に焦点をあて、その内容を解説する。

2021年9月21日時点で公表された内容のうち、法人税について日系多国籍企業グループに重要な影響を与える改正事項は見当たらなかったものの、その後、法人税率の変更など日系多国籍企業グループのオランダ子会社への影響が見込まれる改正案が追加されている。それらの内容を正確に把握し、適時、今後の改正動向について把握をしておくことはオランダにグループ子会社を有する親会社側の税務担当者において必要不可欠であると考える。なお、日系オランダ子会社に影響を与える改正案(一般的な項目)と、適用ケースが限定されると考えられる改正案、例えばオランダ子会社を通じてEU域内又はEU域外への多種多様な投資を行っている企業グループに影響し得る改正案(その他の項目)に区分し、順にその内容を説明し、最後にオランダにおいて今後予想される法人税制の改正動向について述べることとする。なお、上記区分及び今後の動向については筆者の意見であることにご留意いただきたい。

一般的な項目

1)法人税率(標準税率)の上昇

オランダ政府は、COVID-19による医療対応のため献身的に社会に貢献する医療従事者への支援を行うための財源に充てることを目的として、法人税率の引き上げを検討している。具体的には、本改正法案において、2022年1月1日より、法人税(標準税率)を25%から25.8%に引き上げることが検討されている。医療従事者への支援を目的としているものの、本税率改正については時限立法ではなく、2022年1月1日より恒久的に有効となるものとして議論されている。

なお、効力発生日は2022年1月1日となるため、事業年度が暦年となる納税者については、2022年1月1日から12月末までの事業年度において25.8%が適用されることとなる。一方で、事業年度が3月末となる納税者については、混合税率の適用、すなわち2021年12月31日まで法人税率25%が適用となり、2022年1月1日から3月31日までの所得に対して法人税率25.8%が適用されることとなる。標準税率の変更案に加えて、2020年9月に公表された2021年税制改正案において可決された通り、軽減税率の適用範囲についても2022年1月1日より変更となる。2022年1月1日からのオランダにおける法人税率を纏めると以下のとおりとなる。

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執筆者

Meijburg&Co(KPMGオランダ) パートナー Cees van der Helm
Meijburg&Co(KPMGオランダ) GJPシニアマネージャー 宮本 健一

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